アフリカの“かっこよさ”をファッションショーで伝えたい。「Tokyo Africa Collection」

©Takuma Sekiguchi
8月19日、学生団体が運営するファッションショー「Tokyo Africa collection 2018 summer」が浅草橋で行われた。会場中央のスクリーンにオープニングムービーが映し出され、キャンパスミスコンモデルたちがランウェイを歩いた。

チュニジアをテーマにした衣装。青と白に統一されたシディ・ブ・サイドの美しい街並みをイメージ ©Koichiro Imamura
彼女たちが着ているものは、それぞれアフリカの国々をテーマにしている。チュニジアをテーマにした服は、シディ・ブ・サイドと呼ばれる観光地の、青と白に統一された美しい街並みをイメージ。エチオピアは、コットンワンピースに生花のアクセサリーを合わせるコーディネートをそのまま衣装に仕上げた。

エチオピアの衣装は、コットンワンピースに生花のアクセサリーを合わせるコーディネート ©Yuki Uchino
ファッションショーが終わると、バスケとダンスをコラボさせたパフォーマンスやブレークダンスで会場の温度がぐっと上がる。トークセッションでは、ミス青山コンテスト2017準グランプリを獲得した井口綾子さん、AFRIKA Rose取締役兼フラワーデザイナーの田中秀行さんをゲストに迎え、およそ400人の観客が拍手を送った。
Tokyo Africa Collectionは今回で5回目の開催になる。スタートは2016年。当時大学生だった菅生零王(すごう れお)さんが発起人だ。菅生さんはイギリスのLSE(ロンドン大学経済学校)で紛争学の修士を取得し、南スーダンへの援助効果を最大化する会に積極的に参加するなど、学生時代にアフリカについて学んだ。初めは「発展途上」「可哀想」というイメージを抱きながら学んでいた菅生さんだが、知見を広げるうちに自然の豊かさや人々の暮らしに宿る美しさに気づいたという。「アフリカ各国の若者と話す中で、アフリカを特別視してしまうネガティブな認識を変えたいと思いました」と菅生さんは語る。

菅生零王さん
自分と同じ世代にアフリカの“かっこよさ”を伝えたいと考えた菅生さん。より多くの人にアフリカのことを伝えるにはどうすれば良いのか。もともと自主映画を製作したり、ルーマニアや台湾の映画祭にスタッフとして携わっていた菅生さん。その経験からエンターテインメントづくりを学んだ。そんな折、友人がアフリカのファッションブランドを立ちあげたという偶然が重なる。「だから自然と、ファッション×エンタメ、つまりファッションショーという形が浮かび上がってきたんです」

©Takuma Sekiguchi
東京ガールズコレクションのように、ファッションショーは多くの女性にとって憧れであり心ときめく場所だ。だからこそ、「ステレオタイプ的なアフリカのイメージを払拭(ふっしょく)する力を持っているんです」と語る。

シエラレオネをイメージした衣装。特産物のダイヤモンドをモチーフにしているが、シエラレオネ産のダイヤモンドは別名「紛争ダイヤモンド」。しかし、だからこそ本ショーでは純粋にダイヤの美しさを前面に押し出す衣装を製作した ©Takuma Sekiguchi
今後は普段アフリカに興味を抱いていない層にも届くよう、エンターテインメント性をさらに向上すること、そして現地のデザイナーの起用も検討しているという。「いつかは武道館での開催を目指しています。冗談じゃないですよ」

©Takuma Sekiguchi
現地デザイナーの起用に加え、出演モデルに本格的なレッスンを導入するなど、さらに質の高いショーになるよう準備をすすめているそうだ。Tokyo Africa Collectionが武道館で行われる日も、そう遠くはないかもしれない。
(文・澪花)

©Bobby Yoshihara