岸田文雄首相や野党が、自民党総裁選や衆院選で「転換」を訴えたもの。それが新自由主義だ。論戦を経て、新自由主義はどこへ行くのか。日本における新自由主義とは何なのか。

■「若者には空気のように」 政治思想研究者・藤井達夫さん 

 新自由主義の社会では、誰もが企業家のようにならなければなりません。自己を磨いてリスクを管理し、競争し、投資し、打ち勝っていく。しかも、自己責任のもとで。

 2004年のイラクの人質事件の時、自己責任という言葉が蔓延(まんえん)したのが象徴的でした。いまの若者が物心のつく頃には、そんな新自由主義的なメンタリティーが当たり前になっていた。若者にとって新自由主義はデフォルト、初期設定なのです。

 小さな政府、規制緩和、民営化。中でも影響が大きかったのが雇用の規制緩和です。非正規労働者が増え、富の偏りが生じて、格差社会になった。別の社会のありようを知らない若者たちは、これが社会だと思い込んでいる。

 大学の授業で「貧困は自己責任では解決できない。社会構造の問題です。個人の努力だけでなく、社会全体で取り組む必要があります」と言うと、学生たちは驚きます。