これぞBMWの神髄といいたい 2シリーズグランクーペ

BMWが新型車「2シリーズグランクーペ」を発売した。日本でも2019年11月に発表されていたが、試乗できたのは、2020年2月にリスボンで開かれた国際試乗会が初めてである。これはかなりいい出来のクルマなのだ。
日本で日常的にクルマを使う人は、家族構成で、選ぶ車種が異なる(場合が多い)。例えば4人だとSUVを選びがち。これは世界的なトレンドだ。でも、2人という場合、ハッチバックやセダンが候補に入ってくる。
【動画】BMW2シリーズグランクーペの走行シーン(BMW AG提供)
2シリーズグランクーペは、いわゆる4ドアクーペで、ふだん前席しか使わない人たちにピッタリの車型。キャビンが後ろにいくにしたがって、より薄く見えるようにデザインされている。クーペが持つ前席重視のイメージを強調しているのだ。
でも、春を迎えつつあるリスボン郊外をいろいろ走ってみて、そんな単純な理由だけで乗る乗らないを決めてはもったいないクルマだと、よーくわかった。走りがいいし、乗り心地も快適で、大変よくできているクルマなのだ。

M235i xDrive グランクーペの4WDシステムは低負荷時は前輪100パーセントのトルクを配分し、そこから前後50対50までの可変(写真=BMW AG提供)
乗ったのは、ラインアップでもっともパワフルな225kWのエンジンにフルタイム4WDシステムを組み合わせた「M235i xDriveグランクーペ」と、前輪駆動のディーゼルモデル「220dグランクーペ」である。
ガンガン飛ばしてドライブそのものを楽しみたい人には、M235i xDriveグランクーペがいい。路面に張り付くように走るロードホールディング性と、上の回転域まで回して楽しいエンジン。ボディーの剛性感が高いし、ドライバーと一体感がある操縦性が味わえる。

スポーティーさとエレガンスを感じさせるBMWらしいスタイル(写真=BMW AG提供)
220dグランクーペは、M235i xDriveグランクーペに比べると140kWと出力はマイルドだ。それでも、最大トルクは400Nmもあって、低回転域から力がたっぷり。かつディーゼルエンジンでありながら、とてもスムーズに回るし、騒音も低い。ガソリンエンジンのようによくできている。
2車に共通していえるのは、乗り心地のよさだ。M235i xDriveグランクーペはスポーツ性が売り物なので、それなりに硬めで、カーブでの車体の傾きなどは抑えられているが、不快なショックや、乗員が上下に揺さぶられることはごくまれ。
220dグランクーペにいたっては、よく動く足まわりのおかげで、まるで魔法のじゅうたんに乗っているかのように、スムーズ。快適性に感心してしまう。

美しいキャビンの造形が特徴的な220dグランクーペ
BMWでシャシー開発を手がけるエンジニアは「乗り心地のよさを重視して設計しました」と教えてくれた。少し専門的になるけれど、サスペンションのブッシュなどを、シャシーを共用する1シリーズより、やわらかめにしているという。
サイズ的にも、日本に向いていると思う。4535mmの全長は、5代目3シリーズ(2005年)と同じぐらい。市街地でストレスなく乗り回すには、これが大きさの限界かもしれない。その意味でも、いいモデルなのだ。

220dグランクーペのダッシュボードは機能的で操作性にすぐれる
日本では20年3月から、「M235i xDriveグランクーペ」(665万円)と、1498cc3気筒ガソリンエンジンの「218iグランクーペ」(369万円)のデリバリーが開始されるそうだ。
218iグランクーペには今回試乗できなかった。118iがとてもいい出来なので、こちらにも期待したい。ディーゼルの220dグランクーペの当面の発売予定はないそうだが、このモデルもぜひ、と思った。

後席は空間的にレッグルームもヘッドルームも大人に十分
【スペックス】
車名 BMW M235i xDrive グランクーペ
全長×全幅×全高 4540×1800×1430mm
1998cc 4気筒 全輪駆動
最高出力 225kW(306ps)/5000rpm
最大トルク 450Nm/1750-4500rpm
価格 665万円
(写真=筆者)