「脂の木曜日」に食べるもの…、日本人の知らないポーランドグルメ7選

今年は日本・ポーランド国交樹立100周年の年。幾重にも重なる歴史を乗り越えてきたポーランドは親日国としても知られるが、この国の料理って一体どんなの? 日本でお目にかかることはそうないし、イメージが湧かないという人がほとんどだろう。
実はポーランドの「ポー」は平原を意味する。日本より少し小さい国土のほとんどは平らで農地面積が広い。農業や畜産がとても盛んなので食料自給率が高く、野菜は新鮮、ソーセージやチーズも絶品だ。しかし、それだけにはとどまらないポーランドグルメを食べ歩いてきた。(文・写真/鈴木博美)
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1.「脂の木曜日」に食べまくる! ポーランド人が愛する揚げドーナツ
ポーランド国民が愛してやまないのが丸形のドーナツ「ポンチキ」。その証しに、ポーランドでは「脂の木曜日」という日にポンチキを食べまくる。「脂の木曜日」はキリスト教における四旬節と関係した行事。四旬節の期間中(40日間)はぜいたくをすることが控えられていたため、ポーランドでは、その前に大好きなポンチキを食べ納めようということのようだ。この日に一つもポンチキを食べないと不幸が訪れるとまで言われている。
そんなポンチキは一見あんドーナツのようだが、カリッとした表面の食感、中はふかふかで香り高いバラのジャムが入っているのが特徴。揚げたてがもっともおいしいので開店時間を狙おう。1個100円ほどで最近はクリームやチョコレートなどフレーバーが豊富だが、ここはあえて定番のバラジャムにこだわりたい。
人気のポンチキ専門店
Cukiernia Pawłowicz
住所:Chmielna 13 Warszawa
営業時間:月-金9:00-20:00、土日10:00-20:00
2.水ギョーザそっくりの伝統料理
ポンチキ同様に国民食といえるのが、水ギョーザそっくりの見た目のピエロギだ。日本のギョーザより厚めの皮にひき肉やチーズ、きのこなどの具材が包まれ、店によってソースも様々。スープに浮かんでいるものやさくらんぼを包んだデザート風などもあり、バラエティーに富んだ楽しい食べ物。
ピエロギは郷土料理のレストランなら必ずあるし、街なかにはピエロギ専門店も多く見かける。ワルシャワの人気スポットでもある市場「ハラ・ミロフスカ」にも手作りピエロギ屋がいくつかあり、その場で温めてくれる店もある。
ワルシャワの台所「ハラ・ミロフスカ」
Hala Mirowska
住所:plac Mirowski 1 Warszawa
営業時間:7:00-20:00 日休
3.ベーグルの元祖!? 古都クラクフ名物のパン
ポーランドには、ニューヨーク名物・ベーグルの元祖という説もあるパン、オブヴァジャネックがある。パン生地を最初にひねってからリング状の形に整え、発酵後に一度ゆでてから焼きあげるベーグルとプレッツェルを足して割ったようなパンだ。目の詰まったもっちりとした食感は、ほのかに甘みを感じるシンプルな味わいが特徴。1個で十分おなかが膨れる。
このパンの発祥の地とされるクラクフの旧市街では移動式の青いワゴンでオブヴァジャネックを販売しているが、朝のパン屋で買うできたてのオブヴァジャネックも絶品。ここでしか食べられない名物のパンをぜひお試しいただきたい。
4.ポーランドのみそ汁? 酸味がクセになるスープ
ライ麦を発酵させた液体から作るやや酸味のあるスープ、ジュレック。酸味がある分、好き嫌いは分かれるが、日本通のポーランド人が「ポーランドのみそ汁」と言うほど、現地では一般的な料理だ。家庭料理なので具材や作り方は家庭により多少異なる。通常は、ソーセージかゆで卵、もしくはその両方が入っている。さらにパンをくりぬいた器に入れて出すレストランもある。食べる直前に西洋わさびを入れると味が締まってさらにおいしい。
5.最もポピュラーなポーランドの家庭料理
ヨーロッパで広く食べられている「シュニッツェル」のポーランド版、コトレット・スハボーヴィ。いわゆるカツレツだ。ジュレック同様、ポーランドを代表する家庭料理のひとつである。塩コショウで味付けした肉を薄くたたいて衣で包み、両面がキツネ色になるまで揚げ焼きにする。付け合わせはゆでたジャガイモ(またはフライドポテト)とカプスタ・キショナというキャベツの漬物が定番だ。
「シュニッツェル」のポーランド版はここ!
Dawne Smaki
住所:Nowy Świat 49 Warszawa
営業時間:月–木12:00~24:00、金・土12:00~翌1:00、日12:00~23:00
http://dawnesmaki.pl
6.ベイクドチーズケーキはポーランドが発祥!?
乳製品がおいしいポーランドで見過ごすわけにはいかないのがチーズケーキ。甘すぎず濃厚な味わいで、巨大サイズでもペロリと食べられる。世の中のベイクドチーズケーキの原形は、ポーランド南部の山岳民族の郷土菓子「セルニック」と言われている。セルニックとはポーランド語で「チーズケーキ」という意味。オブヴァジャネック同様、ポーランド移民によってアメリカに持ち込まれ、世界に広がったという説がある。
チーズケーキがおいしい店
E. Wedel Chocolate Lounge
住所:Szpitalna 8 Warszawa
営業時間:月-金8:00~22:00、土9:00~22:00、日9:00~21:00
他、国内に多数店舗あり
https://www.wedelpijalnie.pl
7.民芸品みたいなユニークな見た目のチーズ
ポーランド南部の山岳地帯で作られる伝統的な燻製(くんせい)チーズ、オスツィペック。羊のミルクで作られており、円錐(えんすい)形に模様が入っている。ユニークな見た目は一瞬、木彫りの民芸品と見間違うほど。しっかりとした食感と塩気が特徴で、スライスしてフライパンで軽く焼いて食べると、チーズがトロッとしてとてもクリーミー。地元では焼いたチーズをクランベリージャムと一緒に食べるそうで、塩気と甘酸っぱいジャムがよく合う。チーズ好きならぜひ試していただきたい。クラクフ以南で購入できる。
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