有事法制を問う絵本、緊急重版 14万部のロングセラー
山田健悟
2022年8月14日11時00分
2004年に出版され、14万部を売り上げたロングセラーの絵本「新・戦争のつくりかた」が今月、緊急重版された。元々終戦関連のイベントの多い夏に売れる傾向があったが、ロシアによるウクライナ侵攻などがあり、今年は問い合わせが急増。重版が決まった。
絵本を作るきっかけになったのは、全国の主婦や会社員20人あまりからなるメーリングリストだ。当時、国会で審議されていた有事関連7法案について議論する中で、絵本を作るアイデアが生まれた。
絵本は、「あなたは戦争がどういうものか、知っていますか?」と始まり、戦争に向けて国が国民の権利を制限したり、憲法を改正したりする可能性があることを物語風に紹介。有事において、一番大切なことは人の命ではなく、「『国』になったのです」と語り、有事法制の問題点を問いかけている。絵本の中身に対応した法律の条文や年表もあり、大人でも楽しめる。
石川で20年続く「ピースウォーク」の発起人、小原美由紀さんも絵本の制作に携わった。小原さんは「作ったときは、18年も読み継がれるなんて思っていなかった」と驚きつつ、「絵本を通じて、戦争に関心をもってもらうことも戦争を遠ざける方法の一つ。ぜひ、一度手に取ってほしい」と語った。購入は、書店で取り寄せるか、インターネットで。(山田健悟)