コロナ禍での支援策をめぐり、自民、公明両党は9日、18歳以下の子どもを対象に現金とクーポンを合わせて10万円相当を給付することで合意した。所得制限を設けるかは、引き続き協議する。公明党内では世論の「バラマキ」との批判も受け、所得制限を容認する声も高まっている。

 自民党の茂木敏充幹事長と公明党の石井啓一幹事長は同日、国会内で協議した。子どもへの10万円相当の給付では、新型コロナ対応に備えた2021年度予算の予備費を活用して現金5万円を年内に先行給付。その後、来春の入学シーズンに向けて、教育や子育てに使途を限定した5万円分のクーポンを配布する。財源は、年内に成立をめざす補正予算で対応する。

 一方、公明党が衆院選で掲げた子どもへの「一律」の給付について、茂木氏は富裕層を含めた一律の給付には慎重であるべきだとして、親の年収が960万円以上の子どもを給付対象から除外する案を提示。石井氏が持ち帰り、引き続き協議することになった。

 また、自民党が衆院選の公約で掲げた非正規雇用など困窮世帯への支援策をめぐり、茂木氏は協議後、記者団に「住民税非課税世帯に1世帯あたり10万円の現金を(申請しなくても受け取れる)プッシュ型で給付していく」と述べ、両党で合意したと明らかにした。生活困窮者らへの融資や住居費などの支援策も行う。

 公明党が主張していた1人あたり一律3万円相当のマイナポイントの付与については、マイナンバーカードの保有者を対象に新たな事業を実施することで一致した。ただ、付与される金額は引き続き協議する。

 この日の協議後、岸田文雄首相は首相官邸で茂木氏と面会し、「早急に合意できるように、さらに頑張ってほしい」と指示した。両党で合意した支援策は、政府が19日に取りまとめる経済対策に盛り込まれる。(上地一姫、太田成美)

■自民、公明両党の主な合意事項

・18歳以下の子どもへ10万円相当を給付。所得制限を設けるかは引き続き協議

・10万円相当のうち、現金5万円は年内に支給し、教育や子育てに使途を限った5万円分のクーポンは来春ごろ配布

・住民税非課税世帯に一律10万円を給付

・消費喚起とマイナンバーカードの普及促進のため、新たな「マイナポイント付与」の事業を実施