猫と暮らすニューヨーク
連載をフォローする

よくしゃべる保護猫。犬派の夫を、猫派に変える

ネズミが出た以前のアパートメントでは、名ハンターぶりを発揮。「朝起きたら、ラルフが鳴いて大興奮していて。付いていったらリビングにネズミが転がっていました」(レイチェルさん)

ネズミが出た以前のアパートメントでは、名ハンターぶりを発揮。「朝起きたら、ラルフが鳴いて大興奮していて。付いていったらリビングにネズミが転がっていました」(レイチェルさん)

[猫&飼い主のプロフィール]
猫・Mrs.Ralph(ミセス・ラルフ)5~6歳 メス 長毛の雑種
飼い主・ブルックリン在住のコピーライター、Rachel Wright(レイチェル・ライト)さんと、夫で教師のSam(サム)さん夫妻。ブラウンストーンと呼ばれる古いタウンハウスの最上階に暮らす。

夫妻が、西海岸のオレゴン州から、NYへ引っ越してきたのは4年前のこと。
「冬に向かって寒くなり始め、ネズミたちが暖かで快適な住処(すみか)を探しだす頃、我が家のアパートメントにも、その灰色の小動物が姿を見せたんです」とレイチェルさん。
子どもの頃から農場で育ち、犬や猫などの動物全般が好きなレイチェルさん、これは猫を飼う格好のチャンスと、夫のサムさんに「ネズミ退治のために猫を飼うべきだ」と提案をした。
猫アレルギーを主張するサムさんは、そんなレイチェルさんに消極的な反応だったけれど、ともあれ2人は譲渡可能な猫を探すことに。ある週末に、ペットショップでの譲渡イベントに出かけたときのこと、「ひときわ体が大きくて、毛がもふもふの猫がいたんです」(レイチェルさん)。その猫にひと目ぼれしたのは、なんとサムさん。躊躇(ちゅうちょ)することなく即決し、翌日にはその猫を自宅に連れ帰るという惚(ほ)れこみようだったとか。猫アレルギーはどこへやら……。

ミセス・ラルフと名付けられた、ふわふわのロングヘアが自慢の保護猫は、「犬みたいな性格。名前を呼べば走ってくるし、いつもかまってほしくて仕方がない。私たちのそばにいるのが大好き」とレイチェルさん。
実はラルフは、野良猫として屋外で保護された猫だった。「元々は飼い猫だったみたい。マイクロチップが埋め込まれていたから」(レイチェルさん)。保護施設の人が、チップの情報をもとに飼い主にコンタクトを取ろうとしたが、まったく連絡がつかず、譲渡イベントで新たな飼い主を探すことになったのだという。
そんなラルフの切ない過去に、「動物を捨てるなんて、信じられない」と語気を強めるレイチェルさん。すこぶるフレンドリーで人懐っこいラルフだけに、なおさら無責任な飼い主に対する怒りや、やるせない悲しみが込み上げてくる。

謎の声でしゃべる、ふわふわ、もふもふの生き物。「一週間に一回ぐらい、嬉しいときに“パルル”って鳴くんです」とレイチェルさん。それはぜひとも聞いてみたい!

謎の声でしゃべる、ふわふわ、もふもふの生き物。「一週間に一回ぐらい、嬉しいときに“パルル”って鳴くんです」とレイチェルさん。それはぜひとも聞いてみたい!

ところで、ラルフはよくしゃべる猫である。なんとも表現しがたい鳴き声で(あえて文字にするなら「え゛え゛え゛え゛ぇぇぇ」)、しきりに話しかけてくる。
そんなラルフの巧みなトークに籠絡(ろうらく)されたのかどうかはわからないけれど、ラルフと暮らし始めてから、犬派だったサムさんはすっかり猫派に心変わり。「猫は人を変えてしまう力がある」とレイチェルさんはつくづく感じたという。

ちなみに、気になるサムさんの猫アレルギーだが、結局のところ発症せずじまい。「自分でそう信じていただけというのもあるし、猫を飼いたくないから、いい口実にしていたところもあると思います」とレイチェルさんは笑う。
それでも、猫の毛がつくという理由から、寝室のベッドだけは、ラルフ禁制の場所だった。ごく最近までは…。

サムさんのいない間に、すっかり味をしめてしまったベッドの上。今夜もレイチェルさんとぬくぬく体を寄せ合って寝ます

サムさんのいない間に、すっかり味をしめてしまったベッドの上。今夜もレイチェルさんとぬくぬく体を寄せ合って寝ます

というのも、撮影で訪れたこの日は、サムさんが出張中で不在。レイチェルさんはサムさんに内緒でラルフと一緒に、ベッドで寝ているのだという。「ラルフもベッドがすっかり気に入ってしまったみたい」と話すレイチェルさんに、サムさんが帰ってきたらどうするの?と聞けば、「さあ、どうなることやら」と笑って肩をすくめるのみ。
さて、出張から戻ったサムさんの運命やいかに。恐らく、一度ラルフとベッドで寝てしまえば、もう元に戻ることはできないはず……。そう確信する猫好きは、きっと私だけではないことでしょう。

(写真・前田直子)

>>写真のつづきはこちら

レイチェルさんのインスタグラム
https://www.instagram.com/rachel_wrong
レイチェルさんのウェブサイト
http://www.rachelhisakowright.com

PROFILE

前田直子

写真家 24歳で渡米。サンフランシスコのAcademy of Art Universityで写真を学んだ後、日本へ帰国し、フォトグラファーの前田晃氏に師事。2010年に独立し、雑誌や写真集、ウェブなどで幅広く活動。2013年に再び渡米、現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に、日本&アメリカの雑誌や広告、ウェブなどで撮影を手がける。猫アレルギーでありながら、子どもの頃から無類の猫好き。10代の頃、実家で飼っていた猫の名前はチノ。
www.naokomaeda.net

REACTION

LIKE
連載をフォローする

SHARE

  • LINEでシェア

FOR YOU あなたにおすすめの記事

POPULAR 人気記事

※アクセスは過去7日間、LIKE、コメントは過去30日間で集計しています。

RECOMMEND おすすめの記事

&MEMBER限定の機能です

&MEMBERにご登録(無料)いただくと、気に入った記事に共感を示したり、コメントを書いたり、ブックマークしたりできます。こうしたアクションをする度にポイント「&MILE」がたまり、限定イベントやプレゼントの当選確率が上がります。

&MEMBERログイン

ID(メールアドレス)
パスワード

パスワードを忘れた方はこちら

&MEMBER登録はこちら

&MILEの加算アクション

  • &MEMBER新規登録:100マイル

    *今後、以下のアクションも追加していきます

  • 朝日新聞デジタル有料会員の継続:100マイル
  • ログインしてサイト訪問:10マイル
  • 記事に「LIKE」を押す:10マイル
  • コメントの投稿:30マイル
  • 自分のコメントに「LIKE」がつく:10マイル
  • アンケート回答:30マイル
  • 「朝日新聞SHOP」での購入:50マイル
  • イベント申し込み:50マイル

&MILEの獲得数に応じてステージがあがり、ステージがあがるごとに
&MEMBER限定のイベントやプレゼントの当選確率が上がります。詳細はこちら