めぐり、めぐって純喫茶
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笹塚の商店街で見つけた「南蛮茶館」 画家のマスターが持つこだわりのコーヒーとナポリタン

昭和の香りただよう純喫茶には、そのお店ならではのストーリーや、おいしいコーヒー、そして食事があります。ともに1996年生まれの俳優・見津 賢と写真家・ヨシノハナが、東京のさまざまな純喫茶をたずねる本連載、第3回は笹塚の「南蛮茶館」です。

 

笹塚の商店街を歩くと見えてくる「南蛮茶館」

雨の日は、どこにも行く気がなくなってしまうこと、ありますよね。ぼくは降りしきる雨の中でも、わざわざ家を出て、落ち着いた喫茶店でまったりと過ごすのが好きです。そんな雨の日でも行きたくなる、こだわりのナポリタンが食べられる純喫茶をご紹介。

新宿からもほど近く、そして、のどかな雰囲気から「住みやすい街」として知られる笹塚。最近では駅前にショッピングセンター「フレンテ笹塚」ができるなど、快適さはさらに増している印象です。

一人暮らしからファミリー層まで、さまざまな人が暮らすこの街は、駅周辺に複数の商店街を有する、下町の雰囲気がある街としても知られています。ぼくがなんの情報もなく、偶然喫茶店に出合うのは圧倒的に下町が多いのです。下町に純喫茶あり。そこで今回訪れたのは、「観音通り商店街」のビル2階、「南蛮茶館」です。

笹塚の商店街で見つけた「南蛮茶館」 画家のマスターが持つこだわりのコーヒーとナポリタン

まず目に入るのは、階段の入り口にあるこの置き看板。ぱっと見では、ここに喫茶店があることに気づかなそう。しかしこのイラストは目を引きますよね。看板から、コーヒー専科の喫茶店であることがよく分かります。

笹塚の商店街で見つけた「南蛮茶館」 画家のマスターが持つこだわりのコーヒーとナポリタン

階段にも店名の切り抜き文字が並びます。こういうグリーン系の色味に弱い。すぐにかわいいと思って、お店に入ってしまいます。2階にあるお店は、上がるのに勇気が必要。けれど、恐る恐る入るようなところこそ、経験上、面白くて良い純喫茶です。早速、店内に入ってみます。

すると、入り口からは想像できないくらい広いフロアが。暖かいランプの光に、年月を経て、少しあせた壁紙。

笹塚の商店街で見つけた「南蛮茶館」 画家のマスターが持つこだわりのコーヒーとナポリタン

至るところに時代を感じさせる置物や絵画、観葉植物にビンテージのコーヒーミル。そしてコーヒー専科らしい、重厚なカウンターとウッドテーブル。なんだろう。単にものが配置されているだけではなく、そこには、ある一定の芸術性が感じられるほどに統一されている。何か秘密があるのかもしれません。早い時間に訪れましたが、もうすでに常連さんがちらほら。

すると、「いらっしゃい、ここ使っていいよ」とマスターが広い席に案内してくれました。

笹塚の商店街で見つけた「南蛮茶館」 画家のマスターが持つこだわりのコーヒーとナポリタン

この日は朝から蒸し暑い。だから、まずアイスコーヒーを注文。すると「うちのアイスコーヒーは甘いから、飲むときはミルクをたらす。混ぜちゃいけない。ストローも使わない。そのままで飲むのがおすすめだよ」と南蛮茶館流の飲み方を教えてもらいました。

笹塚の商店街で見つけた「南蛮茶館」 画家のマスターが持つこだわりのコーヒーとナポリタン

とりあえず、言われた通りに飲んでみます。最初は「どんな味になっているんだろう」と思っていましたが、分離しているミルクの層とコーヒーの層が、同時に流れ込み、甘さと苦さの絶妙なバランス感は、コーヒーゼリーを思い出します。これは、喫茶店でときたま目にする。オレグラッセのようなものですね。

この様子だと、お目当てのナポリタンも相当なこだわりがあるんじゃ……と思い注文しようとすると、「うちはサンドイッチがおすすめだよ」と。そう、ここのサンドイッチは雑誌などでも何度か取り上げられているくらい人気。

しかし、今回あえてナポリタンを紹介したいと思ったワケは、喫茶店好きの友人が「ここのナポリタンはうまい」と言っていたから。サンドイッチの有名な店で、まだあまり知られていないおいしいナポリタンを食べてみたい。雑誌には載っていない一面を知りたいというのも、この企画のコンセプトなのです。

笹塚の商店街で見つけた「南蛮茶館」 画家のマスターが持つこだわりのコーヒーとナポリタン

しばらく待っていると、念願のナポリタンがサーブされます。おお、ボリューミー! ナポリタンを注文すると、キャベツのサラダ、バターバゲットがついてきます。すでに麺を炒める音と香りでおなかはペコペコ。さっそく頂きます!

笹塚の商店街で見つけた「南蛮茶館」 画家のマスターが持つこだわりのコーヒーとナポリタン

この味を何と表現すればいいのでしょう。そうだな……スパイシーかつ、濃厚な大人な味。麺ももっちりしていて食べごたえがあります。お店を訪れたのは朝ですが、しっかり食べられる。それにしても濃厚な味が気になります。味付けは少し独特なのかな? 

マスターにお話を聞いてみると、「ソースを2日かけて煮込む。すこしクセがあると思った? それはオレガノ、ナツメグ、タイムなどのハーブを、何種類か入れているからなんだ。濃厚なのは生クリームが入っているから。うまい?」

おいしいに決まっています! ソースにこだわって作っているからこそ、このお店ならではの味が出せるんだなあ。友人のおすすめに間違いはなかった。ちなみに材料は、ニンニクの代わりにショウガを使っているそう。これはうれしいですよね。もともとはサンドイッチしか出していなかったとのことですが、常連さんの要望でナポリタンを作り始めたそうです。

笹塚の商店街で見つけた「南蛮茶館」 画家のマスターが持つこだわりのコーヒーとナポリタン

食べ終わってデザートにチーズケーキを頂きました。レアチーズ、すごく濃厚でおいしい。こちらもマスター自慢の自家製。甘さと酸味が絶妙なのは、レモン果汁を入れているからなんですね。

ここで、店内に飾ってある絵画について尋ねてみます。「飾ってあるのは全部自分で描いたものなんだよ」。なんとマスターは画家。いろいろな作品展で賞をもらっているほどだそうです。店内の「芸術性」、最初にそう思ったのはそういうことか!

笹塚の商店街で見つけた「南蛮茶館」 画家のマスターが持つこだわりのコーヒーとナポリタン
笹塚の商店街で見つけた「南蛮茶館」 画家のマスターが持つこだわりのコーヒーとナポリタン

店内の空間づくり、そしておいしいナポリタンやチーズケーキ。そのすべてに南蛮茶館というお店へのこだわりが感じられました。次はマスターがサイホンで淹れた、コーヒーを飲みに来たいなと思いながら、次の喫茶点へ向かいます。

(ランチセット ナポリタン 830円 チーズケーキ 450円 すべて税込み価格)
※価格は10月いっぱいまで

TEL 03-5454-5503 東京都渋谷区笹塚1-22-7

 

笹塚の商店街で見つけた「南蛮茶館」 画家のマスターが持つこだわりのコーヒーとナポリタン

(文・見津 賢 写真・ヨシノハナ)

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