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“かっこいい”との付き合い方
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玉木宏「感じたことを素直に受け入れる人になりたい」
40歳目前で感じる理想の男性像

多くの人が憧れる「イケメン」と呼ばれる俳優たち。彼らはなぜ「かっこいい」のか。その演技論や仕事への向き合い方から、ルックスだけに由来しない「カッコよさ」について考えたい――。

玉木宏さんは、男子高校生青春モノの代表格である映画『ウォーターボーイズ』で注目を集め、その後『のだめカンタービレ』の“千秋先輩”でその人気を確固たるものにした。現在では、恋愛ものから社会派作品まで、幅広いジャンルで活躍している。39歳の今、「芸能人だからという甘えは捨てて、きちんと生活して年相応に見られることが説得力につながる」と考えているという。なぜそう思うようになったのか――。

「のだめ」出演時に危機感、意識が変化

――玉木さんが、世間に知られることになったのは、映画『ウォーターボーイズ』(2001)だと思います。この作品での役は、いわゆる二枚目ではなかったですよね。

玉木 オーディションを経ていただいたのが、アフロ頭の役でした。途中でボウズになるのですが、当時は僕の知名度がなかったので、アフロがなくなると誰だかわからなくなるのではないか、という話になって「ホクロをつけたら?」と矢口(史靖)監督がアイデアを出されて。映画が大ヒットして、取材してもらう機会が増えたら、作中と見た目があまりにも違うので記者さんやカメラマンさんに驚かれました。その経緯をいつも説明するのが大変でした。

――最初の大きな役は三枚目で、そこから現在のような印象に変わったのはどの作品でしたか?

玉木 やっぱりドラマ『のだめカンタービレ』(06)ですね。撮りながらリアルタイムで反響を知ることができましたし、それが活力になりました。

――当時、人気が過熱したと思います。それはどう受け止めていましたか?

玉木 危機感は常に感じていました。人気には波があって、良い作品に出合えたら、その時には認知が広がるけれど、人は基本的に忘れやすいし、新しいものにも目がいくものだと思います。20代の頃は、とにかく広く認知されたいということを一番に考えていましたし、生き急いでいて、同年代にライバル心を持っていました。ただ、認知されたら、今度は「このままではマズイのではないか」と思うようになりました。見た方が容姿を気に入ってくれても、それは変化していくものですから。

玉木宏

 ――そう思うようになってから意識は変わりましたか?

玉木 人間力をつけたいと思いました。こうやってインタビューしていただいたり、素の状態でテレビに出たりするときに、人間としての魅力もあるんだと思ってもらえるようになりたかった。女性のファンに応援してもらうのはうれしいけれど、同時に男性のファンが欲しいとも思いました。

――もっと違ったファンを得るために、これまでとは違う、たとえばアウトローな役をやりたいというようなことも考えましたか?

玉木 演じた役のイメージが強くなるので、常にイメージが固定しないようにしたいという反発心はありました。そうしないと、自分がひとつのイメージで満足してしまうのではないかという思いもあったんでしょうね。「本来の自分はこうじゃないんだ」「こういう役をやりたいんだ」という欲を持っていないとダメだ、と。常に、その前に演じた役と対極のものをやりたいと思いました。もちろん、それがいつでも形になるわけではないのですが。

――現在放送中の主演ドラマ『盤上のアルファ〜約束の将棋〜』の冒頭で、玉木さん演じる秋葉が社会部から異動を命じられた際に「勘違いうぬぼれ王子」と上司に罵倒されるシーンがありますよね。「王子」が悪口になるのがおもしろいな、と思いました。

玉木 確かに、余計、皮肉に感じますね。

――玉木さん自身も「王子」と呼ばれることは多かったんじゃないでしょうか。

玉木 『のだめ』のときはよく言われましたが、最近はないですね。実際の自分にはまったく王子っぽさがないので、当時は恥ずかしかったです。

――今作でバディ的関係を演じる上地雄輔さんとは、若手時代から交流が深かったそうですね。

玉木 20代の頃は学園ドラマが多くて、そういう作品に出ている俳優たちが友人を介して集まっていて、その中で上地くんともよく遊んでいました。当時は、みんなバイトをしながら俳優をやっていて、目標はあるけど形にできない気持ちを語り合ったり、「こいつがこれだけ頑張っているんだから、自分もやらないと」と刺激を受けたかったりしたのだと思います。

減っていく同年代俳優 共演は「貴重」

――上地さんは今作の記者会見で、玉木さんのほうが先にバイト生活を抜けたとおっしゃっていました。

玉木 そうですね。僕に限らず、だんだん仕事が忙しくなって遊びに来なくなったり、お互いに連絡を取らない時期もあったりしました。だけど今でも再会すればその頃と同じ感覚でつきあえる。そんな仲間がいるのはいいことですね。

――やっぱり、同年代の俳優仲間との共演はうれしいものですか?

