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裸づきあいから考える“サードプレイス”。『銭湯図解』『公衆サウナの国フィンランド』

裸づきあいから考える“サードプレイス”。『銭湯図解』『公衆サウナの国フィンランド』
撮影/馬場磨貴

マイ銭湯ができた。2週間に一度、仕事でとても疲れた日の夜や、だらだらしてしまった休日の夕方にふらっとのれんをくぐる。広い空間で思う存分に体を伸ばして熱いお湯につかったり、地元で商売をしているらしいおじさんと若いお兄さんの話が耳に入ってくるのはなんだかとても心地よい。

サウナと水風呂を繰り返すことで得ることができる「ととのう」経験もした(詳しくはインターネットで調べてみてください)。ぼんやりした目であたりを見渡してみると、自分よりも若い世代も多いことに気がついた。これは単なる懐古趣味をおしゃれとして消費する一過性のブームに過ぎないのだろうか、などと考えながら読んだ2冊の本が面白かった。

一人の女性による銭湯の愛の結晶『銭湯図解』

1冊目は、設計事務所出身の塩谷歩波さんによる『銭湯図解』だ。アイソメトリック図という建築の図法で、銭湯の建物内部の細密な俯瞰(ふかん)図で描いたものだ。図には、水彩着色が施され、彼女による綿密なリサーチによって細かい建物のディテールが書き込まれ、時間を忘れ、見入ってしまう。かつて今和次郎が提唱した考現学の手法を現代銭湯にあてはめているようにも見えて面白い。

裸づきあいから考える“サードプレイス”。『銭湯図解』『公衆サウナの国フィンランド』
『銭湯図解』塩谷歩波著 中央公論新社 1,620円(税込み)

また、「泣きたくなると、行きたくなる銭湯がある。」といった味わいある文章で24軒の銭湯が紹介されている。塩谷さんは、激務による体調不良で休職していた際に銭湯の魅力を知り、ひょんなことから描き始めた銭湯図解がツイッターで拡散され、話題になった。今では、杉並区の小杉湯の番頭も務めているというからその愛は本物だ。

フィンランドサウナの歴史と、日本の銭湯のシンクロニシティー

フィンランドは、空前の公衆サウナ・ブームの真っただ中にあるそうだ。そのブームを追ったのが『公衆サウナの国フィンランド 街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス』だ。

クールなデザインと現代的なビジネスモデルによって海辺のツーリズム拠点になっているサウナから、管理人不在ながら利用者によって運営される掘っ立て小屋のようなサウナ、そして自宅のサウナを一般に開放するイベントなど、多種多様な公衆サウナ・ムーブメントの仕掛け人へのインタビューから現代人の居場所となったサウナをひもといている。

裸づきあいから考える“サードプレイス”。『銭湯図解』『公衆サウナの国フィンランド』
『公衆サウナの国フィンランド 街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス』こばやしあやな 著 学芸出版社 2,000円+税

本書に関して当店で行ったトークイベントでは、著者のこばやしあやなさんに、盛り上がりをみせる日本における銭湯と遠く離れたフィンランドの公衆サウナについて、「ひとの居場所」や「街の文化」といった切り口から共通点を語っていただいた。

こんな2冊を読んでいたら、また銭湯に行きたくなってしまった。

裸づきあいから考える“サードプレイス”。『銭湯図解』『公衆サウナの国フィンランド』
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PROFILE
嵯峨山瑛

さがやま・あきら
二子玉川 蔦屋家電 建築・インテリアコンシェルジュ
大学建築学科卒業後、大学院修了。専門は都市計画・まちづくり。 大学院在学中にベルギー・ドイツに留学し建築設計を学ぶ。 卒業後は、出版社やリノベーション事務所にて、編集・不動産・建築などの多岐の業務に関わる。

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