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モダントルコ料理は「誰でも食べられる」「安心な国産素材」で野菜たっぷり!

モダントルコ料理は「誰でも食べられる」「安心な国産素材」で野菜たっぷり!

ひよこ豆のペーストに過ぎない「フムス」をここまで洗練されたひと皿に仕立てられるのか、と衝撃を受けた「ネオローカル」のフムス。黄はターメリック、赤はビーツなど野菜の粉末とシルクロードのスパイスをブレンドしています

「フムスでございます」

登場したのは、パステルカラーに彩られた華やかなひと皿。ここ数年、日本でも流行している「フムス」という料理をご存じでしょうか。

トルコをはじめ、中東でごく普通に食べられているひよこ豆と白ごまのペーストで、パレスチナではカラフルなスカーフ姿の女の子たちが、薄焼きパンをフムスにディップして、ひよこ豆のコロッケと一緒に食べていました。材料のひよこ豆は、たんぱく質や食物繊維を豊富に含み、ハリウッドスターが「ダイエットにいいヘルシーフード」と紹介したことから世界的に流行し、日本でもフムスにフォーカスした野菜デリがオープンしたり、コンビニやスーパーで見かけたりするようになりました。

大豆と同じくイソフラボンを手軽に摂取できるので、女性ホルモンが気になるお年ごろの女性(私も)は、特に注目しているかもしれません。

モダントルコ料理は「誰でも食べられる」「安心な国産素材」で野菜たっぷり!

焼きなすとフムス、ヨーグルトなどを混ぜた伝統料理「ムタベル」は、レバノンやヨルダン、シリアなどでも一般的。普通はシーズンを問わず焼きなすを使いますが、「ネオローカル」では、なすの旬の時期以外はホウレン草やかぼちゃ、グリーンペッパーなど多彩な食材を使用

とはいえ、豆をすり潰しただけのペーストで、しょせんはパンの付け合わせという位置付けですから、一般的に見た目はいたって地味な料理。それがイスタンブールのレストラン「neolokal(ネオローカル)」では、こんなに美しいひと皿として提供されたのです。カラフルなパウダーはすべて天然素材由来の色で、シルクロードを有するアナトリア地方の豊かな大地を表現。うずらの卵の目玉焼きは、その肥沃(ひよく)な大地に恵みをもたらす太陽を表しています。

モダントルコ料理は「誰でも食べられる」「安心な国産素材」で野菜たっぷり!

有機農業に取り組む生産者のリンゴと穀物(左手前)を引き立てるためにラム肉を脇役に使った「ネオローカル」のひと皿。お米に似た雑穀は、古代から伝わる固有品種で、栽培にあたっては日本人のお米農家さんが技術指導にあたったとか。長時間煮込んでもアルデンテの食感を保てる、いま注目の食材だそう

イスタンブールの有志のシェフたちで結成した、トルコ料理の歴史を研究するグループのリサーチによると、「フムス」の発祥は南東アナトリア地方で、それが広く伝わってその土地ごとにオリジナリティーを持ち、いまでは中東一帯で食べられるメニューになったとか。

モダントルコ料理は「誰でも食べられる」「安心な国産素材」で野菜たっぷり!

「食事を始めるにあたって、緊張を解いてウキウキしてほしい」と女性の心を引き立てるピンクを中心にまとめた「ニコール」の冷たい前菜。地中海で取れたカツオ、ピンクラディッシュ、ピンクグレープフルーツはすべて国産のもの。ロゼのスパークリングやピンクのオリジナルカクテルも用意しています

「ネオローカル」のフムスは、材料が100%トルコ産。イスラム教の国ですから、ごく普通に流通している食材の多くが、イスラム教の教えにのっとった「ハラルフード」です。トルコでは、イスラム教徒でない人が「ハラルフード」を食べても問題ないと考えられているそうで、つまりイスラム教徒と異教徒、無宗教の人(私)が、同じテーブルにつき同じ料理を味わうことが簡単にできるのです。

また、ヨーロッパとアジアの交差点であるイスタンブールでは、歴史的にさまざまな食文化を持つ人々が交流してきたため、ファインダイニングでなく街場の食堂でも、ベジタリアンメニューに対応しているのが普通とか。「ネオローカル」では、目玉焼きをフムスに乗せずに(厳格なベジタリアンは動物由来の食材が接触するだけでも避ける場合があるそう)横に添え、私のように食に制限がない人はフムスに混ぜてもいいし、食べない人は眺めて楽しむのもいいと提案しています。食事を終え、小さなギフトとして渡されたのは、その日味わったそれぞれの料理にまつわる歴史やものがたりが記された小型のブックレット。東京ではまだ体験したことのない演出で、これもまた記憶に強く刻まれました。

モダントルコ料理は「誰でも食べられる」「安心な国産素材」で野菜たっぷり!

