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札幌で飲んだら「シメパフェ」を 新名物の店をハシゴした

札幌名物「シメパフェ」をご存じでしょうか。「シメ」は「締め」。お酒を飲んだ後にいただくパフェのことです。場所柄、締めはラーメンかと思いきや、4、5年前からシメパフェが人気を集め、今や20軒以上がしのぎを削る激戦区に。いったい、なぜ? 札幌でシメパフェ店をはしごして考えました。
(文・写真 &TRAVEL副編集長・星野学、トップ写真は「パフェ、珈琲、酒、佐藤」のメニュー)

破れかぶれのシメパフェはしご

パフェを食べたのは、このハシゴが38年ぶりでした。高校生の時、学校帰りに入った喫茶店で、ふと思いついて頼んだチョコレートパフェ以来のこと。あまりの甘さに後悔しながらかろうじて完食したものの、その体験がトラウマになったのか、パフェといえば私にとっては、敬して遠ざける甘味の筆頭になっていたのです。

札幌で飲んだら「シメパフェ」を 新名物の店をハシゴした

筆者はパフェが苦手だった(Radu Bighian/Getty Images)

ところが、札幌出張の下調べをしていると、お酒を飲んだ後にいただく「シメパフェ」なるものがはやっているようです。編集部の甘い物好き女子複数にたずねると、「知ってますよ」「最近は東京にも店があります」とのこと。「もちろん食べますよね?」と詰め寄られ、「甘い物は苦手」と言えなかった自分を呪うことしきり。こうなったら破れかぶれだ。店をハシゴしてシメパフェ道を極めてみせるぞ。

シメパフェというからには、夜の食べ物なのでしょう。そこで、夜の営業を軸にした個性の異なる人気店を三つ選び、回ってみました。日中、札幌市内の美術館で取材した「テオ・ヤンセン展」にご同行いただいた、名古屋造形大教授の高橋綾子さんと一緒です。

酒のシメでもアテでも 「パフェテリア パル」

札幌で飲んだら「シメパフェ」を 新名物の店をハシゴした

「夜パフェ専門店 パフェテリア パル」。ビル6階の店は、入り口がふたつ

2019年8月1日、居酒屋で軽く飲んだあと、夜のとばりに包まれた繁華街「すすきの」の一角にある1軒目へ。南4条西2丁目の「夜パフェ専門店 パフェテリア パル」です。雑居ビルの6階と7階に、計約80席を構えています。

「4年前のきょう、グランドオープンしました」と、お店を経営する「GAKU」の、パフェテリア部門部長兼統括マネージャー山本裕美さん。お酒の後のシメとしてだけでなく、お酒と一緒にも食べられるよう、甘さは控えめ。メニューは随時入れ替え、旬のフルーツを使うなど季節感を大事にしています。夜パフェ店を開く前から経営していたリゾット専門店の、手作りジェラートのノウハウを生かせるメリットもあったそうです。

「それぞれのパフェに合うお酒もありますよ」と山本さんに促され、手描きのメニューにあったパフェ6種類から、高橋さんは「Princess Peach」(プリンセスピーチ、1750円)を選んでスパークリングワインと組み合わせ、私は「ひまわりの約束」(1650円)とサングリアを注文しました。

待つことしばし。運ばれてきたのが、これ。

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左のパフェが「ひまわりの約束」、右は「Princess Peach」

「Princess Peach」は、グラスにふたをするようにモモを敷き詰め、その上に乗せたお姫様の体はクッキーです。グラスの中央付近にあるハートの飴(あめ)はフランボワーズマカロンにつけてあり、グラスの底にはシャンパンクリームが。

「ひまわりの約束」は、ひまわりの花はメレンゲ、茎は飴、グラスにふたのように乗っているのはシフォンケーキのラスク、中にセロリのジェラート。グラスの模様に見えるのも全部食べ物です。

あまりの見目麗しさにどう食べていいかわからず、高橋さんと2人でたじろいでいると、「上からでなく、全部混ぜて召し上がって下さい」と山本さん。

え、ぐちゃぐちゃにするんですか? しばしためらった後、意を決して、盛り付けた具材をグラスの底にえいえいっと押し込めてまぜまぜ。すっかり様変わりしたパフェをすくって食べてみると……。

