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小川フミオのモーターカー
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スタイルの大切さを思い出させてくれる日産サニー・クーペ

フロントにボリュウム感があってリアがすぼまっていくイメージが特徴的


フロントにボリュウム感があってリアがすぼまっていくイメージが特徴的

1970年代の日本車はクーペが多かった。いまは“最も売れない車型”とまで言われ、ごくわずかになってしまったが、欧州では強い人気がある。

クーペのよさはなに?と聞かれたら、いろいろあげることが出来る。重量配分などセダンより自由度が高いので操縦性が高いこと。スタイリッシュなこと。それにパーソナル感が強いこと。

左右3連ずつのテールランプで「ロケットサニー」とも呼ばれた


左右3連ずつのテールランプで「ロケットサニー」とも呼ばれた

パーソナル感とはわかりにくいかもしれないけれど、要は“私は運転手ではありません”ということだ。日産サニーB210型のクーペが発売された1973年だと、対極にあるのはファミリーカーだった。

デートに行くのにも友人と出かけるのにも、親のクルマを借りるのでなく、自分のために買ったクルマで、というのが当時重要な購買層だった若者の意識だった。

1200GX(写真)は1400GXより装飾が抑えられている


1200GX(写真)は1400GXより装飾が抑えられている

三菱ランサーセレステ(75年)と同様、サニーシリーズの主市場の米国では女性が通勤に使うのに、キュートなクーペスタイルが評価された。

3年間しか生産されなかった先代B110型に代わって登場したこのB210型はサイズが大きくなった。ホイールベースは40ミリ伸び、ボディ全長は120ミリ延長された。

初期の1400GXのダッシュボード


初期の1400GXのダッシュボード

スタイリング上は大ヒット作フォード・マスタングの影響を感じさせるフロントグリルをはじめ、派手になった。サニー史上最も飾りものの多いモデルではないかと思う。

73年型1400GXのインテグレーテッドシート


73年型1400GXのインテグレーテッドシート

セダンとともに発表されたクーペはそんな3代目サニーの特徴が、よきにつけ(悪しきにつけ)凝縮したようなモデルである。長いルーフラインに大きなサイドウィンドウ。

73年型1200GXはテールランプの意匠が1400と異なる


73年型1200GXはテールランプの意匠が1400と異なる

構造上はおそらくあまり意味のないクオーターパネルがサイドウィンドウにはまっている。しかしこれがないと、Aピラーから後輪の後ろまでひと筆書きのようにきれいに続くモールのラインが活かせないのだ。

クーペは1200と1400で登場。最初はたしかインテグラル(ヘッドレストレイント一体型)シートだったと思うが、1600が追加されたときにベロア素材のダンナ仕様が登場した。

77年に追加された1600GX-L


77年に追加された1600GX-L

日産自動車がサニークーペを開発したときは、スポーティな路線でいくつもりなのだろうと、ぼくは勝手に信じていただけに、このへんの一貫性のなさにはちょっと失望させられた。

なにはともあれコンパクトなサイズのクーペというのはいいものだ。そりゃあ、狭い駐車場では大きなドアではコマるとか、細かいことを言い出せばキリがないが、クルマとは理性で乗るものではない。スタイルが大事である。そこがいまは忘れられているような気がする。

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