LGBTなど性的少数者の権利を守る取り組みについて国内主要100社にアンケートしたところ、「差別禁止の明文化」が8割を超えた。大企業で取り組みが進みつつある一方で、課題も浮かぶ。性的少数者の苦悩は見えにくくニーズの把握は難しい。法律の整備など国による後押しが足りない、との指摘も多い。

 幅広い業種の大企業100社を対象に朝日新聞が11月後半に尋ねた。性的少数者に関する取り組みについて、実施済みや実施予定の施策を複数、挙げてもらった。

 「差別禁止の明文化」が最も多い84社。「社内研修の実施」が81社、「相談窓口の設置」が75社だった。「同性パートナーにも配偶者と同じ福利厚生を一部または全て適用」は51社だった。

 損害保険大手、SOMPOホールディングスの桜田謙悟社長は「同性パートナーを配偶者とみなし、配偶者として制度を使えるように、住宅手当、慶弔休暇、介護、育児休業などを見直している」と話す。

 電機大手、NECも「配偶者」の対象に事実婚やパートナー関係にある相手を追加。同性婚を含む事実婚も法的な婚姻関係と等しく扱えるように社内の規定を改めた。

 課題も聞いた。

 「当事者のニーズや意見を把握するのが難しい」とした企業が70社あった。日本生命保険の朝日智司専務は「L、G、B、Tはそれぞれの事情が異なり、意識も違う。ニーズをつかむことに課題を感じている」とした。

 「法整備など国による後押しが足りない」は34社。野村ホールディングスは「国レベルでの差別禁止などの法整備がなく、地方では理解も不足している」と指摘。地方支店で勉強会などを開いているという。

 性的少数者の差別を禁止する法律はない。同性婚は法律上認められていない。性的少数者への理解を増進しようという法案の国会への提出を、自民党は今年見送った。否定的な意見が党内に根強かった。

 一方、自治体では同性カップルを公的に認める「パートナーシップ制度」が広がりつつある。性的少数者の権利拡大に取り組むNPO法人「虹色ダイバーシティ」によると、導入自治体は約130にのぼり、人口では日本全体の4割をカバーするが、地域差はある。

 食品大手、味の素は「パートナーシップの証明書を発行する自治体としない自治体があり、居住地で不平等が生じる」と指摘する。

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〈LGBT〉 レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(生まれた時に割りあてられた性別と自認する性別が一致しない人)の頭文字を取った言葉。性的少数者はこれらに限らない。電通が昨年末に全国6万人を対象に実施した調査では、性的少数者に該当すると8.9%が答えた。

〈同性パートナーシップ制度〉 同性カップルの関係を公的に認める自治体の制度。2015年に導入した東京都渋谷区は、区内の企業などにパートナーシップ証明の「十分な尊重」と「公平かつ適切な対応」を求めている。虹色ダイバーシティによると、これまでに全国約130の自治体が2200組以上のカップルを公的に認めた。法律上の婚姻とは異なり、子どもの共同親権、所得税や相続税の配偶者控除などは認められない。

■「施策があるのと使えるかは別の問題」