花を愛で、歴史を感じる開国ドラマの港町 静岡県下田市

伊豆半島の東南端の下田は、古くから天然の良港で、漁業や風待ち・潮待ち港など海の要衝として栄えた。江戸時代は江戸と上方を結ぶ航路の中継地、幕末はアメリカのペリー提督率いる黒船の来航で、鎖国していた日本が扉を開けた港町として日本史に名を刻んでいる。

下田漁港
沖合を流れる黒潮のせいか冬でも温暖だ。

ヤシやシュロなど南国的な気配の伊豆急下田駅前
伊豆急下田駅前からロープウェーで標高200メートルほどの寝姿山に立つと、眼下に下田港と下田市街、須崎半島や伊豆七島などが遠望できる。

ロープウェーに乗り約3分で着く360度展望の寝姿山
山上の遊歩道には四季によって様々な花々が咲く。展望台の他に法隆寺の夢殿を再現し、縁結びスポットとしても知られる「愛染堂」や下田生まれの幕末・明治の写真家で「日本写真師の祖」とも称される下岡蓮杖(しもおかれんじょう)の記念館など、見どころもたくさんある。
稲生沢川右岸の市街地には、悲劇の唐人お吉の記念館がある宝福寺、下田発展の歴史を展示した下田開国博物館、日米和親条約の細則を定めた「下田条約」が結ばれた了仙寺など開国の歴史ドラマに触れられる。

開国の歴史をしのばせる了仙寺
了仙寺から下田公園に向かう通りは、柳並木と石畳が整備されて「ペリーロード」と名付けられた遊歩道となっている。石造りや木造のしゃれたカフェや店が点在する。

ペリー提督に因んで名づけられたペリーロード
稲生沢川河口には干物店がならぶひもの横丁、重厚な「なまこ壁」の家や蔵が見られる古町通りなど、買い物やグルメを楽しみながらぶらり歩きができる。
数ある飲食店や温泉ホテル・旅館では日本一の水揚げ量を誇るキンメダイの刺し身や煮つけ、天ぷら、伊勢エビのお造りや殻焼き、みそ汁などいろいろな料理を堪能できる。伊勢エビの解禁は秋から春先まで。

名物のキンメダイ

伊勢エビ
時間があれば、船上から市街や寝姿山を眺め、幕末の黒船を体感できる遊覧船「黒船 サスケハナ」に乗船しよう。

白い野水仙と赤いアロエの花が咲く爪木崎
また伊豆急下田駅よりバスで約20分で行ける須崎半島先端の爪木崎では毎年12月20日から「水仙まつり」が始まる。寒気に凜(りん)として純白の花びらを開き甘い芳香を漂わせる300万本の野水仙は1月が盛りだが、暮れのうちに春の訪れを予感させる。アロエの花との紅白の取り合わせの花畑は、新春らしいめでたい絵柄である。
〈交通〉
・伊豆急行線伊豆急下田駅下車
〈問い合せ〉
・下田市観光協会 0558-22-1531
※都道府県アンテナショップサイト「風土47」より転載。