玉木 同年代の女優さんと仕事することはたくさんありますが、俳優同士で肩を並べて撮影する機会は大河ドラマを除くとほぼないので、それはうれしいです。30歳という年齢を機に俳優の道を辞めていく人もいて、仲間が少なくなっていっているのも確かなんです。そんな中で、20代の頃に一緒にいた上地くんとバディ役を演じられるのは、貴重なこと。30代になって、焦らなくなったことで、それぞれの個性が出てきたこともよかったのだと思います。

――玉木さんは、今の自分の個性とはなんだと思いますか?

玉木 以前よりはマイペースになったけれど、どうあるべきかはまだ模索しています。もがき続けることに意味があると思うし、40歳を目前にして、これからも面白い作品に出合うたびに変化していかないといけない。加えて、「芸能人だから」と甘えず、当たり前のことを身に着けて、年相応にみられることが演技の説得力につながると思っています。そのためにも、日々、中身を変化させていかないと……。

――『あさが来た』に続いて、今作でも近藤正臣さんと共演されていますが、やはり大先輩から学ぶところは大きいですか?

玉木 関西にいるときは「ご自宅に寄っていいですか?」と連絡するくらい、朝ドラ後も仲良くさせていただいています。何を相談しても、近藤さんはニュートラルにきちっと答えて、受け入れてくださる。経験があるからこそのことで、近藤さんのような大人になりたいと思います。

――一方で、40代を目前にして後輩も増えてきました。

玉木 今の若い俳優はすごくうまいなと思います。誰とやってもそう思うし、不器用な人がいない。ひょうひょうとしていて、物おじしないんです。僕らのときは、自分も含めてもっとできなかったし、大先輩を目の前にすると萎縮して力が出ないこともありましたけど、そういうところがない。

――飲みに連れていってあげたり、相談に乗ったりもありますか?

玉木 相談されないし、飲みも平気で断られます(笑)。はっきりしているな、と。でも、それが時代なんでしょうね。

――逆に同年代の上地さんには、現場で靴を隠したり、イタズラしたりしていると聞きましたが(笑)。

玉木 上地くんが言っていることを真に受けると、僕だけがやっているみたいですけど、ちょっかいをかけられて仕返しをしただけですから(笑)。でも、近藤さんにしても、今回共演している石橋蓮司さんにしても、達観しているところもありますけど、やっぱり童心を持っているんです。だから、そのままでもいいところはいいんだなと思えて、安心します。

――最後に、玉木さんが思う「かっこよさ」とは何か、それをどう体現したいと思うか、教えてください。

玉木 感じたことを素直に受け入れて前に進む人になりたいと思っています。それはもちろん芝居にも通じる話で、普段、何を思って生活しているかがにじみ出てくる。

やっぱり、表面的なことではないと思うんです。リアリティーのある芝居にしても、ファンタジー作品にしても、説得力のあるアプローチをするには、普段の生活が安定していないと力が生まれないと思います。以前は無理に「こういう人と仲良くしよう」と思うときもありましたが、素直に生きていれば、同じ方向を向いている人が自然と周りに集まってくるんだと最近は思います。

(聞き手:西森路代 撮影:尾藤能暢)

プロフィール

玉木宏

玉木宏(たまき・ひろし)

1980年1月14日生まれ。愛知県出身。98年に俳優デビューし、映画『ウォーターボーイズ』で注目を集める。NHK連続テレビ小説『こころ』、映画『ただ、君を愛してる』などに出演したのち、06年にドラマ『のだめカンタービレ』で一躍人気に。公開待機作に映画『空母いぶき』がある。

番組情報

玉木宏「感じたことを素直に受け入れる人になりたい」<br>40歳目前で感じる理想の男性像

『盤上のアルファ〜約束の将棋〜』

原作:塩田武士 脚本:山岡潤平 出演:玉木宏、比嘉愛未、上地雄輔、石橋蓮司、近藤正臣ほか NHK BSプレミアムにて、毎週日曜22:00から放送中。

社会部のエース記者だった秋葉(玉木)は、突如文化部への異動を命じられ、将棋担当になる。将棋の世界を全く知らなかった秋葉だが、一度は挫折するも33歳で再びプロ棋士を目指す真田(上地)や、真田の元師匠の千田九段(近藤)らを通じて魅了されていく。羽生善治九段をはじめ、実際の棋士が各話にゲスト出演している。

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