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THE ONE I LOVE
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「愛」の概念を問い直す ROTH BART BARON三船雅也が選ぶ五つのラブソング

こんな時代だからこそ、愛を聴きませんか、語りませんか――。アーティストがセレクトした“愛”にまつわる楽曲を紹介する連載「THE ONE I LOVE」。

今回は、2018年の3rdアルバム『HEX』に続き、早くも4thアルバム『けものたちの名前』を完成させたROTH BART BARONの三船雅也さんにセレクトしてもらった。三船さんは「愛という言葉は、かつてはこれほど簡単な意味では使われていなかった」と言う。「愛」という根源的な概念を問い直す作業は、ROTH BART BARONの制作プロセスやニューアルバムのコンセプトにも共鳴するものだった。

 

<セレクト曲>
 1 John Lennon「Oh My Love – Take6」
 2 Sparklehorse「Gold Day」
 3 LCD Soundsystem 「All My Friends」
 4 Bon Iver「Hey, Ma」
 5 ROTH BART BARON「けもののなまえ(feat.HANA)」

 

「愛」の概念を問い直す ROTH BART BARON三船雅也が選ぶ五つのラブソング

 

■John Lennon「Oh My Love – Take6」

“愛”にまつわる5曲を選ぶという企画を聞いたときに、1970〜80年代に“LOVE”を広げたジョン・レノンを中心に考えてみようと思いました。ビートルズクラスになると、レコーディングのやり方とか曲づくりのプロセスなど、たくさんの文献や映像があります。僕は、もともと映画の裏方が好きで、本編よりも、制作のドキュメンタリーを見るほうが好きでした。だからビートルズにも同じ文脈で向き合ってしまったんですね。ジョン・レノンは、ビートルズ解散後に、(彼らしさが)かなり “むき出し”になったと思います。しっかりつくり込まれた作品より、生々しいものが好きです。この曲はイノセントで気持ちの純粋性が強いと思います。

 

■Sparklehorse「Gold Day」

音楽を始めたころに、よく聴いていた曲です。辛辣(しんらつ)でダークな歌詞を書く一方で、「今日はすごく天気がいい」のような、何でもない日常の描写を淡々と“Gold Day”として歌っています。以前、僕の友人で、生きるか死ぬかという重いがんで入院している人がいました。彼はそのとき、「特別なことよりも、普通にご飯を食べたり、兄弟で笑ったり、普通のことをやりたい」と言っていました。それがすごく価値のあることなんですよね。そんな感情がこの曲にも含まれています。

 

■LCD Soundsystem 「All My Friends」

若いころから一緒に成長してきた友達と馬鹿をやったという、一見、どうでもいいことが歌詞になっています。これもささいな日常。その時間が永遠に続くわけではないことを友達に語りかけています。散文的な歌詞の行間を読むと、人と人との間にある、友情でもない、一言では言い表せない何かが描写されている。ロックで疾走感がありながらも、物悲しさが表現されていると思います。考えもなしに“愛”とか“Love”と言って拳を突き上げるのも一体感が生まれていいですけど、本当はその形はみんなそれぞれ違うはず。

 

■Bon Iver「Hey, Ma」

「Ma」というのはママのことだと思います。ただし、母親を手放しで称賛しているのではなく、ただ語りかけているところがおもしろいし、リベラルな目線があります。人が人を思っても、結果、それは人に伝わらないことも多いですよね。友達のことをどれだけ思っても、僕には友達の病気は治せない。人間であるがゆえの感情の伝わらなさ、はかなさ、切なさなどのジレンマがある。でもそれをわかっていながらも、虚空に向かってほえている歌というか。それが物悲しさを感じさせるのかもしれません。そんな歌詞内容でありながら、音のプロダクションは最先端。そのギャップがおもしろいです。

 

■ROTH BART BARON「けもののなまえ(feat.HANA)」

前作の3rdアルバム『HEX』の制作時に120曲くらいつくったのですが、それでも満足できず、2010年代を締めくくる作品をつくりたいと思って、このリード曲「けもののなまえ」が含まれたアルバム『けものたちの名前』をつくりました。当初は、人間が持っている純粋性やイノセントな部分を表現したくて、子どもをテーマにしたアルバムにしようと思っていたんです。でも僕たちは音楽で線を引きたくない。大人もテーマに含めたいし、少年・少女と性別を区切ってしまうのは避けて、すべての人を含めたかった。そこで“けもの”という言葉なら全員にあてはまるのではないかと。

