大人のガンプラ愛を呼び起こす! 開発担当者に聞く、40年の変化

幼い頃・若い頃に見たアニメ『機動戦士ガンダム』の影響を受け、そのプラモデル、いわゆる『ガンプラ』づくりに精を出していた。そんな方も多いのではないだろうか。

1980年に誕生した『ガンプラ』は、2020年で40周年を迎える。大人になってもガンプラをつくり続けている人がいる一方で、どこかの時点でガンプラ離れした人も多いのではないだろうか。

そんなガンプラ離れした大人たちに伝えたい。40年の時を経て、子どもの玩具だったガンプラが、大人も楽しめる玩具へと変化していることを。

ガンプラのいまに迫るべく、株式会社BANDAI SPIRITSでガンプラの開発を担当する狩野義弘さんに会いに、ガンプラの生産拠点である静岡市のバンダイホビーセンターを訪れた。

そこで知った40年間にわたるガンプラの進化とは――。

最初は単色、接着剤付きモデルから始まった

アニメ『機動戦士ガンダム』が放映された翌年、1980年7月に初のガンプラである『1/144スケール 機動戦士ガンダム』が誕生した。当時の価格は300円。パーツの色は白のみで、接着剤を使って組み立てた。

2020年で40周年を迎えるガンプラは、時代と共に進化を続けてきた。

狩野さんに、初期から大きく変化しているポイントを聞くと、「スナップフィット」と「多色成形」の二つを挙げてくれた。

大人のガンプラ愛を呼び起こす! 開発担当者に聞く、40年の変化
https://bandai-hobby.net/site/whatsgunpla.html (C)創通・サンライズ

1987年12月に発売された『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』シリーズから、接着剤を使わなくても簡単に組み立てられる「スナップフィット」が導入された。パーツ同士をブロックのようにはめ込んで組み立てることからこの名称になったそうだ。

大人のガンプラ愛を呼び起こす! 開発担当者に聞く、40年の変化
ホビーセンター工場内にはガンプラの素となるポリエチレンと金型がズラリと並んでいる ※画像に一部加工を施しています

そして1990年3月、ガンプラ発売10周年を記念して発売された『HG(ハイグレード)シリーズ』では、ランナー(プラモデルのパーツが付いた板)に「多色成形」が導入され、「いろプラ」の愛称を持っている。1枚のランナーに数種類の色を再現した成形方法で、塗装しなくても、アニメーションの表現に近いガンダムを再現できようになった。

大人のガンプラ愛を呼び起こす! 開発担当者に聞く、40年の変化
ガンダムをイメージしてつくられた多色成形機。左はガンダム風、右はドム風

さらに、2007年に発売された『FG(ファーストグレード)ガンダム00シリーズ』から、ランナーとパーツをつなぐゲート部分が簡単に折れる「タッチゲート」が、一部の製品に導入される。それまでのガンプラは、ランナーからパーツを取り外す際、ニッパーやカッターが必要だった。しかし、「タッチゲート」はゲート部分がとても細くなっているため、手で少し力を加えるだけで、パーツが取り外せるのだ。

この40年間は、コンピューターの普及と進化の時期にも重なる。ガンプラの設計にもコンピューターが用いられるようになり、パーツや色のシミュレーションがやりやすくなったという。「スナップフィット」と「多色成形」の技術も、どんどん洗練されているそうだ。

大人のガンプラ愛を呼び起こす! 開発担当者に聞く、40年の変化
ホビーセンター オフィス内。ガンプラの企画開発をしている

技術の進歩が生んだガンプラブランド

そんな技術の進歩に従い、ガンプラはどんどん種類を増やしていった。1980年代に主流だった“旧キット”と呼ばれるガンプラは『1/144』『1/100』の2種類を主流に、『1/60』の販売を行っていた。

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ガンプラ開発担当者 狩野義弘さん

このうち、誕生時のブランドである『1/144』スケールの進化は早かった。ガンプラ10周年を記念して販売された『HG(ハイグレード)シリーズ』は、現在のガンプラの基礎をつくったスタンダードモデルと言える。前述した『多色成形』の採用に加え、より多くの関節が動くよう設計され、アニメのポーズをとらせることも容易になった。どちらも当時の最新技術だ。

