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クリームパンが焦げている? “濃厚な焼き色”が美味しさの秘密/TAK BAGERI-CAFE(タック バゲリカフェ)

クリームパン

クリームパン

パンを求めて、鹿児島市まで来た。武岡は坂の上の街。坂の向こう、眼下に市街地と海が見えるサンフランシスコをほうふつとさせるこの街で、すてきなベーカリーカフェ「TAK」に出会った。古材を使ったフローリングの売り場、広々として明るいカフェスペースで自由にイートインできる。

店内風景

店内風景

目を引いたのは濃厚な焼き色。クリームパンも、食パンも、ブリオッシュも黒光りしている。バゲットもしかり。クープ(皮にa入れられた切り込み)の端は焦げ、恐竜の背びれみたいにぎざぎざしたエッジが、硬さを物語る。

生ハムのカスクルート

生ハムのカスクルート

そんな口を切りそうなほど硬い皮のバゲットサンドを試してみたいと、手に取ったのが「生ハムのカスクルート」。ばりばりばり! と皮は高らかに歌う。厚めの皮の歯切れはとことん気持ちよく、香ばしさは激しく、ふくよか。中身の味わいも甘さと旨味(うまみ)がせめぎ合うようだった。

中にはさまった具材のセンスも抜群。ざくざくと滋味深きレタス。生ハムを快楽とともににょろりと噛(か)み締めれば、コルニッション(きゅうりのピクルス)の酸味がきいてくる。味付けはシンプルに、オリーブオイルと塩とパルミジャーノをかけ回しており、それが旨味の波状攻撃を作りだす。

この濃厚な焼き色、上原力シェフによれば、300℃の高温で焼くことで作られるという。修業先である東京・立川のベーカリー「ムッシュイワン」の方法を踏襲。

「オーブンに長く入れて黒くするのではなく、溜め込んだ熱で焼くのが大事。イワンではずっと『強い火に耐えられるパンを作らないといけない』と言われていました。砂糖を入れて甘くするのではなく、長時間発酵によって糖を増やすと、メイラード反応によって焼き色が赤茶色になります」

ステーキの表面の焼き色、あれがメイラード反応。糖とアミノ酸が反応して、旨味と香りが生まれる。これを超積極的に起こすために、発酵をしっかりとって小麦を糖とアミノ酸に分解、オーブンを高温にして大量の熱を込める。

「クリームパン」も、焦げている? と思うぐらいの焼き色。でも、そのせいで、もっちり感と軽さが両立している。ほろりと爽快にかみ切れると、辛子色の濃密なクリームが出現。こちらも攻めていて、バニラをふんぷんと香らせる。濃厚なバニラ、ミルキーさと、生地の濃厚な香ばしさがクロスする官能。食べ口も軽く、一個ぺろり。

上原シェフは、ムッシュイワンの小倉孝樹シェフの製法を守る。小倉シェフの師匠は、伝説のパン職人・福田元吉、そしてその大師匠は、ロシア・ロマノフ王朝の宮廷付きパン職人イワン・サゴヤン。上原さんのパンには、日本のパンの正統が流れ込む。

「イワンの配合は変えません。『技術を継承しないといけないんだから、こっちのほうがやりやすいとかいう理由で変えたらダメなんだ』と小倉さんは言っていました」

知覧茶あんバターフランス

知覧茶あんバターフランス

新作「知覧茶あんバターフランス」はいちばん人気の商品。ふかふかと心地いいベッドのような弾力の生地から知覧茶がすがすがしく香り立ち、その芳香も終わらぬうちに、あんこがはいどうぞとマリアージュを差しだす。あんこはバタークリームに包まれているため、ミルキーさが甘さをまろやかにする。

地元のいい食材を探し出すのに熱心。サンドの野菜は南さつま市坊津町から届く有機の「こころの野菜」、ハムは鹿屋市の「ふくどめ小牧場」。そして地元のパン屋と「鹿児島小麦会」を結成、霧島市の無農薬農家「マルマメン工房」の小麦を使用する。

マルマメン工房の農林61号も加えた、試作中のゴマとくるみのパンを食べさせてもらった。元になる種は、パンの世界大会「モンディアル・デュ・パン2017」でグランプリとなった台湾の陳耀訓さんにもらったもの。ごっつい外観なのに、中身の食感はぷわんと快く、エアリー。ごまの香ばしさと小麦の香ばしさが合唱、クルミの甘さと、キレのある酸味がコーラスしている。種もきいている。酸味か旨味か、旨味か酸味か。かむごとにじゅんと滲(にじ)みだすのだ。

オーソドックスなパンのみならず、地粉もきちんとパンにする。それは受け継がれた技術のたまものだ。

TAK BAGERI-CAFE(タック バゲリカフェ)
鹿児島市武岡4-20-1
099-298-5966
7:30~18:00(日・月曜休)

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