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「世界三大料理」の一角、トルコが本気を出してきた!

「世界三大料理」の一角、トルコが本気を出してきた!

トルコ料理はデザートのバリエーションも豊富。スイーツをあまり食べない私には激甘に感じられますが、ヨーロッパや南米の人にとってはこれくらい甘いほうがいいみたい。お米が入っていたり、デザートなのに鳥胸肉を使ったりと材料もユニーク

一般的に「世界三大料理」とされるのはフランス料理(うんうん、言わずもがな)に中華料理(そりゃ中国4000年の味ですから)ときて、はてもう一つは? 周りに尋ねてみると意外に知らない人もいるのですが、答えは「トルコ料理」。
でも…。日本とゆかりの深い中華料理は家庭料理にも欠かせないほど浸透しているし、街場の安い定食から高級料理まで、日本中どこでも口にすることができます。フランス料理だって、東京ではフランスから来日したシェフがレストランを開いたり、本場で研鑽(けんさん)を積んだ日本人シェフが帰国したりして、フランスと時差のないガストロノミーを体験できるし。

「世界三大料理」の一角、トルコが本気を出してきた!

トルコ人シェフの案内で「ロカンタ」と呼ばれる大衆食堂へ。主食だけでもお米、パスタ、「ブルグル」というひき割り小麦などがあり、それぞれ異なるスープを使って炊かれています。野菜も焼いたり、煮たりしてからさらに潰すなど、どの料理も手間がかかっているのが特徴

ところがトルコ料理は? トルコ料理と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、回転する巨大な肉の塊を削り落とす豪快な「ドネルケバブ」かもしれません。東京にはもちろんトルコ料理レストランはあるけれど、どこも“めずらしい外国料理”を食べに行く感じかも。けれどもトルコ料理って世界三大料理にふさわしく食文化の歴史は長いし、じつは食材が豊富だし、食料自給率も高いんですよね。

「世界三大料理」の一角、トルコが本気を出してきた!

「ガストロマサ2017」でトップバッターとして登壇した東京「フロリレージュ」川手寛康さん。今回のスピーチは、東京のレストランで普段から川手さんが取り組んでいる活動の延長線上にあるもの。世界のシェフからの注目も高く、コラボレーションの依頼もたくさん。もしかしたら東京で実現するかも!?

そんなトルコ料理を世界にもっと広めようと始まったのが、美食学会「ガストロマサ」です。これは官民が一体となり、2015年から毎年開催されている食の学会で、世界のトップシェフがスピーチする学会と、トルコの食材や料理を紹介する展示会の2部門で構成されています。2015年のスタート時は4人のシェフのスピーチとパネルディスカッションが行われただけの小さなものでしたが、3回目となる2017年は世界中から18人ものスターシェフが集まり、日本のシェフも初めて招請されました。

「世界三大料理」の一角、トルコが本気を出してきた!

ステージでのスピーチ後、今度はトルコ国内のテレビや新聞、雑誌を対象に開かれた記者会見を終え、大量の質問に答えてホッとひと安心の川手さん。記者会見では自身の活動だけでなく、その裏には日本の食材の質の高さと、それを支える生産者の存在があることをトルコのメディアに伝えていました

日本代表として招かれたのは、東京「フロリレージュ」川手寛康さんです。ほかにもこのコラムに登場いただいたタイ「ナーム」デイヴィッド・トンプソンさん、ペルー「まいど」ミツハル・ツムラさんと「セントラル」ヴィルヒリオ・マルティネスさんなど、いまが旬の顔ぶれがそろいました。そんな豪華なラインナップの中で、日本代表の川手さんは一番手に選ばれて登壇。きれいな英語で、前半では、日本の現状もありのままに伝えつつ、世界のフードロス(食品廃棄)とそれに対する取り組みについて正確なデータに基づいたスピーチを、後半では、2017年に自身が訪れたペルー・アマゾン奥地のカカオ産地の様子を、リアルな体験を交えながらリポートし、「料理人として、次世代のためにできること」を呼びかけて大きな拍手喝采を浴びました。

「世界三大料理」の一角、トルコが本気を出してきた!

