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世界のディープな列車旅 車内で遭遇した不思議の数々

これまで世界各地を旅してきた旅行作家・下川裕治さん。今回は、長年続く連載の中から、印象的だった列車旅を振り返ります。

本連載「クリックディープ旅」(ほぼ毎週水曜更新)は、30年以上バックパッカースタイルで旅をする旅行作家の下川裕治さんと相棒の写真家・阿部稔哉さんと中田浩資さん(交代制)による15枚の写真「旅のフォト物語」と動画でつづる旅エッセーです。

(写真:中田浩資)

世界の列車旅・不思議な人々

新型コロナウイルスの感染が世界規模で広がっている。日本も東京や大阪をはじめとする7都府県に国による緊急事態宣言が出された。連載予定だった、「沖縄の離島の路線バス旅」の準備を進めていたが、しばらく延期。今回から、長年続く連載のなかで、もう一度見たいシーンや未掲載シーンを、エリアや取材時期を問わずにピックアップしたシリーズを配信します。

第1回は、世界の鉄道旅。その車内で出会った不思議な人々やできごとを。エリアは、インド、インドネシア、モンゴル、ロシア、マレーシア、ミャンマー、ベトナム。長編動画では、この旅を体験した僕と中田浩資カメラマンのかけあい話を聞くことができます。

長編動画


インドの炎熱列車の車窓風景を。列車に乗って旅した僕と中田カメラマンのかけあいもどうぞ。(通話しながらの録音です。一部聞き取りづらい箇所があります)

Scene01

インドの列車
2度と乗りたくはないインドの過酷列車旅。これはガヤ駅からアムリッツァルまでの約30時間。ずっとこの混雑? そうなんです。ガヤ駅でセカンドスリーパーのベッドが確保できず、無謀にも指定なし切符でこの車内に突進。乗車率200%でも、なんとか寝る場所ができるインド列車の不思議を十分、味わいました。(2018年)

Scene02

インドの列車
2度と乗りたくないインド列車第2弾。炎熱列車です。この日は、最低気温が33度を超え、最高気温が43度以上。炎天下を走る冷房なし列車の車内は50度を超えていた? 車内の金属製のポールを握ることもできなかった。この女性は電池式扇風機で自衛。ちょっと潤んだように見える瞳は、ただ、ただ暑さに耐えているだけの瞳です。(2018年)

Scene03

列車パフォーマー
車内温度50度超えの炎熱列車のなかにも、列車パフォーマーが乗ってくるのがインドという国。軟体動物のように手でつくった輪のなかに体を通す技より、この暑さのなかでパフォーマンスを続ける少年の根性に頭がさがります。乗客は暑さでげんなり。金を渡す気力もない様子で、この日の実入りは少なそうでした。(2018年)

Scene04

インドネシアの列車
アジアの列車内パフォーマーが多い国はインドに次いでインドネシア。いやインド以上? 音楽に合わせて踊り、向かいにさくら役のお母さん。料金回収は奥に立っているお姉さんというファミリービジネス。いちばん多いのはギターを抱えたひとりミュージシャン。ときどき聞きほれるほどの実力組も。(2012年)

Scene05

国際列車
北京からロシアのモスクワをめざす国際列車。モンゴルを走行中。列車の乗務員は全員、中国人だが、彼らはモンゴルやロシアの料理を決して口にしない。ひたすら車内自炊。車掌室には冷蔵庫まで運び入れ、調理は乗客用の洗面所で。食事どきにはいいにおいが車内に流れる。持ち込む食材も多い。なにしろモスクワまで6日ですから。(2016年)

Scene06

サハリンの列車
サハリンのユジノサハリンスクからノグリキまで列車に乗った。車内で中田カメラマンがカメラを向けると、この男性、なぜか服を脱ぎ、上半身裸になった。男とはこうしなくてはいけない……といいたいかのように。鍛え抜いた筋肉質……というには、ちょっと腹が出ているような気がするのですが。(2012年)

