インドネシアで新型コロナウイルスのワクチンを「17回接種した」と主張する男性(49)の動画がネット上で出回り、物議を醸している。男性は警察に対し、依頼者からお金をもらって接種を請け負う「代行接種」を繰り返していたと供述。警察が捜査に乗り出している。

 現地メディアによると、12月中旬ごろ、中部スラウェシ島ピンランの男性が「ワクチン接種を代行し、(1人あたり)10万~80万ルピア(約800~6400円)を受け取った」と語る動画がSNSに投稿された。動画は瞬く間に拡散し、地元テレビがトップニュースで報じた。警察が調べたところ、少なくとも8人の「代行接種」が確認されたという。

 同国ではワクチンの接種拒否は取り締まりの対象となる。公共施設やスーパーに入るにはワクチン接種証明書が必要で、証明書がないと日常生活に支障が出ることから、既往症がある人やワクチンの効果を疑問視する人などを中心に代行に需要があったとみられる。

 男性は現地メディアの取材に「接種会場で依頼人のIDカードのコピーを示せば接種できた」と説明。会場での本人確認が甘く、1日に3回接種したこともあったという。

 地元警察によると、男性の健康状態は良好で、「3カ月前から経済的な理由で代行を始めた」と供述しているという。担当のデキ・マディザルディ捜査員は朝日新聞の取材に「接種代行業が国内で横行している可能性がある。本人確認を厳しくする必要がある」と話した。

 同国では偽のワクチン接種証明書も出回っており、偽造証明書の販売業者が相次いで逮捕されている。