ペルー、絶景のワカチナ、黄金色の砂漠をサンドバギーで駆け抜ける

ペルーといえば、世界遺産のマチュピチュやナスカの地上絵を思い浮かべる人が多いと思うが、果てしない砂漠が広がっているのをご存じだろうか?
アンデス山脈と太平洋に挟まれたこの国の海岸線は、南アメリカ大陸の西岸を北上してくるフンボルト海流(ペルー海流)によって大気が冷やされるため、海水の蒸発によって生まれる雨雲ができにくい。その分、雨が降らず晴天率も高いので、海岸一帯には砂漠が広がっているのだ。
ここは「ダカール・ラリー」のコースになっていることでも知られ、そんな砂漠の真っただ中をサンドバギーで疾走するアクティビティーが人気を集めている。
(文・写真・動画/鈴木博美)
ワカチナ、そこは美しい砂漠のオアシス
首都リマから海岸線沿いにのびるパンアメリカンハイウェーを南に下ること約4時間半。ペルー南部の都市イカの周辺には広大な砂漠が広がる。そんな砂漠にポツンと浮かぶ小さな村がワカチナだ。
村はアンデス山脈からの湧き水で潤う。枯渇したことはないオアシスだ。周辺はレストランやゲストハウスが軒を並べ、ちょっとした砂漠のリゾート地となっていて、国内外からの旅行客で大変にぎわっている。ペルーの小さな村に世界各国の人が訪れる、何とも不思議な光景だ。
砂漠を疾走! 気分はダカール・ラリー
そんな旅行客の目的が、砂漠をサンドバギーで疾走するアクティビティー。早速、ワカチナのツアー会社に申し込み、砂に足を取られながらバギーが待機する丘の上に登ると、エンジンをむき出しにした無数のバギーがけたたましい轟音(ごうおん)を立てていた。まるで今にもレースが始まりそうな勢いだ。バギーには運転手を除き最大で10人が乗車可能。少人数での参加はあいのりとなるが、プライベート・チャーターも可能だ。
4点式のシートベルトをしっかり締めたら出発だ! ブォンブォンとエンジン音がうねり、いきなり絶叫マシン並みの激しいアップダウンの洗礼を受ける。高低差のある砂丘を縦横無尽に走り回る。それにつられて体が前後左右に振られお尻も浮き上がる。シートベルトがなければ、外に振り飛ばされてしまう勢いだ。
なにせ、ここは世界で最も過酷なレースのひとつ「ダカール・ラリー」の最難関の一つとされる付近の砂漠だ。起伏が激しい上に砂の粒子が細かいこの一帯は、一度砂にはまったら経験豊かなレーサーでも抜け出すのは至難の業といわれ、リタイアが続出するという。そんな砂漠で走行体験できることが、ワカチナならではの楽しみだ。
【動画】ワカチナ周辺の砂漠、サンドバギーツアーの様子
砂丘に描かれる自然のアート
バギーは、見晴らしのよいポイントで停車してくれる。誰もいない砂漠に立つと風の音しか聞こえない。自然のエネルギーが体を吹き抜けていくようだ。風で舞った砂がサラサラと転がり、風紋の上を渡って行く。刻一刻と表情を変える風紋は自然界が作るアートそのもの。美しい景色に気を取られ、気がつけば口の中も耳も鼻も砂だらけだ。スマホを含め、カメラ類は注意が必要。
砂漠に沈む美しいサンセットも
砂漠のスリルをしっかり味わった後は、ゆったりと夕日鑑賞を楽しむ。果てしない砂漠の奥にゆっくりと沈んでいく夕日は実にゴージャスだ。いつまでも眺めていたいほど美しい。
世界には多くの砂漠地帯が存在し、観光資源にも利用されているが、これほど豪快かつ素晴らしい眺めも楽しめるアクティビティーはそうないだろう。さらに近くの海岸線沿いには「ペルーのガラパゴス」とも呼ばれるバジェスタス島が浮かぶ。ぜひセットで訪れたい。