そして、『HGシリーズ』に続き、1995年にガンプラ15周年記念として『1/100』スケールの進化系『MG(マスターグレード)シリーズ』が立ち上がった。ガンダムの内部フレームを一部再現し始めたのが、この『MGシリーズ』だ。『1/144』と並ぶスタンダードブランドとして現在も高い人気がある。

そして、『MGシリーズ』誕生からおよそ3年後、1998年には『1/60』スケールの進化系『PG(パーフェクトグレード)シリーズ』が登場。“究極のガンプラ”としてつくられた『PGシリーズ』は、ガンダムの内部メカの細かい再現や金属パーツの追加など、まさに最高峰のブランドとして販売されている。最初の製品である「RX-78-2 ガンダム」の価格は1万円を超え、“大人の趣味”としての模型作りを想定した製品だった。

大人のガンプラ愛を呼び起こす! 開発担当者に聞く、40年の変化
https://bandai-hobby.net/site/whatsgunpla.html (C)創通・サンライズ

ほかにも、さまざまな進化モデルが販売されている。1987年に発売された『SD(エスディー)ガンダムBB戦士シリーズ』。ガンダムをデフォルメしたプラモデルとなっており、1990年代は『SDガンダムシリーズ』ブームが巻き起こった。また、2010年に発売された『メガサイズモデルシリーズ』は、ガンプラ最大となる『1/48』スケールで、とにかく大きさを追求している。

2010年にはさらに、ガンプラ30周年記念で『RG(リアルグレード)シリーズ』の発売も始まった。“本物”を追求しているブランドだという。お台場や静岡に設置された実物大のガンダムを、『1/144』スケールで再現しようと立ち上がったブランドであり、『1/144』スケールの中で、限界まで緻密なパーツ構成と質感が追求されている。

幅広いファンに愛された結果、新しいガンプラが誕生する

さまざまなブランドが立ち上がった背景には、40年の歴史があるからこそのファン層の変化がある。

ガンプラ発売当初は、当時『機動戦士ガンダム』のアニメを見ていた子どもがガンプラを楽しんでいた。いまは、幼少期からつくり始め、大人になってからもガンプラを愛する人、近年放送されたガンダムアニメを見てつくり始める人、家族でつくる人、模型好きな女性(通称、もけじょ)……そして、アジアを中心に海外でもガンプラを愛好する人が増加している。

2011年からは、ガンプラつくりの世界大会『GUNPLA BUILDERS WORLD CUP』が開催され、最近は世界16のエリアから参加者が集まっている。さまざまなターゲットのニーズを読み取り、大人から子どもまでが楽しめるガンプラを提供するため、多くのブランドが生まれたのだ。

大人のガンプラ愛を呼び起こす! 開発担当者に聞く、40年の変化
ホビーセンター工場内

そして、最新の技術を取り入れた新しいガンプラを生み出し続けられるのは、ひとえに多くのファンが支えている証拠でもある。

2019年4月にはガンプラ累計出荷数は5億個を突破した。ガンプラは一つのモデルを開発するのに、家一軒購入するほどの製作費用が必要だという。もし、大量生産して販売できなければ、一つあたりの販売価格は、より高く設定せざるを得なかったはずだ。ガンプラが多くの人に愛され、売れているからこそ、技術を使いながらもある程度値段を抑えられたのだとも言える。

2020年の40周年記念には、新しいガンプラが登場するそうだ。今後も新しい技術が導入され、さらなる進化を遂げていくことだろう。

次回は、現在まで築き上げてきたガンプラブランドそれぞれの特徴や魅力を紹介していく。

>>大人のガンプラ愛を呼び起こす! 開発担当者に聞く、7つのブランド 特徴と魅力

(文・阿部裕華 写真/動画・林紗記)

【動画】ガンプラの魅力を探るべく、バンダイホビーセンターに潜入した

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