クラシックに触れてみる春 中村江里子がパリの音楽ライフを語る

中村江里子さん


中村江里子さん

 長い冬がようやく終わり、日に日に暖かくなりつつあるこの頃。何かを始めてみようと思ったら、音楽や芸術はいかがでしょうか? 東京・上野で国内最大級のクラシック音楽祭が開催されるなど、各地でさまざまなイベントが行われ、音楽や文化とのふれあいを楽しみやすいシーズンでもあります。

 アートやクラシック音楽なんて、普段の暮らしとかけ離れていてハードルが高いかな……と、ためらわれる方もいるかもしれません。そこで、&Mで連載していた「パリからあなたへ」でおなじみの中村江里子さんに、東京とパリを往復する日常の中で親しんでいる音楽についてお話を聞きました。

生活に根づいている音楽や芸術

――中村さんと音楽の出会いについてお聞かせください。

 私の実家は今年で創業144年を迎える楽器店で、現在は主にハープやフルートなどの販売、音楽教室の運営をしています。そのためか、子どもの頃からレコード、演奏会などで音楽に触れる機会は多くあったように覚えています。残念ながら、私自身は楽器を演奏することはできませんが……。母が主催するさまざまなジャンルの音楽の演奏会のお手伝いをしたり、演奏を聴きにいったりしていました。

――パリの生活では普段、どのように音楽と接していますか?

 我が家では、夫が私以上に音楽がないと生きていけない人なので(笑)、家中どこででも音楽が聴けるようにしています。家で二人がそれぞれの仕事をしている時には、ピアノの音色が心地よくて集中できます。クリスマスの季節になると、年が明けても一日中家の中でクリスマスソングが流れています。

 また、パリでは人を家に招くのが当たり前になっていて、友人のご自宅に伺う機会が多くあります。そこでは必ず音楽が流れていて、知らない曲があって気になったりすると、アペリティフタイムには音楽談議に花が咲きます。「ちょっと、この曲知っている?」なんて、うれしそうにホストが音楽をかけたり。人々にとって、音楽は日常なのだと思います。

――音楽や芸術に対するご自身の考えも変わりましたか?

 フランスでは、音楽や文学、絵画、ファッション……。そういったもの全てが、生活に根づいているのだと、こちらに来て感じました。感性というものは、一日で得られるものではありません。毎日の生活の中で、感じ、学び、そうやって得ていくものなのだと思います。

 私も、日本ではまだ知られていないフランスのミュージシャンの音楽を聴いたり、新しくできたフィルハーモニー・ド・パリの演奏スケジュールを確認しては、できるだけ生で、プロの方々の演奏に触れる機会を持つようにしてきました。

パリの街が音楽で満たされる祭日

――パリではどんな音楽イベントがあるのか、教えてください。

 毎年6月21日は音楽の祭日で、「Fête de la Musique(フェット・ドゥ・ラ・ミュジーク)」と呼ばれる音楽祭が開催されています。プロもアマチュアも、普段は音楽に縁がない人たちも、みんなが一緒になって音楽を楽しむ日。美術館や公共の建物でコンサートがあったり、近くのカフェでご近所の方がギターを弾いていたり、道で立ち止まって音楽を聴いていた人たちが突然踊り出したり。街の至るところに音楽があふれています。

Fête de la Musiqueの様子(中村さん撮影)


Fête de la Musiqueの様子(中村さん撮影)

――パリ中が音楽に包まれるイベントですね。ご家族でも楽しまれましたか?

 夜遅くになっても明るい6月のパリの夜を、散歩してみたり。あるいは、この日ばかりは家で食事をしないで、子どもたちも連れてちょっと外に出てみたり。もちろん、若い方々がたくさん集まって熱狂的に盛り上がるような場所には、なかなか子どもたちを連れていけませんが。

 でも、同じ通りのアパルトマンのどこかの部屋から音楽が聞こえてきたり、それがちょっと夜遅くなっても、この日は許されるんです。だって「今日はFête de la Musiqueだから!!」。そんなイベントが日本でもあったら、私も楽しんでみたいですね。

――お子さんは音楽とどのように触れあっていますか?

