新米の季節です! 旬の鰹を使った絶品「ごはんの友」

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部の「あれ食べたい!」に応えて料理を作ってくれるという夢の連載。今回は「新米に合う、とびきりのごはんの友」をというリクエストをいただきました。そこで、手軽に作れる常備菜をご紹介します!
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――冷水先生、こんにちは。いよいよ秋の気配も濃くなってきて、食欲がむくむくと湧いてきました!
冷水 まさに食欲の秋、到来ですね。
――今回は40代の女性からお手紙をいただきました。「毎年楽しみにしている新米の季節が近づいてきました。とびきりのお米を毎日おいしく食べたいので、ぜひいつも冷蔵庫に入れておける常備菜を作ってください!」とのことです。
冷水 「ごはんの友」ですね!
――冷水先生は、いつも必ず冷蔵庫に作り置きしてある「ごはんの友」ってありますか?
冷水 う~ん、私は仕事柄、いつも料理を作っているから、冷蔵庫には何かしら食べるものというか、「食べなきゃいけないもの」があるから(笑)。

――料理家さんの宿命ですね……。私たちからしたらとっても羨ましいですが!
冷水 でも私も無類のお米ラバーですので、新米の季節は心が躍ります。今日は秋の食材を使って、お米がぐんぐん進む常備菜を作りましょう。冷蔵庫で1〜2週間保存できるので、平日忙しく働いている方にとってはお助け惣菜になると思います。
――わ、それは助かります!
冷水 秋の味覚といえば脂の乗ったカツオということで、今日の主役はピカピカのカツオです。この時期は生食用のカツオが柵で売られていますが、お刺身で食べた後に少しだけ余ってしまうことってありますよね。その部分を有効活用して、ごはんに合う佃煮を作ります。
――またまた助かります! お刺身はすぐに傷んじゃうから、余ったら困るんですよね。

冷水 ポイントというか、唯一の手間は、前日から鰹を調味料に漬け込んでおくことです。煮るだけでも味は入るのですが、一晩漬け込んだ方が味がよりしっかりとついて、ごはんによく合うこっくりした佃煮になるんです。といっても、ビニール袋に調味料をザーッと合わせて、そこに切った鰹を漬けるだけなのでとっても簡単です。
――お酒、みりん、醤油、生姜の皮……。この漬け汁の材料を見ただけで白ごはんが食べられそう(笑)。THE和食の味付けですね!
冷水 梅干しを一緒に漬け込むのは風味づけです。決して酸っぱくなりすぎたりはしないので安心してくださいね。さっぱりとした旨味が出て、佃煮に深みが加わるんです。さあ、一晩鰹を漬け込んだら、あとは漬け汁と一緒に煮汁がなくなるまで煮るだけです。
――なんて簡単! 煮汁がなくなるまで煮るということですけど、煮ている間に鰹が崩れてしまったりしないですか?
冷水 漬け汁に醤油が入っていたでしょう? 塩分が加わるとお魚やお肉はキュッと引き締まる性質があるので、長時間煮込んでも煮崩れしないんです。だから鰹の食感もきちんと感じられるんですよ。

――料理って化学なんですね~!
冷水 そういうことがわかっていると、ほかのお料理にも応用できますよね。そこがお料理の楽しいところでもあります。あと、もうひとつアドバイスするとしたら、醤油やみりん、酒など、使う調味料は良質なものを使うと味がワンランクアップします。高いものというわけではなくて、化学調味料が入っていないものや、単純に自分が「おいしい」と思うものを使って欲しいなと。
――この漬け汁は煮汁にもなるわけですから、調味料が命ってことですね。
冷水 気に入った調味料を使い続けていると、塩分や甘さなど微妙な塩梅がわかってきますから、お料理の腕もぐっと上がると思いますよ。色々使って見て、自分の好みに合うものを見つけてください。さて、煮汁がなくなってきたらそろそろ完成です。
――生姜のいい香り~。早く食べたいです!

冷水 熱々でもおいしいですが、冷やすとより味が入っておいしくなりますよ。これからごはんを炊きますから、その間に冷蔵庫で冷やしましょうね(笑)。
――はっ、すみません……興奮のあまりフライングしてしまいました。
冷水 ふふふ。たくさん作ったので、ごはんの友にも、あとはビールや日本酒にもよく合うのでおつまみにもぴったりです。そうそう、お茶漬けにしても絶品ですから、おいしそうな鰹を見つけたら、ぜひ作ってみてくださいね。
今日のレシピ
鰹の梅佃煮
◎材料(作りやすい分量)
・鰹(生食用) 250g
・生姜 1片
・砂糖 40g
A
・酒 200cc
・みりん 80cc
・濃い口醤油 70cc
・梅干し 1個
・しょうがの皮 適量
◎作り方
1 鰹は1㎝角に切る。ビニール袋などにAを入れ、そこに鰹を加えて冷蔵庫で一晩漬け込む。
2 しょうがを千切りにする。
3 1のしょうがの皮は取り除き、鍋に入れる。そこに2のしょうがの千切りと砂糖を加えて火にかけ、アクはを取り除きながら煮汁が鍋底に少し残るくらいまで煮る。

まとめて読みたい!
料理家・冷水希三子のレシピ
なんでもない毎日のごはんのヒント、特別な日の特別なひと皿、この人と食べるごちそう、あるいは遠くのあの人が喜ぶお料理は……?
冷水希三子さんがいろいろな料理のレシピと作り方を教えてくれます。