「ニコール」は、住宅地のビルでひっそりと営業している隠れ家系ファインダイニング。店内はこじんまりとしていますが、バーエリアがちゃんと独立していて、まずは暮れなずむ景色を眺めながらバーで食前酒、テーブルに着いてディナー、ソファに移ってデザートとさまざまなシチュエーションを楽しめます

「ネオローカル」だけでなく、イスタンブールには、契約農家や漁師から安全で高品質な国産の食材を仕入れるレストランが、たくさん登場しています。女性シェフが活躍するファインダイニング「Nicole(ニコール)」もその一軒。

モダントルコ料理は「誰でも食べられる」「安心な国産素材」で野菜たっぷり!

「ニコール」のオーナーシェフのアイリーンさん。トルコは女性が社会進出しやすいため、シェフを目指すにあたってパリの名門料理学校「ル コルドン ブルー」に留学。卒業後はレストランだけでなくショコラティエやパティスリーでも研鑽(けんさん)を積んだため、ヨーロッパ風のデザートも得意です

前面が大きなガラス張りで、ボスフォラス海峡を望むダイニングは、ロマンチックのひと言。女性シェフの感性を生かして、プロポーズや誕生日などの演出を応援しているそうで、私が訪れた夜も、花束を抱えたカップルが数組。余談ですが、「ニコール」のシェフのアイリーンさんによると、トルコの男性はロマンチストが多く、サプライズ演出が大好きとか。料理は、伝統的なトルコ料理に地中海料理のエッセンスを加え、食材の持ち味を引き出した軽やかな味わい。女性が食べてきれいに見える、ほどよいサイズ感とボリュームも特徴です。

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トルコでは家庭や大衆食堂でも食べられるという定番メニューのトルコ風水餃子「マンティ」。ヨーグルトソースで食べるのが一般的ですが、「イェニ ロカンタ」のヨーグルトソースはさらりと軽やかでほんのり塩味。ニンニクではなくショウガをしっかり利かせていて風味がよく絶品

私のようなひとり旅でも行きやすいのは、「Yeni Lokanta(イェニ ロカンタ)」。ガストロノミーのクオリティーの料理を、カジュアルに食べられるという「ビストロノミー」というコンセプトがフランスで生まれて日本にも定着しましたが、イスタンブールでその概念をいち早く取り入れたレストランのひとつです。かつては有名な高級店で、日本のマグロをはじめ世界各国から高級な食材を輸入し、トレンドのアジアンフレーバーの料理をつくって評価をされていたというシェフのジヴァンさん。すぐ目の前に、これほど豊かな食材があることに気づき、シェフとしての生き方が激変したとか。

モダントルコ料理は「誰でも食べられる」「安心な国産素材」で野菜たっぷり!

トルコではワインも造られていて、いくつかのワイナリーは国際的にも高く評価されています。「イェニ ロカンタ」では、なるべく多くのトルコワインを味わってほしいとグラスワインも豊富に用意。国際的なブドウ品種のワインのほか、めずらしい地ぶどう品種のワインも取りそろえています

野菜のほか、フルーツや酢、発酵食品にも恵まれたトルコの食卓。そうそう、日本でも注目されている「ベジファースト(野菜を先に食べてから肉や魚、主食を食べる)」という食べ方も、トルコでは「メゼ(前菜盛り合わせ)」というスタイルで、オスマン帝国時代から取り入れられていたそうです。

モダントルコ料理は「誰でも食べられる」「安心な国産素材」で野菜たっぷり!

「トルコの伝統的な食事スタイルを継承したい」と、「イェニ ロカンタ」では小さいサイズの前菜をいくつか組み合わせたものを「メゼ」として提供。写真はすべて国産の材料で、ビーツのマリネに「カイマック」というトルコでよく食べられる濃厚なクリームのような乳製品をのせた「メゼ」のひと品

■MEMO:旅と服装
イスタンブールでは近ごろファインダイニングが盛り上がっているとはいえ、まだ何カ月も前から予約が必須というほどの状況ではありません。「ニコール」でサプライズ演出をする場合は早めの予約が理想的ですが、通常であれば今回リポートした3軒はいずれも1週間前くらいでも予約できるそう。
ちなみにイスタンブールの人にとって、ファインダイニングに行くのは特別な機会。前回ご紹介した「ミクラ」や今回の「ニコール」では、特に女性はドレスを着てドレスアップしていました。カジュアルなレストランとの区別がきっちりされているので、ファインダイニングを訪れる際には、ある程度きちんとした服装をおすすめします。

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