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くるり・岸田繁のコミック書評 『昭和天皇物語』

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(C)能條純一・半藤一利・永福一成/小学館


(C)能條純一・半藤一利・永福一成/小学館

平成30年を迎えた2018年、いま一度振り返りたい「昭和」。ここ数年は昭和史のプチ・ブームとばかり書店でも関連本を多くみかけるが、その中でも異彩を放つのが「ビッグコミックオリジナル」に連載中のコミック『昭和天皇物語』だ。

タイトルにあるように、昭和天皇を、激動の時代を生きたひとりの人間として描いた話題作を、ロックバンド「くるり」のフロントマン、岸田繁さんに評していただいた。
若者にとってはすでに歴史の中かもしれないが、まだ多くの日本人にとっては、さまざまな記憶として残る「昭和」という時代。この作品を通して、もう一度、あの時代について考えてみてはいかがだろうか。

ロックバンド「くるり」のフロントマン、岸田繁さん


ロックバンド「くるり」のフロントマン、岸田繁さん

<くるり・岸田繁のコミック批評>
大きな胸の痛みと共に読み進めるだろう、これからの時代へ向けての名作の予感

作中冒頭、マッカーサー元帥による言葉が印象に残る。

「天皇裕仁がどのような人生を、どのような数奇な運命をたどってきたのか、私は知りたいと思った」

『月下の棋士』などを手掛けた大御所、能條純一氏による今作は、さすがの画力と構成の妙により、物語序盤からグイグイと引き込まれる。

各地で続く紛争、混迷する国内外の社会情勢、そんな中時代は流れ、今上天皇の生前退位が話題にのぼる。このような時代、この作品をプロパガンダだと一刀両断することはたやすいことであるが、いま現在我々が直面している様々な物事や考え方に対する映し鏡として、胸の痛みを感じざるを得ない。痛烈な歴史批評的作品である。

明治維新、そして昭和の大戦によって大きく舵(かじ)を切った日本と、「民」としての国民、そして、「大元帥」として、「象徴」として、そしてひとりの「人間」として昭和天皇がどのように描かれるのか、注目していきたい。

(C)能條純一・半藤一利・永福一成/小学館


(C)能條純一・半藤一利・永福一成/小学館

    ◇

岸田繁(きしだ・しげる)
京都府生まれ。ロックバンドくるりのフロントマン。作詞作曲の多くを手掛け、多彩な音楽性で映画のサントラ制作、CMやアーティストへの楽曲提供も行う。京都市交響楽団の依頼を受け自身初の交響曲「交響曲第一番」を完成。2016年より京都精華大学にて教鞭を執り、2018年には特任教授に就任。くるり通算31枚目となるシングル「その線は水平線」が発売中。

昭和天皇物語
https://www.shogakukan.co.jp/books/volume/46464

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