Scene07

マレー鉄道東海岸線
アジアの列車の用途はさまざま。ときにモデルの撮影会の会場にも。この列車はマレー鉄道東海岸線。マレー半島の東側を走る。僕らはパシルマスから乗ったが、発車は午前4時台。それに合わせてモデルはメイクをすませなくてはならない。徹夜? マレーシアの列車撮影会は気合が入っていました。(2010年)

Scene08

ミャンマーの列車
ミャンマーの列車には客車という概念がない? 線路の上を走るものなら、それが貨物車であっても客車になってしまう。いや、客車にも大量の荷物が持ち込まれたりするから、彼らは客車を貨物車と思っている? しかし乗り心地は客車も貨物車も大差がない。乗ってみるとすぐにわかります。(2015年)

Scene09

ミャンマーの列車
ミャンマー列車の別名はジャンピングトレイン。線路は老朽化が進み、恐ろしいほど揺れる。歩くことはもちろん、寝るときも注意が必要。寝台車のベッドに横になっても、ときに恐怖の縦揺れで、体が10センチほど浮く。柔道の受け身を身に付けておくこと。そのなかでも、ヤンゴンとマンダレーを結ぶこの列車は食事も頼むことができる。食べるには慣れが必要です。(2015年)

Scene10

ミャンマーの列車
ミャンマーにはかなりの数のイスラム教徒がいる。彼らは激しく揺れる列車のなかでも祈りは欠かさない。しかしこうして座っていても、ときに体が横転しそうになるほど。そのなかでも、祈りの後、深い瞑想(めいそう)に入っていく。イスラム教徒の集中力に、ミャンマーの列車のなかで脱帽。(2016年)

Scene11

ミャンマー列車の蚊取り線香
ミャンマーの列車の夕方5時から8時までを、僕らは魔の時間帯と呼んでいた。このときはヤンゴンからバガンに向かう列車に乗っていた。冷房がないため、窓は開け放たれている。そこからさまざまな虫が飛び込んでくるのだ。カナブンもどき、バッタ、セミ、カマキリ……そして蚊。写真下を見てほしい。蚊取り線香はミャンマー列車の必需品です。(2016年)

Scene12

ござで寝る人
ベトナム人は列車の床を寝床だと思っている。駅の売店にはそれ用のござが売られている。乗客はそれを使ってこんな感じに。これなら運賃が高い寝台列車を利用しなくてもいいじゃない。僕もござを買って寝てみました。しかしこれが意外とつらい。ブレーキがかかると体がずりずり動き、知らない人の足に頭が触る。しょせん、床でした。(2012年)

Scene13

ベトナムの長距離列車
ベトナムの長距離列車に乗ると、ベトナム人はかばんのなかから、次々と就寝グッズをとり出す。いちばん多いのがハンモック。これは赤ちゃん用だが、大人用の大きなハンモックをつるす人もいる。床といい、このハンモックといい、空いているスペースや空間を自由自在に使うベトナム人。強者です。(2010年)

Scene14

ベトナムの長距離列車
ベトナムの長距離列車の車内販売は……アジアでいちばん充実している。いや世界一かも。「冷たい料理は出さない」というベトナム人のこだわりです。たとえば朝食のフォー。容器に麺と具を入れ、そこに保温ジャーに入っている熱々スープをかける。ご飯も保温ジャーから。米から湯気が立ちのぼる。ちょっと幸せな気分です。(2010年)

Scene15

貨物車両
アジアでは列車の車内がさまざまな用途に応用される。中国国境のドンダンとハノイを結ぶローカル列車。車内を歩いて先頭の貨物車両に入ってみると、テーブルを囲む男たち。いや、女性の姿も。彼らの手にはカードが。すごい熱気でした。(2012年)

■関連記事はこちら
ブッダガヤからイスラマバードへ、玄奘三蔵が歩いた道・帰路編(1)
ニューデリーからブッダガヤへ、玄奘三蔵が歩いたパキスタン・インドの旅(5)
ヤンゴンからバガンへーミャンマー終着駅をめざす旅1

【次号予告】次回はシベリア鉄道ダイジェスト。

※価格等はすべて取材時のものです。

BOOK

世界のディープな列車旅 車内で遭遇した不思議の数々
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[タイ・北極圏・長江・サハリン編] (朝日文庫)
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