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花のない花屋
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弟のような妹のような、大切なきょうだいへ

  

〈依頼人プロフィール〉
小島夏樹さん(仮名) 27歳 女性
大阪府在住
教師

    ◇

3歳下に、弟のような妹のようなきょうだいがいます。今は私が就職をしたので一緒に暮らしていませんが、大切な自慢の家族です。

小さい頃から真面目すぎるほどの真面目で、素直で、心根の優しい子です。要領が悪く損をすることもありますが、決してずるがしこいことはしません。口数が少なく内向的ですが、じっと物事を観察して本質を見抜く力があります。写真を撮るのが上手で、コンクールでは入賞まで一歩手前までいったほど。離島や自然が大好きで、今は大学院で自然環境について学んでいます。

姉からみても魅力あふれる人間なのですが、人生谷あり山ありを地で行くような人です。頑張って受験をして入った中学校では学校に行かなくなり、しばらくはまったく笑わなくなりました。1年以上引きこもったあと、通信制の高校に通い、今は大学院で頑張っていますが、今また困難にぶつかっています。

彼女、というか彼はトランスジェンダーです。生物学的には女性ですが、心は男性で、女っぽいものは大嫌いです。就活の時期にさしかかり、自己認識や社会での立ち位置に悩んでいるようなのです。あるときからズボンばかりをはくようになったし、私には何となくわかるので、わざわざそういう話はしません。でも、最近は親にカミングアウトをしたり、レインボープライドに参加したり、日々格闘、葛藤している様子を伝え聞いています。

私はそんなところも含めて昔から溺愛してきました。今まで何があろうとも味方であったつもりですし、これからだって、彼女であろうと彼であろうと、何をしようとそれは変わりません。

この気持ちを直接伝えると嘘っぽくなってしまうので、いつまでも味方だよ、という気持ちと、唯一のきょうだいへの愛を込めてお花を贈りたいです。

自然が好きな子なので、花ではなく葉っぱや多肉などの植物でまとめてもらえるとうれしいです。華美でなく、すっきりとした色合いで、彼女の芯の強さを表現してもらえないでしょうか。

  

花束を作った東信さんのコメント

今回のテーマは“強さ”です。妹さんの持つ芯の強さを表すには何がいいんだろう……いろいろと考え、生命力のあるリュウゼツランを選びました。

リュウゼツランを中心に、全体を多肉植物やサボテン、エアープランツのグリーンでまとめました。サボテンと多肉植物はかなりの種類が入っていますが、その間に、クレマチスやニゲラの実、グリーントリュフ、グリーンのバラ、観葉植物のクリプタンサス、ネオレゲリアなどを入れています。アクセントとして、長く垂れたリプサリスも加えました。

おそらくこのままでも1カ月以上はもつはずです。多肉植物やサボテンは水で育てて根が出てきたら土に植え替えるといいですよ。特にサボテンの場合は水のままだと根腐れしてしまうことがあるので、一旦根を乾燥させてから土に植え替えるのが理想的。サボテン以外の多肉はそのまま水でも育てられますが、栄養分が少ないのでどうしてもひょろひょろとしてしまいます。土に植え替えないと、横に太くならないんです。植物好きの妹さんとのこと。ぜひいろいろな楽しみ方をしてみてくださいね。

  

  

  

  

(写真・椎木俊介/ライター・宇佐美里圭)

>>これまでの「花のない花屋」をまとめ読み

     ◇

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フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

弟のような妹のような、大切なきょうだいへ

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
近著に作品集「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERS Ⅳ 植物図鑑」(青幻舎)など。

facebook

instagram

http://azumamakoto.com/

PROFILE

椎木 俊介(写真)

ボタニカル・フォトグラファー

2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。


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