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温故知新でいま再び注目したい、ハワイの「パシフィックリム料理」

温故知新でいま再び注目したい、ハワイの「パシフィックリム料理」

「アラン・ウォンズ」のデザート。「ルアウ」というハワイの伝統的な宴会に必ず登場するココナツミルクとコーンスターチを使った伝統的なスイーツ「ハウピア」をシャーベットにして、ココナツの殻に見立てたチョコレートでコーティング。「リリコイ」と呼ばれるパッションフルーツのソースでまとめられています

ハワイの食文化を受け継ぎ世界へ広く発信し、次世代の育成と生産者を守るために始まった「ハワイ フード&ワイン フェスティバル」。その立役者が、ハワイを代表する2人の大御所シェフ、アラン・ウォンさんとロイ・ヤマグチさんであることは、これまでお伝えした通りです

温故知新でいま再び注目したい、ハワイの「パシフィックリム料理」

「アラン・ウォンズ」のシグネチャーディッシュのひとつ「アヒポケ」。中国の揚げワンタンを砕いて敷き、アボカドは、わさびしょうゆで味つけ、トップにはキハダマグロと赤じそをのせ、ソースは唐辛子とマヨネーズ。日本料理ではないのに食べ慣れた親しみやすさがあります

ハワイの食材やローカルフードと、日本をはじめアジア各国の料理、そしてカリフォルニア風フレンチなどハワイを取り巻く地域の料理を融合した、これまでにない新しいスタイルは「パシフィックリム料理」と呼ばれ、1990年代には日本でも大ブームになりました。アラン・ウォンさんもロイ・ヤマグチさんも日本に自身のレストランを出店。そのほか「シェフ マブロ」なども人気を博しました。なーんて。アラフォー以上の世代には懐かしいお話ですね。

温故知新でいま再び注目したい、ハワイの「パシフィックリム料理」

「アラン・ウォンズ」のメインディッシュがこれ。奥が白いごはんです。日本人にとっては、まるで洋食レストランでお米を食べているような気分になるかも。お隣のドイツ人男性は白いごはんをそのまま食べるのが苦手なようで、あらかじめごはんをお皿にあけ、ソースや肉と混ぜて食べていました

あれから十数年。アラン・ウォンさんのレストランは日本から撤退し、ロイ・ヤマグチさんのレストランは2015年4月に日本再上陸を果たしたものの、「イオンモール沖縄ライカム」内という東京居住者には普段使いしにくいロケーション。東京に次々とオープンする話題のレストランや、世界のレストランランキングに入るような最先端のイノベーティブな料理、星つき店を追いかけているうちに、パシフィックリム料理はすっかり私の頭の中から抜け落ちていたのです。

温故知新でいま再び注目したい、ハワイの「パシフィックリム料理」

ロイ・ヤマグチさんが「イーティングハウス1849」でイチオシなのがこちらの「タコとポテト」。じゃがいもはじっくりと時間をかけて、タコはさっと火を通してやわらかく仕上げ、レモンヨーグルトとガーリック、パクチーのソースを添えています。アジアのほか中東らしさも感じる今っぽいひと皿

ところが、いまトレンドのハワイのファインダイニングに行ってみると、パシフィックリム料理を踏まえて進化した料理が多いのです。しかもアラン・ウォンさんもロイ・ヤマグチさんもバリバリの現役で、いまも新しいチャレンジを続け、若い世代の料理人たちから尊敬を集めています。「ハワイ フード&ワイン フェスティバル」の各会場で、各ブースを足早に回り、生き生きと現場を仕切る2人を見ているうちに、私は気づきました。パシフィックリム料理は過去のトレンドと思い込み、2人の料理を本場ハワイできちんと味わったことがないことに……。

幸い「ハワイ フード&ワイン フェスティバル」の会場にはいつでも2人のシェフがいて、自身の旗艦店の魅力や今のおすすめ料理を直接聞けたことが後押しとなって(一般の参加者が誰でも自由に話していました)、今さらながら本家本元を訪問しました。ちなみに2人は数え切れないほど来日経験があり、日本の料理人とも交流が深く、アラン・ウォンさんは簡単な日本語を、ロイ・ヤマグチさんにいたっては流暢(りゅうちょう)な日本語を話します。料理の説明も、日本の事例に置き換えて日本語で話してくれるからわかりやすい。

温故知新でいま再び注目したい、ハワイの「パシフィックリム料理」

「イーティングハウス1849」で人気の「韓国みそでグリルしたエビ」。ハワイで人気のB級グルメ「ガーリックシュリンプ」をアレンジして再構築したひと皿で、味つけに韓国みそや唐辛子を使いピリ辛に仕上げています。ここ最近はハワイでも韓国料理や食材の人気が高まっているそう

