■笹岡隆甫の華やぐ十二月 4月

 大正時代に創流された華道「未生流(みしょうりゅう)笹岡」の家元を務めています。これから毎月、四季折々の花を生けて、花の魅力、華道の魅力を伝えていければと考えています。

 春の主役級の花というと、サクラとフジが挙げられます。

 サクラはやや単調になってしまいがちなのですが、フジは上から降り注ぐ姿に品があり、まさに「王朝の雅(みやび)」を体現する枝ぶり。一方で、なんとも言えない色気もあり、思わず惹(ひ)きつけられます。フジといえば紫のものがよく知られていますが、今回は清楚(せいそ)なシロフジにしました。

 このフジに合う花は何かと考えて、クロユリとラン科のクマガイソウを選びました。ともに今は貴重な山野草です。花屋さんでは、あまり見かけません。