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ありのままの美、はつらつと 2020年秋冬パリ・コレクション

2020年秋冬パリ・コレクションは3月3日までの9日間、欧州での新型コロナウイルス感染拡大によって、沈みがちな雰囲気の中で開かれた。それでも、多くのブランドがファッションの楽しさや意味を問い、シンプルな中にも華のある成熟した、新しいタイプの美を提案した。

軽やかに境界越え、前へ

会場には手指の消毒液が置かれ、感染予防のマスクを観客に配るブランドも。過去30年のパリ・コレで初めて見る光景だった。そんな中で、人々を元気づけるような演出や作品が目立った。

ありのままの美、はつらつと 2020年秋冬パリ・コレクション

シャネル

シャネルは、モデルが2、3人ずつ寄り添うように登場。定番のツイードスーツのパンツはショート丈で、腹部や胸元が露出した若々しいデザイン。乗馬ブーツで活動的に見せた。

ありのままの美、はつらつと 2020年秋冬パリ・コレクション

ステラ・マッカートニー

ステラ・マッカートニーは、革風のシャープなマントを着たモデルらと共に、牛やウサギなどの着ぐるみを登場させた。「ファッションのために動物を殺さない」という独自のメッセージを、ほほ笑みを誘う軽さで伝えた。

ありのままの美、はつらつと 2020年秋冬パリ・コレクション

左:イッセイミヤケ、右:ロエベ

日本のイッセイミヤケは、「子供の頃に手で物を作った時の楽しさ」を表現。すぱっと切るイメージを黒白のニットで、粘土をこねる感覚を様々な色と質感のニットで表した。フィナーレは無縫製のひと続きのニットを、多様な肌の色のモデルが着て楽しげにつながって歩いた。

ロエベのテーマは「ファッションと遊ぶことを楽しむ」。彫刻的なシルエットに、洗練されたクラフト感を加えた。ドレスの胸などでは、日本の陶芸家・桑田卓郎の陶板が存在感を放つ。

ありのままの美、はつらつと 2020年秋冬パリ・コレクション

左:メゾン・マルジェラ、右:コムデギャルソン

ブランドの個性や手法を掘り下げながら、プレタポルテ(高級既製服)の新たな方向を探る動きもあった。

メゾン・マルジェラは、リサイクルショップでみつけた服を再生した商品群を発表。1960年代のウールコートはリボン結びの優雅なコートドレスに生まれ変わり、80年代のポリエステルのドレスは柄やフリルが複雑に組み合わさった。これまでオートクチュール(高級注文服)で見せていた手法だが、「エシカル(倫理的)な意識の中で生まれた、ブルジョア的で豊かな意識」に沿うものだという。

コムデギャルソンは一見、過去のオブジェ風と似ているが、テクニックや色の違いなどで明るさや柔らかさが映える作品をそろえた。以前は前後の生地を縫い合わせた2面構成で発表したトップスは、背部を立体的にしたり、内側だったパッドを外側に出してこぶのような膨らみを出したりした。

テーマは「ネオ・フューチャー」。デザイナーの川久保玲は「全く新しい創造はあり得ないと改めて思う。約50年間のこのブランドの世界を続けることで、また前に行こうということ」と語った。

ありのままの美、はつらつと 2020年秋冬パリ・コレクション

左:セリーヌ、右:クリスチャン・ディオール

トレンドは、70~80年代調が依然として根強い。セリーヌはこのブランドの70年代の作品をヒントに、上品なボウタイ付きドレスなどを発表。

クリスチャン・ディオールも70年代風のチェック柄や絞り染め、ミニ丈や平らな靴で躍動感があった。

ありのままの美、はつらつと 2020年秋冬パリ・コレクション

バレンシアガ

バレンシアガは80年代を思わせる大きな肩のオーバーサイズ。温暖化による環境問題への提言か、会場の客席の数列目までが水没。モデルは水浸しの床を歩いた。

ありのままの美、はつらつと 2020年秋冬パリ・コレクション

左:ケネス・イゼ、右:ヴァレンティノ

久々の新風として注目されたのは、新進のアフリカ勢の活躍。中でもデビューのケネス・イゼは、出身地ナイジェリアの色彩豊かな手織り布をすっきりと現代的な服に昇華させた。デザイナーは「服を通して、愛と自由、そしてアフリカの技を伝えたい」。

ここ数年は性差を意識させないスタイルが浸透していたが、今回は深いスリットや深めの胸元など、女性の官能性を強調する服づくりが新鮮だった。

特にヴァレンティノは作品の3分の2に黒を使い、そうした妖艶な美を際立たせた。デザイナーは地元紙に「年齢や人種、性別に関係なく自由に生きる新しい人々がいる。今この瞬間を描写したくて」と語った。

多くのブランドで、細身ではない中年モデルも登場した。過去のあらゆる境界を越えて、ありのままを肯定し、享受する。ファッション界は、次の一歩を踏み出そうとしているようにも思えた。

(編集委員・高橋牧子)

<写真は大原広和氏撮影>

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