不正アクセスなどのサイバー犯罪をめぐり、被害を補償する保険を扱う保険会社と警察が協力協定を結ぶ動きが広がっている。被害を水面下で処理しがちな企業に対し、被害の報告を受けた損保から警察への届け出を促してもらうねらいがある。

 埼玉県警は2021年12月、損害保険ジャパンや三井住友海上火災保険など、サイバー保険を扱う損保5社と相互協力協定を結んだ。

 サイバー保険は、サイバー犯罪を受けた企業に対し、自社や取引先への損害、被害範囲の調査費、システム復旧費などを補償するもの。このため、警察には被害を通報しない企業でも、補償を受けるために損保には相談することが多い。そこで、協定では、相談を受けた損保が、警察にも通報するよう、企業に促すことなどを定めている。

■「企業からのアクションがないと」

 埼玉県警サイバー犯罪対策課によると、21年に受けつけたサイバー犯罪の相談件数は1万1854件で、前年より3347件多く、5年前の約1.7倍に上る。サイバー犯罪の端緒の大半は被害側からの相談だという。同県警幹部は「企業からのアクションがないと捜査もしづらい」と話す。ところが、取引先や世間の評判が下がるのをおそれ、警察に届け出をしない企業が少なくないため、損保との協力への期待は大きい。