花のない花屋
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家族の借金と病気 「もっと難しいことかと思った」とびきりの笑顔で受け入れてくれた夫へ

〈依頼人プロフィール〉
坂口葉子さん(仮名) 34歳 女性
静岡県在住
医師

    ◇

研修医として駆け出しの頃、実家の家業が立ち行かなくなりました。小売店を営んでいたのですが、周りに安売り店やコンビニが増え、商売が難しくなったのです。

当時私は本当に忙しく、厳しい上司の下で深夜まで働いていました。そんな中、 仕事中に親から何度も電話がきて、借金を頼まれました。私にも余裕があるわけじゃなかったので、最初は断っていましたが、下の弟がまだ学生なので頼れるのは私1人。あまりに電話の回数が多くなり、さらに多額の借金の連帯保証人になってほしいという話まで持ち上がったこともあり、3、4カ月ごとにまとまった額を送金するようになりました。

実はそのお金は、夢だった留学のためにためていた資金でした。さらにほどなくして、実家に住んでいた両親と弟が精神を病むようになり、3人の入院や通院にまでお金がかかるようになってしまいました。

当時、私はまだ20代です。時間もお金も自由にならない中でやりくりするのは本当に大変で、研修医として自分のことだけでも精いっぱいだったのに、そこへ家族の借金や病気の問題が重くのしかかってきました。新しい職場で気軽に相談できる人もおらず、仕事の忙しさもあって私は自殺を考えるまで追いつめられました。

そんなときに出会ったのが今の夫です。私は恋愛とはほど遠い精神状態でしたが、職場で夫の方から声をかけてくれました。正直心の余裕がなく、おつきあいをお断りするつもりで、 「家族に借金があるから」「病気もあるから」と打ち明けました。

でも、彼はすっかり話を聞いてくれたうえ、「もっと難しいことかと思った。大丈夫、あなたの家族は他人とは思えないですから」ととびきりの笑顔で答えてくれました。そして、交際2カ月でプロポーズ。まだ早いとは思いましたが、夫に押し切られるような形で結婚に至りました。

今は夫とはつつましくも幸せな毎日を送っています。一度、終電を逃したときは、2時間以上かけて車で迎えに来てくれたこともあります。そのときは私を見て、「会えてよかった。夜景がきれいですね」とひと言。そんな人なのです。寒がりで車の運転ができない私のために、車にはいつもブランケット、足用マット、数種類のドリンク、お菓子を積んでいて、いろいろな場所に私を連れて行ってくれます。

そんな心優しくて、いつもユーモアのある夫へ、これまでの感謝を込めて花束を贈りたいです。彼は一回り以上年上で、大柄であたたかいイメージ。好きな色はオレンジや青緑です。病院の事務をしており、趣味は文房具屋さん巡りです。

これからも2人の生活を見守ってくれるよう、育てられる植物が入っている花束だとうれしいです。できればその中に「私も一緒にいるよ」という意味を込めて、私の好きなピンポンマムも加えてください。よろしくお願いいたします。

家族の借金と病気 「もっと難しいことかと思った」とびきりの笑顔で受け入れてくれた夫へ

花束を作った東さんのコメント

素敵なご主人ですね。今回は穏やかで優しいご主人のイメージそのままに、あたたかいオレンジ色と丸い花をたくさん使ったアレンジにしました。

使用した花材はパフィオペディルム、チューリップ、カーネーション、カランコエ、ヒペリカム、そしてグリーンのピンポンマムなど。真ん中にはヒヤシンスの球根を入れており、これからクリーム色の花を咲かせるはずです。球根なので、もちろんそのまま育てることもできます。まわりのリーフワークは、ハランの葉を「ループ」と「ギョーザ」(と僕らは呼んでいます)状に折って挿していきました。

暖色系といってもいろいろな色の組み合わせがありますが、今回はオレンジとグリーンを基調に、あたたかみの中にも健康的なさわやかさを感じるアレンジにしました。どうぞいつまでもお幸せに……!

家族の借金と病気 「もっと難しいことかと思った」とびきりの笑顔で受け入れてくれた夫へ
家族の借金と病気 「もっと難しいことかと思った」とびきりの笑顔で受け入れてくれた夫へ
家族の借金と病気 「もっと難しいことかと思った」とびきりの笑顔で受け入れてくれた夫へ
家族の借金と病気 「もっと難しいことかと思った」とびきりの笑顔で受け入れてくれた夫へ
読者のみなさまから「物語」を募集しています。

こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。花を贈りたい人とのエピソードをお寄せください。毎週ひとつの物語を選んで東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に、&wで紹介させていただきます。

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