猫と暮らすニューヨーク
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アーティストのロフト暮らし。2匹の猫のふり見てわがふり直す

取材チームには、よそよそしい態度だけれど、トレイシーさんにはゴロゴロ甘えるトゥルディー。トレイシーさんいわく、「何時間でもゴロゴロいっていられるタイプ」だとか

取材チームには、よそよそしい態度だけれど、トレイシーさんにはゴロゴロ甘えるトゥルディー。トレイシーさんいわく、「何時間でもゴロゴロいっていられるタイプ」だとか

[猫&飼い主のプロフィール]
猫・Abigail(アビゲイル)12歳 メス 三毛柄の雑種、Truddie(トゥルディー)10歳 メス サビ柄の雑種
陶芸家、画家、写真家など、さまざまな顔を持つアーティストのTracie Hervy(トレイシー・ハーヴィー)さん。ブロンクスにあるロフトアパートメントに在住。

かつてピアノ工場だったレンガ造りの建物内にあるトレイシーさんの住まいは、天井が高く、開放的なロフトアパートメント。白くペイントされた空間に、自作の家具や陶器、ヴィンテージのアイテムをミニマルに配したその部屋に暮らすのは、三毛柄のぽっちゃり猫アビゲイルと、ひとまわり体の小さいサビ柄の猫トゥルディーだ。

トレイシーさんが、猫を飼いだしたのは今から12年ほど前のこと。「猫を飼いたいけれど、どんな猫がいいのかわからなかった。だからまずはフォスター(保護猫の一時預かり)をすることにしたんです」

何匹かの猫を一時預かりした後、自宅にやってきたのは、キジトラ柄のメス猫、ベアトリス。「わが家に来て、とても居心地がよさそうだった」というベアトリスとは、すぐに打ち解けたトレイシーさん。すでに妊娠中で出産間近だったベアトリスのため、段ボール箱を用意して、その時に備えていたところ、ある夜、トレイシーさんが外に出かけている間に出産。
「自宅に戻ると、箱の中に生まれたての子猫が8匹も。驚きました」

それから2~3週間、トレイシーさんは母猫と子猫、両方の面倒をみることになった。フォスター初心者には、少々荷が重い気もするけれど、「母猫が子猫の面倒をみてくれるから、何も大変なことはなかった」とトレイシーさんは朗らかに笑う。
子猫たちを保護施設に引き渡す際、同時にフォスターを卒業し、母猫のベアトリス、それから母猫と一番つながりが強いように見えた子猫を1匹譲り受けることにした。その子猫が現在12歳のアビゲイルだ。

残念ながら母猫のベアトリスは、がんのため出産から数年で他界。アビゲイルに新たな仲間が必要だと感じたトレイシーさんは、保護施設からメス猫を譲り受けることにした。それがサビ柄猫のトゥルディーだ。

アビゲイルはボスキャラ。一方のトゥルディーは、臆病な甘えん坊。アビゲイルがたびたびトゥルディーを追いかけたり、猫パンチで攻撃したりするけれど、「5分後にはそんなことも忘れて、2匹で寄りそって寝ているんだから。人間に比べて、猫同士の関係って、なんて単純なんだろうって感心するんです」(トレイシーさん)

さて、2匹がトレイシーさんを困らせるのは、決まって早朝。朝ごはんが欲しい2匹は、飼い主が起きるまで、寝室のドアの外でしつこく鳴き続けるのだという。
「それも朝の5時からね」と思わず苦笑するトレイシーさん。「ある朝、今日こそは起きないと決めたんです。いくら鳴かれても、自分の目覚ましが鳴るまでは絶対に起きないって。そうしたら、リビングからガシャンッ!という音がして。アビゲイルに陶器を三つも破壊されてしまった」
トレイシーさんはしぶしぶ降参。2匹の猫は、見事に朝ごはんを勝ち取ったのだった。

そんな猫たちだが、トレイシーさんにとっては、さまざまな気づきを与えてくれる存在だという。

「眠る、食べる、虫を追いかける。そんな猫たちを見ていると、幸せとは、なんて小さな、ささいなことで成り立っているんだろう、って思うんです。今こうして、穏やかに日々を過ごせていることに、もっと感謝をしなくてはいけない。そんなふうに思えてくるんです」

隣で丸まり寝ているアビゲイルの背を優しくなでながら、トレイシーさんはこう続けた。
「猫は、人間に何かをしてくれるわけではありません。私たちも、特に猫に何かを期待しているわけではないですよね。それなのに私たち人間は、他者に対して、あれもこれもと望んでしまう。どうして欲張りになってしまうんだろうって。猫という存在は、そんなことも気づかせてくれる。人間にとって、戒めみたいな存在かもしれませんね」

(写真・前田直子)

>>写真のつづきはこちら


トレイシーさんのインスタグラム
https://www.instagram.com/tracie_hervy
トレイシーさんのウェブサイト
https://www.tracie-hervy-ceramics.com

PROFILE

前田直子

写真家 24歳で渡米。サンフランシスコのAcademy of Art Universityで写真を学んだ後、日本へ帰国し、フォトグラファーの前田晃氏に師事。2010年に独立し、雑誌や写真集、ウェブなどで幅広く活動。2013年に再び渡米、現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に、日本&アメリカの雑誌や広告、ウェブなどで撮影を手がける。猫アレルギーでありながら、子どもの頃から無類の猫好き。10代の頃、実家で飼っていた猫の名前はチノ。
www.naokomaeda.net

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