旅写真、スマホ撮影のコツ、おとな女子のひとり旅

例として、筆者が10月に訪れたジョージア(グルジア)の写真を紹介しよう
スマホやタブレットの内蔵カメラ性能はぐんぐんよくなっていて、接写や夜景も調整いらずで、キレイに撮れる。しかし、せっかくのひとり旅。自分だけのベストショットを撮るべく、旅の間に写真の練習をしてみるのもいい。
自らの体験、あるいは旅取材で同行するフォトグラファー諸氏から教わったスマホ撮影のコツをご紹介しよう。
グッときたものを撮る

城塞(じょうさい)都市シグナギ。風景をまるごと入れるとこうなるが……

ひるがえる旗にグッときたのでそれを中心に画面整理
フォトグラファーに伝授された最大のコツがこれ。たとえば熱々のハンバーグステーキで、モウモウとあがる湯気がいいと思ったのか、肉がいいと思ったのか、器がいいと思ったのか。あなたが感動を伝えるべきは、そのグッときたところだ。画面をタップして「グッ」部分にピントをあわせる。次に、以下の二つを意識する。
1.水平・垂直を出す
テーブル、柱、屋根、海面など、その場にある水平・垂直の線のどれかを、画角(画面フレーム)に対して平行にする。
2.画面を整理する
グッときた部分を強調するために、画面にあるいらないものは写さない。テーブルにあるものをどける、といったことは多くの人がするだろうが、背景のガラスや花など、色を邪魔するようなものも、スマホの角度や距離を変えて、画面からカットする。
この二つをするだけで、撮った画像がすっきりし、伝わりやすくなる。どちらも撮ったあとに加工できるが、そもそも、あとで修正するのも面倒なので、最初から写すものを決めておくのがいい。グッときたポイントをより美しく見せることができるはずだ。

トビリシの大聖堂。画面いっぱいに撮ると意外と大きさが伝わらない

手前に人物を入れて、夜空も入れると、大きい印象に
ちなみに、「広いなあ」という感じを出すなら画面に余白を多めにとるのがコツ。温度や息遣いまで伝えたいなら余白なしの、どアップが効果的。建物や自然のサイズ感を伝えるには、通行人など人物を入れるといい。
自分が動く
望遠レンズやズーム機能を使えば、自分がそこまで動かなくてもカメラがカバーしてくれるようにはなっているが、特に旅写真の場合は、動き回ってなんぼ、と考えたい。
雑踏を撮るときに、スマホを掲げて撮ってもいいが、ちょっとでも高いところがあったら登る。そして、自分がいる場所から、あと一歩対象に近寄る(どちらも足元や周囲に注意……!)。それだけで、臨場感と迫力が増すはずだ。高いところとは逆に、地面に限りなく近い、低いところから撮ると、猫の目線みたいな写真が撮れて面白い。

カズベギのツミンダ・サメバ教会。犬がかわいい

人に慣れた犬だったので思いっきり寄って撮影すると、ドラマチックな印象になった
なお、フォトグラファーに言わせると、撮るときにはスマホでも両手で持って、シャッターを押す瞬間は脇をしめて息を止め、ブレないように撮るとなおよし、だとか。
いっぱい撮る
元も子もない感じだが、風景とも人とも、一期一会の繰り返しになる旅写真ではこれが有効だ。明るさや角度を変えてひたすら撮りまくる。風景を撮っていて、人が通りかかったらそれも撮る。期待以上の躍動感ある一枚になることがあるからだ。大量の写真の整理は宿でゆっくりやればいい。
なお、たくさんの遺跡や寺院を巡る旅だと、帰宅後、「これなんの写真……?」となりがち。撮影に入る前に、入り口の看板、自筆の場所名のメモなどを一枚撮っておくとあとで混乱しない。