猫と暮らすニューヨーク
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無類の猫好き妻と、イクメンな夫。ツンデレのメス猫はかすがい

ルルという名前は、藤子さんが子どものときに実家で飼っていた猫の名前から。「ルル―、って呼ぶとハミングみたいで、いい響きなんです」(藤子さん)

ルルという名前は、藤子さんが子どものときに実家で飼っていた猫の名前から。「ルルー、って呼ぶとハミングみたいで、いい響きなんです」(藤子さん)

[猫&飼い主のプロフィール]
猫・Lulu(ルル)11カ月(撮影当時は8カ月) メス アメリカンショートヘアの血が入った雑種
飼い主・8年前に東京からNYへ移り住んだ、青木藤子さん、青木健二さん夫婦。アパートメントと仕事場のスタジオは共にマンハッタンのトライベッカにあり、藤子さんはmochi Rinという屋号の餅菓子作家として、健二さんは写真家としてNYで活躍中。

子どもの頃から猫と暮らし、東京で一人暮らしをしているときも猫2匹を飼っていた藤子さんは、無類の猫好き。かつて日本のとある砂浜を歩いていたところ、見知らぬ人から突然「猫の神様」とあがめられた経験があり、謎の“猫オーラ”を発しているのではとの噂(うわさ)もあるほど。そんな藤子さんが、日本に帰国するまではと我慢していた猫を、いよいよ飼い始めたのが、昨年春のこと。
「ユニオンスクエアで年に2回開催される大きな譲渡イベントで、ルルちゃんに出会いました。以前飼っていた猫の小さい頃とそっくりで、宇宙人みたいに目と耳が大きくて。ちょうど日本にいた連れあいに写真を送ったら、即座に『かわいい!』と返事が来たので、譲渡を申し込んだんです」(藤子さん)

テーブルの奥に座っている猿のぬいぐるみは、夫妻が子どものように可愛がっているジャガくん。旅に行くときはいつも一緒だそう。ルルちゃんにとっては兄貴分です。

テーブルの奥に座っている猿のぬいぐるみは、夫妻が子どものように可愛がっているジャガくん。旅に行くときはいつも一緒だそう。ルルちゃんにとっては兄貴分です。

そうして子猫のルルを自宅に迎え入れた青木家で、意外な溺愛(できあい)ぶりを見せたのは夫の健二さんだった。
「ルルちゃんを抱いているときの姿は、こんなにうれしそうな顔を今まで見たことがないというぐらい。普段はまったく料理をしない人が、鶏のササミをゆでてルルちゃんにあげたり、撮影中にスタジオを抜けて自宅に戻り、ルルちゃんに食事を与えたり。まったく想像していなかったイクメン姿に驚いています」と藤子さん。
友人との飲み会に出かけた健二さんが、「猫にゴハンをあげなくちゃいけないから」という理由で、早々に切り上げ、小走りで自宅に帰ったことも。猫は人を変える、とはまさにこういうことである。
「猫には、今まで経験したことのない特別な魅力があります。魔力というのかな。エジプトの時代から人間を魅了してきた、そのパワーに引き寄せられています」と健二さんは笑う。

ルルを連れて、健二さんのフォトスタジオに移動。スケールの大きなスタジオ空間に、少し警戒気味のルルです。

ルルを連れて、健二さんのフォトスタジオに移動。スケールの大きなスタジオ空間に、少し警戒気味のルルです。

一方の藤子さんにも、ルルを飼い始めたことで、変化があったという。
「ルルちゃん、いい子にしててねって、ポジティブな声色で話しかけるようにしていると、自分の気持ちもポジティブになるんです。連れあいに対しても、同じような声で話しかけるようになりましたね」。
そのおかげで夫婦円満。「猫はかすがい」とは藤子さん。健二さんもそんな夫婦間の変化を感じているという。
「猫を飼ってみて、かみさんはかなり猫に近いとわかりました。ツンデレ具合とか、ミステリアスな感じとか。こういうことをすると猫から嫌われるんだな、という猫の行動から、かみさんの行動パターンを学ぶようになりましたね(笑)。ここで謝るしかないな、とか、とりあえずゴハンをあげておこう、とかね。おかげで夫婦仲がよくなりました」

藤子さんに体をなでられて、思わず「いい気持ち」の表情。このかわいさ、たまりません。

藤子さんに体をなでられて、思わず「いい気持ち」の表情。このかわいさ、たまりません。

さて、そんな2人にちょっとした事件が起きたのは、ルルを飼いだして半年ほど経ったときのこと。
自宅アパートメントの廊下でルルを遊ばせていたところ、ふと気づいたら姿が見えなくなってしまった。名前を呼んでも、廊下や家の中を探しても、どこにもいない。2人は真っ青になったという。
「もしや誘拐されたんじゃないか。そういえば、さっき廊下に人がいて、ガサガサ、バサバサって音がしてたよね、って話になったんです」(健二さん)。
ゴミ袋のような袋に、ザッとルルが入れられて、誘拐されたに違いない。かわいいから、ずっと狙われていたんだ。そんな2人の疑念と妄想はエスカレート。健二さんは急いで建物の1階まで降り、犯人らしき人物を探す始末。
「大きなバッグを持った若いお兄さんがいて、iPhoneをいじってたんですよね。“誘拐成功”みたいなメールを誰かに送ってるんじゃないかって疑ったりして」(健二さん)
てんやわんやの20分後、キッチンのオーブンの下にもぐりこんでいるルルを無事発見。二人は、喜びのあまり涙を流さんばかりだったという。「シャンパンでも開けようかと思いましたよ」とは健二さん。失礼ながら、なんとも猫バカな夫婦の顛末(てんまつ)である。

出会って18年になる青木夫妻。ルルを飼うことに決めたとき、健二さんは「猫に好かれる10の方法」をネットで検索し熟読したのだとか。おかげで、今では素晴らしいイクメンぶりです。

出会って18年になる青木夫妻。ルルを飼うことに決めたとき、健二さんは「猫に好かれる10の方法」をネットで検索し熟読したのだとか。おかげで、今では素晴らしいイクメンぶりです。

藤子さんは言う。「猫ほど自由で、魅力的な生き物はいないと思うんです。大げさかもしれませんが、私の理想の姿を生きている。何にも縛られない、無理しない、生きたいように生きる、自分の要求を人に聞いてもらえるし、人から大事にしてもらえる。最高じゃないですか? 私にとって猫は、常に憧れの存在です」
どうしたら猫のように生きられるだろうか。猫を愛する者にとって、その憧憬(しょうけい)は尽きることがないのである。

(写真・前田直子)

>>写真のつづきはこちら


ルルのインスタグラム
https://www.instagram.com/jaga_lulu

PROFILE

前田直子

写真家 24歳で渡米。サンフランシスコのAcademy of Art Universityで写真を学んだ後、日本へ帰国し、フォトグラファーの前田晃氏に師事。2010年に独立し、雑誌や写真集、ウェブなどで幅広く活動。2013年に再び渡米、現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に、日本&アメリカの雑誌や広告、ウェブなどで撮影を手がける。猫アレルギーでありながら、子どもの頃から無類の猫好き。10代の頃、実家で飼っていた猫の名前はチノ。
www.naokomaeda.net

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