夕暮れの給水塔「Water Towers ― Beyond The Twilight」

写真家の比留間幹さんの写真展「Water Towers ―Beyond The Twilight」が東京・銀座で開かれます。&wのフォトギャラリーでもご紹介した写真集『給水塔』から4年。今回は「夕刻過ぎ」に特化した展示だそう。

そう、日が暮れてしまう前に帰りつかなくては!と思いながらもつい目を奪われる、あの時間帯の世界の美しさが、どの写真からもあふれてきます。
比留間さんからのメッセージと合わせて、その一部をご紹介します。

——————————–

夕暮れの給水塔。
その佇(たたず)まいを眺める時、何故か切なくも懐かしいそんな気持ちになります。
けっして確たる原体験があるわけでもないのに湧き上がるその感情、
その源が知りたく、日没前後の撮影を重ねてきました。

日中の光の下、周囲になじまぬ唐突な異物として在った武骨な姿が夕闇の中へと溶け出す時、
その巨体から滲(にじ)み出す不思議な力が周囲の時空の流れを歪ませていきます。
心の奥底に眠る記憶、見たことのない過去、知るはずもない未来……。
それらが刻一刻と様相を変える空とないまぜに塔の周りで渦巻き、
まるで甘美で焦燥感にあふれた楽曲のコーダのただ中へのみ込まれていくような感覚に襲われます。

そして夜。
闇に身をひそめた給水塔はまるで真夜中の古井戸。
そこへ近づく時、いつも軽い畏怖(いふ)の念につつまれます。
そしてその稼働音に、緞帳(どんちょう)の陰の役者の息遣いを聞くような、
秘密めいた禁断の領域を感じます。

かつては一般的であった給水方式の中核として、誇らしげに各所にそびえ立っていた給水塔も
今や時代に遅れ次々と姿を消し、装置としての寿命はまさに落陽の時を迎えました。
そしてその撮影は塔たちの落暉(らっき)の声に耳そばだてることでもあったのです。

撮影を進めるうちに、落日、構造物としての終焉、人生の刻、
それらが渾然(こんぜん)と一つのベクトルに並び、ひとつの作品へと凝結していきました。
黄昏(たそがれ)そして落陽の先——Beyond The Twilight
それは薄暮を超え闇の中へと消えゆこうとする存在を理解し表現するのにふさわしい時間帯でした。

既になくなった、そして近い将来消えていく給水塔の声と自分の気持ちの記録、
夕刻過ぎに交わした塔たちとの会話です。    ―――比留間幹

フォトギャラリーへ(写真をクリックすると、くわしくご覧いただけます)

比留間幹写真展 Water Towers ―Beyond The Twilight

日時:2019年10月3日(木)~9日(水)
   10時半~18時半(最終日15時まで)日・祝休館
場所:キヤノンギャラリー銀座
TEL:03-3542-1860

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