 子どもたちがまだ小さいころから「音楽と本が好きな人になってほしい」というのが、彼と私の願いでした。なぜかというと、「音楽と本があれば、人は一人ではないから」。孤独を感じることもないと思います。

 我が家の子どもたちは、さまざまなジャンルの音楽を聴いています。ピアノを習ったり、ゴスペルを教わったり。子どもたちと一緒に、私自身も今まで知らなかった世界を体験できるような気がします。フランスの古いシャンソンやクラシックだけでなく、ジャズ、ラップだって聴きますよ!

――ご家族で一緒に音楽を楽しんでおられるのですね。

 実を言うと、私の小さい頃に母が歌ってくれた子守唄が、エディット・ピアフ(シャンソン歌手)の「愛の讃歌」や「ばら色の人生」といった、フランスを代表する曲でした。なので、小学生の時の歌のテストでは、「愛の讃歌」を歌いました(笑)。そして今では、母がいつもフランス語で口ずさんでいるエディット・ピアフを、我が家の子どもたちが一緒に歌えるようになっています。

 母はパリに遊びに来た時、お隣のコロンビア出身の管理人の女性に、スペイン語の歌を披露したんです。彼女は母の歌を聴きながらウルウルしていました。それ以来、「あなたのママはお元気?」といつも気に掛けてくれます。お互いの言語を話せなくても、音楽でつながっているんだな、と感じました。

オペラの勉強をスタートしてみたい

――日仏の往復でご多忙な中、日本滞在時の楽しみを教えてください。

 “買い出し”は、楽しみにしていて、必須でもあります。海外に住んでみると、日本では当たり前に使われているものが、いかに性能が良く便利なのかがわかりました。特に、必要もないのに買いだめしてしまうのが「文房具」です。日本の文房具は、本当に優秀なものやアイデア商品が多いので。でも、フランスの文房具にも、また違った魅力があります。そんな大好きな文房具を、3月に発売されるパーソナルマガジン『セゾン・ド・エリコ』でも特集させていただきました。

『セゾン・ド・エリコ Vol.8』


『セゾン・ド・エリコ Vol.8』

――まもなく春を迎えますが、読者の方々にメッセージを。

 フランスは3月末から夏時間となり、長くどんよりしていたグレーの空から、ようやく青空が見えてくるようになります。お日さまの光が差すと、誰もがカフェやレストランのテラス席に座り、体中に光を浴びています。セーヌの川岸や公園では、音楽を聴きながらピクニックを楽しむ人たちも増えていきます。

 私自身も今、とってもオペラを聴きたくて。どうやって勉強しようか、何からスタートしようかな、と考えているところです。この春は、身体の中心から音楽を感じたいですね!

東京文化会館キャノピーで開かれる、クラシック音楽の祭典「東京・春・音楽祭」(写真は2017年4月)(c)東京・春・音楽祭実行委員会/青柳 聡


東京文化会館キャノピーで開かれる、クラシック音楽の祭典「東京・春・音楽祭」(写真は2017年4月)(c)東京・春・音楽祭実行委員会/青柳 聡


    ◇
 桜の開花を迎える東京・上野の森では、3月16日から1カ月間にわたってクラシック音楽の祭典「東京・春・音楽祭」が行われます。今年で14年目を迎えるこの音楽祭は、国内外の一流アーティストが多数出演し、これまで多くの感動を残してきました。2018年も豪華ラインナップでお届けする桜と音楽の饗宴「東京・春・音楽祭」に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2018-

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森201

期間:2018年3月16日(金)~4月15日(日)
会場:東京文化会館、東京藝術大学 奏楽堂(大学構内)、上野学園 石橋メモリアルホール、国立科学博物館、東京国立博物館、東京都美術館、国立西洋美術館、上野の森美術館、東京キネマ倶楽部、他
主催:東京・春・音楽祭実行委員会
公式サイト:http://www.tokyo-harusai.com/

    ◇
中村江里子(なかむら・えりこ、Eriko Barthes)
1969年東京都生まれ。立教大学経済学部卒業後、フジテレビのアナウンサーを経て、フリー・アナウンサーとなる。2001年にフランス人のシャルル エドワード バルト氏と結婚し、生活の拠点をパリに移す。妻であり、3児の母でもある。現在は、パリと東京を往復しながら、テレビや雑誌、執筆、講演会などの仕事を続ける。年2回発行のパーソナルマガジン『セゾン・ド・エリコ』(扶桑社ムック) の最新号(Vol.8)が3月15日に発売。

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