まず訪れたのは、アラン・ウォンさんの旗艦店「アラン・ウォンズ」。こちらは連日満席。ひとりだったので、カウンターのデコレーションをどけてようやくひとり分の席を確保していただくほどの人気ぶりでした。ハワイでは数少ないファインダイニングですが、ハワイらしく程よく力が抜けていてリラックスして楽しめます。こちらの料理はよりクラシックなパシフィックリム料理。おもしろかったのはメイン料理の和牛のショートリブで、アジア料理の影響でコチュジャンとしょうゆのソースでまとめられ、なんと茶わんによそった白米が付いてきます。サービススタッフいわく、白いごはんとおかずを交互に食べるのはアジア特有の文化(口中調味といいます)。これは日本人や韓国人は得意とするところで、ハワイにも、日本の影響で白いごはんとおかずを交互に食す文化がありますが、アメリカ本土やヨーロッパの人は苦手なのだとか。

次に訪れたのは、昨年オープンしたばかりのロイ・ヤマグチさんの最新店「イーティングハウス1849」です。店名にある「1849」は西暦で、ハワイのプランテーション時代の料理がコンセプト。これは、「ハワイ フード&ワイン フェスティバル」を開催し、ハワイ産の食材やハワイの食文化に注目が集まったいま、もう一歩踏み込んで「ハワイの食文化史」に目を向けて行きたいというものです。ファインダイニングに慣れていない若者やツーリストが、マナーやドレスコードなど気にせず気軽にハワイの伝統に触れられるように、コースではなくアラカルトスタイルで、パシフィックリム料理らしさと新しさがいい感じで混ざり合っています。サービスもフレンドリーかつカジュアルです。

温故知新でいま再び注目したい、ハワイの「パシフィックリム料理」

「イーティングハウス1849」のデザートは熱々のマラサダ。このレストランのテーマであるプランテーション時代にポルトガル移民により伝わり、いまではハワイを代表するローカルスイーツになったそう。サトウキビからつくられたラム酒をソースに使っています

温故知新でいま再び注目したい、ハワイの「パシフィックリム料理」

「MWレストラン」の有名なメニューのひとつ「アヒポケ」。マグロは角切りではなくタルタルにして、アボカドの代わりにいくらをたっぷりトッピング。ライスクラッカーにふりかけをトッピングして食感をプラス。全体的に軽やかで食べやすく、プレゼンテーションも今っぽい

ハワイ料理界のレジェンドたちの料理を味わい、ハワイ食べ歩きを締めくくったのは、いまもっとも人気のあるレストランのひとつといわれる「MWレストラン」です。料理人の夫とパティシエールの妻が手がけるこのレストランに、「ハワイ フード&ワイン フェスティバル」の会場で注目していました。たとえばハワイ産のキャビアをふんだんに使ったり、いくつものパーツを組み合わせたグラスデザートをその場でつくったりと、屋外のフェスのブッフェで出すとは思えないクオリティーの料理が、ひと際目をひいたのです。このカップルは「アラン・ウォンズ」で修業をして独立したそうで、料理のベースはパシフィックリム料理。これにいまどきのイノベーションの要素を加えて、自分たちらしいスタイルの料理を提供しています。

温故知新でいま再び注目したい、ハワイの「パシフィックリム料理」

「MWレストラン」流にパシフィックリム料理を表現したのがこちら。「モンチョン」というカツオの仲間の魚にもち粉をつけて揚げ焼きにしたものを冷たいそうめんにのせ、漬物とゆずコショウのポン酢ソースを添えてあります。常夏のハワイにぴったりのあっさりした味つけで、日本人にとってうれしいひと皿

アジアンフレーバーが満載で日本人の口に合いやすいのに、ハワイらしさもちゃんと感じられるパシフィックリム料理。ハワイで体験したからこそ、地元の食材を使ったパシフィックリム料理らしさを理解しやすかったと思います。今さらと思わず、ハワイへ行ったら本場のパシフィックリム。とりわけアラフォー以上のみなさまにおすすめします!

温故知新でいま再び注目したい、ハワイの「パシフィックリム料理」

「MWレストラン」では美しいデザートも楽しみのひとつ。右手はいちごの果汁たっぷりのかき氷、奥はパイナップルとココナツのつくりたてデザート。バーカウンターには専属のバーテンダーがいて、オリジナルカクテルのほか、健康食材として話題のモリンガを使ったドリンクなどソフトドリンクも充実

■MEMO:旅とドレスコード
ハワイでは、有名店でもほとんどのレストランがカジュアルなスタイルでOK。今回ご紹介した3店はいずれもドレスコードの設定はありませんが、ファインダイニングの「アラン・ウォンズ」ではゲストの全員がドレスアップしていました。プロポーズや結納の両家顔合わせ、誕生日や結婚記念日のお祝い、ビジネスでの接待ディナーなどで利用されることが多いとか。「アラン・ウォンズ」に行く場合、カジュアルスマート以上の服装がよさそうです。

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