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宇賀なつみ わたしには旅をさせよ
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こんな大人になりたい。瀬戸内の船旅 宇賀なつみがつづる旅(4)

フリーアナウンサーの宇賀なつみさんは、じつは旅が大好き。見知らぬ街に身を置いて、移ろう心をありのままにつづる連載「わたしには旅をさせよ」をお届けします。今回は、ずっと憧れていたという瀬戸内の船旅。素敵な出会いもありました。

(文・写真:宇賀なつみ)

「ただ、漂う 瀬戸内」

目覚めると、海に浮いていた。

ごく自然に、当たり前のようにそうしていたから、
一瞬、ここがどこなのかわからなくなってしまう。

瀬戸内海に浮かぶ宿「ガンツウ」。
ずっと憧れていた船旅は、想像を超える素晴らしさだった。

朝日が昇ってから、夜が更けるまで、
とにかく、何もすることがない。
正確にいうと、しなければいけないことが何もない。

行き交う船や流れていく島の景色を、
ぼんやりと眺めているだけ。
色の変わっていく空を、
あんなに長い時間、見上げていたのは初めてだった。

こんな大人になりたい。瀬戸内の船旅 宇賀なつみがつづる旅(4)

おなかが空(す)いたら何か食べればいいし、
眠くなったら寝てしまえばいい。
午前中からお酒を飲んでもいいし、
一晩中湯船につかっていてもいい。

あまりの快適さに、海の上であることを忘れてしまう。

こんな大人になりたい。瀬戸内の船旅 宇賀なつみがつづる旅(4)

そう、きっと旅に出ているのはこの宿で、
私はただ、その上にちょこんと乗って、漂っているだけなんだ。

この感覚は、一度味わってしまうとやみつきになる。
リピーターが多いというのもうなずける。

私自身、学生時代からずっと、
何かに追われるように旅をし続けてきたが、
他のどんな旅とも似ていない、新しい感覚を覚えた。

途中、希望する人はボートに乗って観光に出られる。
私は早朝の厳島神社を散歩したのだが、
まだ人の少ない宮島は、神聖な空気が漂っていて、
観光客でにぎわう昼間とは、全く違う表情をしていた。

陸に出かけて海に帰るという、
これもまた、不思議な体験だった。

こんな大人になりたい。瀬戸内の船旅 宇賀なつみがつづる旅(4)

素敵な出会いもあった。

乗船してすぐに声をかけてくれたメキシコ人カップルは、
日本が大好きだそう。
映画プロデューサーと歌手だというふたりは、
とても気さくで話しやすく、
いつ会ってもきちんとおしゃれをしていて、たたずまいが美しかった。

品良くチャーミング。
こんな大人になりたいなぁ。

もちろんぜいたくな旅。
そんなに簡単に何度も行けるわけではないが、
背伸びをするとのぞける世界もある。

普段からあまり具体的な目標を持たないようにしているのだが、
なりたい自分がみえたような気がした。

いつまでも少女のような心で、大人の財布を持って旅していたい。

そのためには、働かねば。
来年も、より一層精進します。

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