学会の前夜には、シェフを中心にレストラン業界の関係者やメディアがいくつかのグループに分かれ、イスタンブールのファインダイニングを体験しました。私が参加したのは、いまトルコの最高峰といわれる「ミクラ」。ルーフトップテラスで食前酒を楽しんでからダイニングへ移動するのがヨーロッパっぽい

ちなみに「ナーム」はタイ特有の食材や調味料を使った味覚の構成、「まいど」はペルー・アマゾンのフードロスを一切出さない固有種のフルーツ、「セントラル」は今年2月27日にペルー・クスコ郊外で開業予定の研究所兼レストランで研究するインカ文明の農業と持続可能なエコシステムについてスピーチしました。また、イスタンブールで開催された学会に先立って、公式な見学ツアーとしてカッパドキアに行き、めずらしい品種の地ぶどうを使いおよそ4000年前からつくられたというワインの醸造所や、カッパドキアのある中央アナトリア地方の郷土料理、次世代を担う料理学校などを訪問しました。

「世界三大料理」の一角、トルコが本気を出してきた!

トルコ風水餃子といわれる家庭料理の「マントゥ」を再構築したモダントルコ料理「ミクラ」のひと皿。この夜は世界でトップを争うスペインのレストラン「エル・セジェール・ デ・カン・ロカ」のホワン・ロカさんをはじめ南米などスペイン語圏のシェフが中心だったのですが、トルコのシェフは世界の潮流を見据えてスペイン語を学ぶ人も多いそう

なかでもトルコ滞在中、もっとも印象に残ったのは、トルコの若手シェフたちの熱意です。トルコ政府や学会の主催者は、じつはこれを見せたかったのではないかと思うくらい。トルコ人シェフたちがボランティアで自主的に開催してくれたストリートフードツアーでは、一部の人のためのものであるガストロノミーに留まらず、庶民のB級グルメにまで国産の食材が使われていたり、手間を惜しまない調理法が受け継がれていたり、さまざまな発見がありました。

「世界三大料理」の一角、トルコが本気を出してきた!

ムスリムの国なので豚肉は食べませんが、肉は牛、鳥、ヒツジ、近海で取れる魚やタコ、イカなどシーフードも豊富です。この夜の食材は、シナモンとコーヒー以外はトルコ産とか。シルクロードの歴史を踏まえて、スパイスなどどこまでをトルコの伝統食と定義するべきか、研究を進めているとか

私は以前、観光で「トプカプ宮殿」を訪れた際、「味の研究所」と呼ばれていたキッチンで調理された、オスマン帝国のスルタンの豪華な料理メニューを知り、「そんな時代から美食を追求していたとは」とトルコ人のルーツに驚嘆したことがあります。ところがトルコ人シェフたちに言わせると、トルコ料理の歴史はオスマン帝国のはるか以前から端を発していると考えられているそう。チグリス川とユーフラテス川の源流はトルコにあるため、メソポタミア文明の黎明(れいめい)期までさかのぼり、トルコ料理を研究しているそうです。あー、それ世界史の教科書の最初のほうで習ったやつ……。

「世界三大料理」の一角、トルコが本気を出してきた!

日本ではケバブといえばドネルケバブのイメージですが、串焼きやつくねのようなひき肉のタイプのケバブも定番。ストリートフードといえどもそれぞれ異なるスパイスを加えて炭火で焼き、生野菜と合わせて皿盛りか薄焼きパンで包むなど、手がかかっています

イスラム教徒(ムスリム)の国とはいえ、ワインもビールもつくっていてお酒を飲むし、比較的女性も活躍しやすいというトルコ。歴史を踏まえて新しく生み出されたトルコのモダン料理は、とてもユニークなものでした。

「世界三大料理」の一角、トルコが本気を出してきた!

人気のトルコ版ファストフード「ZULA(ズーラ)」のホットドッグ。ほかにハンバーガーやタコスもあります。バンズはふわふわとやわらかくて甘め。甘いオニオンなど付け合わせに甘いものをプラスして甘辛のバランスをとるのがトルコ風。ドリンクは塩味の飲むヨーグルト「アイラン」が定番

■トラベルデータ
成田空港からトルコ最大の都市イスタンブールへは直行便で12時間40分。公用語はトルコ語。時差はマイナス6時間。通貨はトルコリラで1トルコリラ=約34円。
*データは2017年12月取材時のもの

■MEMO:旅と安全
テロや大規模なデモが起こるなど、治安が心配されるイスタンブール。実際に訪れた感じでは、ブルーモスクやアヤソフィアといった観光地、グランドバザールなどショッピングエリア、ホテルやレストランは通常通り営業し、治安も安定していました。地元の人たちからも、混雑している繁華街ではスリに気をつけてという注意を受ける程度。ただし夜間の移動にはタクシーを使うなど、基本的な注意には配慮したほうがよさそうです。

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