今月、大阪府藤井寺市の民間病院が外部からの不正アクセスを受け、患者の電子カルテが使えない状態になった。病院や府警への取材でわかった。患者数万人分の電子カルテ保存システムには27日時点もアクセスできていない。各地で病院を狙ったサイバー攻撃は続くが、病院側の対応が十分ではないとの指摘もある。

 不正アクセスを受けたのは同市野中の青山病院。同院のホームページによると、内科や外科、歯科、放射線科などがあり、一般病棟に50床ある。

 病院によると23日未明、院内のプリンターが一斉に作動し、英文の書かれたA4などの紙が大量に出力された。院内のパソコンにも英語で「pay」(払え)やコンピューターウイルスの名称である「ransom」(ランサム)といった単語が急に表示された。

 病院は院内サーバーに保存した電子カルテのデータを開けなくなり、ネット上にある予備用のデータを使って対応。27日の時点で患者情報などの流出は確認されていない。担当者は、「診療は問題なく継続している」とするが、外来患者の待ち時間が長くなるなどの影響があるという。

 府警は病院から相談を受け、経緯を調べる方針。