札幌で飲んだら「シメパフェ」を 新名物の店をハシゴした

同じビルの7階にも「パフェテリア パル」が

うまい! 吟味された素材が互いを引き立て合い、冷製スープのよう。甘みは感じますが、それほど気になりません。確かに、これなら酒のアテになる。もちろん、上から少しずつ食べれば、それぞれの味わいを楽しめます。でも、すべての素材を混ぜ合わせたときの味や風味まで計算してあるとは驚きでした。

開店当初は若い女性客が目立ったそうですが、今は男性のビジネスパーソンも多いそうです。私が訪れた日も、男性ばかり4、5人のグループを見かけました。

■「夜パフェ専門店 パフェテリア パル」
http://risotteria-gaku.net/parfait

パフェ組み込んだコースも 「佐藤」

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「パフェ、珈琲、酒、佐藤」の外観=アリカデザイン提供

2軒目は中央区南2条西1丁目の「パフェ、珈琲(コーヒー)、酒、佐藤」です。最初の「パフェテリア パル」から徒歩10分ほど。午後10時に着くと、店の外には20人ほどの列が。店内は25人のお客さんでほぼ満席です。30代以下の若い女性が多く、男性は私を含めて6人です。

定番パフェは4種類。私はその中から、人気が高いという「塩キャラメルとピスタチオ」(1150円)を、高橋さんは「季節のフルーツ」(1370円)を頼みました。合わせる飲み物は何にしようか……。キャラメル、の文字にまったりした味を連想し、ウィスキー「余市シングルモルト」のオンザロックを選びました。

パフェを待つ間メニューを眺めていると、「堪能コース」(2600円)が目にとまりました。好みの酒1杯、「気まぐれ1皿」の肴(さかな)、パフェ、コーヒーがセットになっています。パフェを料理の一品とみたてたつくり。お得感がありますが、食事はもう済ませてしまったし……と、堪能コースへの変更はあきらめました。

やがて、来ました、来ました。「塩キャラメル」はショートのカクテルグラス、「フルーツ」はロンググラスに盛り付けてあります。このお店も、見た目の美しさは格別です。食べ方指南はとくになかったので、上から順にいただくことに。

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「塩キャラメルとピスタチオ」(左)と、「季節のフルーツ」

「塩キャラメル」のトッピングは薄い焼き菓子のアーモンドチュイールと、キャラメルとピスタチオのアイスクリーム2種。どれもまったりした風味で、ウィスキーとの相性はなかなか。とりわけ、濃厚なキャラメルアイスは、樽香(たるこう)のきいたウィスキーとばっちり合いました。

トッピングを食べ終えた後のグラスの中は、あっさり味。酸味のあるカシスムース、ふわりとしたソフトクリーム、そして、底にはさわやかなリンゴのジュレ。上から下まで食べ進むと、自然にお口直しになりました。

札幌で飲んだら「シメパフェ」を 新名物の店をハシゴした

「パフェ、珈琲、酒、佐藤」の店内=アリカデザイン提供

「北海道産の素材にこだわり、味の起承転結を考えています」と、お店を経営する「アリカデザイン」のフードコーディネーター岡元優子さんは話します。北海道は乳製品が豊富なこともあり、アイスクリームやソフトクリームが好きな人も多いそう。「冬の室内は暖房がきいているので、道の駅に寄ったら寒くてもソフトクリームを買っていく方がいますし、雪の降る日にアイスクリーム店に行列ができているのもよく見ます」。このお店では、2人で来て4種のパフェを分け合って食べ尽くすお客さんもいるとか。まさに「一日を締めくくる自分へのご褒美」です。

■パフェ、珈琲、酒、佐藤
http://pf-sato.com/

レモン丸ごと鎮座 「幸せのレシピスイート」

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「幸せのレシピスイート~大通店」

そしていよいよ3軒目へ。「佐藤」から5分ほどの南2条西4丁目「幸せのレシピスイート~大通店」に着いたのは、午後11時すぎでした。おとぎ話をモチーフにした、メルヘンチックなつくりのお店です。パフェに使うジェラートは素材の段階から監修・生産に携わるこだわりです。