イエス・ノーの二項対立が強要されがちな世の中で、真ん中の人たちは無視されてしまいます。本当はその間にグラデーションがあるはずで、それを愛したり楽しんだりしたい。愛という言葉をそのまま使わず、分解して再定義したいです。この企画をいただいたときに、愛とは何かといろいろと考えてみました。この曲やアルバムのテーマにもなっている純粋性や無垢(むく)な感覚は、その答えの一つに成りえるかなと思いました。これを機会に、もうしばらく、愛について考えてみようと思います。

(企画制作/たしざん、取材・文/大草朋宏)

■ROTH BART BARON三船雅也セレクト「THE ONE I LOVE」プレイリスト

 

■最新アルバム『けものたちの名前』

■Profile
ROTH BART BARON
三船雅也(ボーカル/ギター)、中原鉄也(ドラム)による東京を拠点に活動している2人組フォーク・ロック・バンド。2014年、1stアルバム『ロットバルトバロンの氷河期』をアメリカ・フィラデルフィアにて制作。2015年、2ndアルバム『ATOM』をカナダ・モントリオールにて制作。2017年、EP『dying for』をイギリス・ロンドンにて制作。2018年、3rdアルバム『HEX』を発表し、『Music Magazine』『The Sign Magazine』を始め多くの音楽メディアにて年間ベストにランクイン。またサマーソニック、フジロックなど大型フェスにも出演し、活動は国内のみならずアメリカやアジアにも及ぶ一方、国の重要文化財「山形・文翔館」での公演も成功させる。独創的な内容とフォーク・ロックをルーツにした音楽性で世代を超え、多くの音楽ファンを魅了している。

INFORMATION

【LIVE SCHEDULE】

「愛」の概念を問い直す ROTH BART BARON三船雅也が選ぶ五つのラブソング

「TOUR 2019-2020~けものたちの名前~」

2月7日(金)福岡 博多 The Voodoo Lounge
2月8日(土)鹿児島 SR Hall
2月9日(日)「ROTH BART BARON × KO NAKASHIMA -2MAN LIVE in KUMAMOTO-」@熊本 NAVARO
2月10日(月)「kono hoshi no uta」@山口 岩国 Rock Country
2月11日(火・祝)大阪 梅田 シャングリラ
2月22日(土)愛知 名古屋 愛知芸術文化センター 中リハーサル室
2月23日(日)「~T-STUDIO Hello Hello vol.1~」@広島 福山 Cable
2月28日(金)北海道 札幌 Sound Lab mole
3月7日(土)「肘折国際音楽祭 2020」@山形 肘折いでゆ館 ゆきんこホール
3月8日(日)青森 八戸 Powerstation A7
3月14日(土)静岡 浜松 舘山寺~MINDJIVE~
3月22日(日)京都 磔磔

「ROTH BART BARON “けものたちの名前” Tour Final – Live at めぐろパーシモン大ホール」

5月30日(土)東京 めぐろパーシモン大ホール
OPEN 16:00 START 17:30

一般発売:2020年2月1日(土)AM 10:00〜

<参加アーティスト>
ROTH BART BARON(三船雅也、中原鉄也)

[with Musicians]
西池達也 (key/B)、岡田拓郎 (G)、竹内悠馬 (Tp/Key/Perc)、須賀裕之 (Tb/Key/Perc)、大田垣正信 (Tb/Key/Perc)、工藤明 (Dr/Perc)、ermhoi (Vo/Key)、HANA (Vo)、優河 (Vo)

[徳澤青弦 弦楽カルテット]
梶谷裕子 (1st Violin)、吉田篤貴 (2nd Violin)、須原杏 (Viola)、徳澤青弦 (Cello)

映像演出:近藤一弥
共同プロデュース:林口砂里

【関連リンク】

ROTH BART BARON | ロットバルトバロン
https://www.rothbartbaron.com/

ROTH BART BARON (@ROTHBARTBARON) | Twitter
https://twitter.com/ROTHBARTBARON

ROTH BART BARON (ロットバルトバロン) | felicity (フェリシティ)
https://1fct.net/artists/roth-bart-baron

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