山道具日記
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〈番外編〉山ごはんレシピ2「自立の証明としての鶏丼」

連載「山道具日記」を担当している編集者の小林百合子さんと写真家の野川かさねさんが結成している登山愛好ユニット「ホシガラス山岳会」の新著『最高の山ごはん』から、小林さんおすすめのお話とレシピ、第2弾です。

山ごはん2

正直、何度山に登っても心の底から楽しいと思えることがなかった。いつも誰かに誘ってもらって案内されて、導かれるままに歩いていた。常に申し訳ないという気持ちもあったし、迷惑をかけちゃいけないとかいちいちモヤっとして、楽しいが勝ることはなかった。

登山を始めて2年目。またしても友人に誘われて八ケ岳に出かけた。食事当番を任されたこともあって、ふだんよりも緊張。山で料理をした経験もないし、失敗したらどうしよう。思案の末、当時手伝っていたバーの人気メニュウをメインのおかずとした。

山ごはん3

鶏肉と野菜を炒めて、最後に店秘伝のたれをからめるだけだから味は決まっている。でも夏だから鶏肉が傷むだろうか。ならば夏場のキャンプ同様、肉を冷凍していけばいいのでは。歩いているうちにほどよくとけて解凍する手間も省けるしこれは名案だ。野菜も傷みにくいズッキーニとかピーマンがいいだろう。きのこは足が速いから天日干しして、乾燥きのこにしておけば重量も軽くなるし一石二鳥だ。絶対おいしくなる、大丈夫、そうだ、ごはんも米を持参して炊飯しよう(富士山で玄米炊飯を見学したので問題なし)。

山ごはん3

こんなことを出発前までずっと考えていたので、行く前から疲れてしまった。でも不思議といつものような後ろめたさや申し訳なさは感じなかった。あれこれ思案して作った鶏丼をみんながおいしいと食べてくれたとき、ああ、山っていいなあと素直に思えた。思い返せばこのとき、私は「自立」できたのかもしれない。誰かの後を追ってただ山を登り下りするのではなく、自分の足を、頭を使って山を登った。これまで仲間の肩越しだった山の風景が、ちゃんと真正面に広がっているように見えた。

登山の経験は登った山の数や高さだけで増えるものじゃない。自分で考えて計画して試して、また考える。その積み重ねが自分の登山を自由に、豊かにしていくんだ。(文・しみずまゆこ)

鶏丼 レシピ

山ごはん1

鶏丼

材料(2人分)

鶏もも肉 1枚
ズッキーニ 1本
しめじ 1/2パック(50g)
オリーブオイル 適量

たれ
赤ワイン 大さじ4
しょうゆ 大さじ2
オリーブオイル 大さじ2
にんにく 1片(スライス)

作り方

家で
1. たれの材料を瓶などに入れて2~3日置く。にんにくが真っ黒になればできあがり。
2. 鶏肉をひと口大に切り、塩こしょうをしてしばらくおく(夏場はこのまま冷凍するとよい)。

現地で
1. フライパンにオリーブ油をひき、皮を下にして鶏肉を焼く(弱火で油を出すように)。
2. 皮に焼き目がついたらひっくり返し、食べやすい大きさに切ったズッキーニと小房に分けたしめじを加えて焼く。
3. 鶏肉に火が通ったらたれを全体にまわしかけて炒める。

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