常時10~12種類用意しているパフェの中から、私は、クリームチーズジェラートを用いた「チーズスフレパフェ 笑顔の猫のひみつ」(1580円)を、高橋さんは、レモンを丸ごと1個どんと置き、ソルベやジェラートをぐるりと配した「レモンと魔法のランプ」(1980円)を。ここのメニューには、各パフェに合わせるお薦めの酒も記されており、私はブランデーのレミーマルタンを、高橋さんはドイツの白ワイン、フロイデ・リープフラウミルヒを頼みました。

札幌で飲んだら「シメパフェ」を 新名物の店をハシゴした

メニューもメルヘンチック。パフェが写真ではなくイラストで紹介されている

運ばれてきた「笑顔の猫のひみつ」は、大きなパルミジャーノ・レッジャーノせんべいがささっていました。食べたら、とてもまろやか。スフレやジェラートにも使われているチーズの味が、ハスカップのコンポートやピスタチオなど、さまざまな素材をまとめています。ブランデーが進みます。

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右のパフェが「チーズスフレパフェ 笑顔の猫のひみつ」、左が「レモンと魔法のランプ」

「レモンと魔法のランプ」に鎮座したレモンは、飾りではなく、食べてもらうためのもの。でも酸っぱくて食べ切れないのでは……。そこで、添えられた「魔法の実」こと、ミラクルフルーツを3分ほどなめます。この赤い実は次に食べたすっぱいものを甘く感じさせるため、丸ごとレモンもぺろり、というわけです。高橋さんも試したら「ほんとだ、レモンが甘い!」と驚いていました。

ブランド確立に同業者がタッグ

「私たちが提供するのは、大人が楽しめるパフェです」。そう話すのは、このお店を経営する「イノヴェッグ」の高崎雄大・取締役CEOです。札幌市内で同社がパフェ専門1号店をオープンさせたのは2015年7月。それ以前から経営していたイタリアンレストランでパフェを用意したら予想外の人気を呼び、不思議に思ったことがきっかけでした。調べたところ、当時市内に3~4店あったパフェ専門店で、飲んだあとのパフェが水面下のブームに。「吹雪の日に満席だったり店外に行列ができていたり。需要に供給が追いつかない状態と感じました」

札幌で飲んだら「シメパフェ」を 新名物の店をハシゴした

札幌シメパフェをPRするのぼり

自らもパフェ専門店に参入。同業者と「札幌パフェ推進委員会」を立ち上げ、「札幌シメパフェ」の名でPRに取り組みました。おいしさだけでなく見た目の美しさも追求したことで、SNS普及の波にうまく乗り、全国区に。2019年9月30日現在、札幌パフェ推進委員会の公式ホームページでは24店が紹介されています。

「今はまだブームの段階にある札幌シメパフェを、文化として根付かせたい」と、高﨑さんは話していました。

■パフェ専門店 幸せのレシピスイート
http://sweet.innovegg.jp/

シメパフェのあと、さらにシメ

乳製品の一大産地で、冬でもアイスをよく食べるという下地があり、素材や見た目の創意を競いあううちに、SNSの波に乗って全国区に――。なるほど、そういうことかと納得しつつ、宿泊先のホテルへ向かいます。

札幌で飲んだら「シメパフェ」を 新名物の店をハシゴした

夜のすすきの(恵原弘太郎撮影/朝日新聞社)

お酒とパフェのマリアージュという意外性に心は興奮していますが、甘い物のハシゴという慣れない体験に体はお疲れ気味。ふと思い立って、宿の近くのコンビニで買ったのが、札幌ラーメンの名店「すみれ」味のカップ麺。そう遠くない場所に実店舗があるのだから食べに行けばいいのですが、さすがに気力がありませんでした。

こぢんまりとしたホテルの部屋で、シメパフェの後にまたシメラーメンをいただく、何とも奇妙な一日の終わりとなりました。
(メニューや価格は取材時のものです)

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