&w

ほんやのほん
連載をフォローする

黄色は高貴? それとも下品? デザインの歴史を読みあさる

黄色は高貴? それとも下品? デザインの歴史を読みあさる
撮影/馬場磨貴

『デザインってなんだろ?』

「デザインってなんだろ?」
本書タイトルと同じように私もいつも思っている。

これまでにも、同じようなタイトルの、“デザインとは何か”を論じてきた本は数多くあったし、私はデザインの実践的HOW TO本よりも、概念的視点からデザインをみつめるような本に手が伸びがちで、様々なデザイナーや研究者、先生が書いた本を読んだ。それでも、この問いに対しての明解な答えは今も分からない。

この本が発売されると知った時、これも同じようなデザイン論の本だと思った。

けど、著者はあの松田行正さん。松田さんはグラフィックデザイナーとして長年活躍しながら、ご自身で「牛若丸」という出版レーベルを立ち上げ、いくつもの著書をも出しているトップデザイナー。そして私と同じ静岡の出身でらっしゃる故に(超勝手に、一方的に)、少しの親近感を持っているデザイナーの一人(同じ理由で鈴木康広さんも……)。

松田さんの著書『はじまりの物語 デザインの視線』は軽く読んだことがあり、今度はどんな切り口からデザインを語るのだろうかと思いつつ手に取ってみたら、帯には「デザインの歴史探偵、参上!」と書いてある。

ん? ……歴史?
ページをめくると序文にこう書かれていた。

本書は、歴史探偵さながらに、さまざまなデザインの背景にある意味などを探求し、まとめてみたものです。いや、探求というよりは渉猟といったほうがいいでしょう。

なるほど歴史考察かと心得て読み進めたら、ページをめくる手が止まらなくなった。

“行間を読む”いわれ

本書は「色・装飾・ロゴ・レイアウト・表現」の五つの章で構成されている。時代、国、宗教や風習などからそれぞれの歴史を読み解き、デザインに欠かせないこれら五つの要素がどんな時代の流れを経てきたのかを、様々な文献や記録から検証した歴史探訪のような内容だ。

最初の「色ってなんだろ?」から面白くてたまらない。例えば黄色は、東洋では高貴な色として捉えられ、陰陽五行説の5色の中でも黄色は中心の色として極めて大切な色。黄河、黄帝という言葉からも尊ばれ方がわかるが、中世ヨーロッパでは差別の道具にされ下品な色だとされていた、だなんて全く知らなかった。

黄色は高貴? それとも下品? デザインの歴史を読みあさる
『デザインってなんだろ?』松田行正 著 紀伊國屋書店 1,800円+税

次の「装飾ってなんだろ?」では、イスラム教では生物などの具体的なかたちを描くことが許されていなかったために、具象を持たない文字を表現材料としてカリグラフィーを発展させたとか。

「レイアウトってなんだろ?」の章では、日本のレイアウト観について、平安時代以降ひらがなを使って散らし書きで和歌を書き留めることが始まり、空間を自由に使って表現することから行間を読むという余白観につながっている、という筋立てなど。

どの章を読んでも、はあぁ~なるほど……へえぇ~そうか……とうなりまくった。こんな風にデザインをかたちづくるものの歴史を知ることはなかったし、大学の授業でも学ばなかった(いや、少しはあったと思うけれど)。

そして歴史的背景を知るほどに、デザインはなんて広く物ごとと関わってきたのだろうとしみじみ思った。わたしたちが文字や色やかたちなどあらゆるものに抱いているイメージは、こんなにも興味深い変遷をたどり、そしてまた次の時代へと移っていくのだなと考えると、やっぱり「デザインってなんだろ?」という疑問に帰り着いてしまった。

ただ、とにもかくにもデザインは深く面白い、ということを再認識させてくれる一冊である。

黄色は高貴? それとも下品? デザインの歴史を読みあさる
#
PROFILE
柴田あすか

しばた・あすか
二子玉川 蔦屋家電・デザインコンシェルジュ
大学でプロダクトデザインを学んだ後、大学院修了。在学中より記録映像の研究・実践に取り組み、卒業後はフリーのカメラマンとして活動しながら、スタジオや映像制作会社に勤務。二子玉川 蔦屋家電オープンと共に書店員へ転身。

REACTION

LIKE
連載をフォローする

SHARE

  • LINEでシェア

FOR YOU あなたにおすすめの記事

RECOMMEND おすすめの記事

&MEMBER限定の機能です

&MEMBERにご登録(無料)いただくと、気に入った記事に共感を示したり、コメント書いたり、ブックマークしたりできます。こうしたアクションをする度にポイント「&MILE」がたまり、限定イベントやプレゼントの当選確率が上がります。

&MEMBERログイン

ID(メールアドレス)
パスワード

パスワードを忘れた方はこちら

&MEMBER登録はこちら

&MILEの加算アクション

  • &MEMBER新規登録:100マイル

    *今後、以下のアクションも追加していきます

  • 朝日新聞デジタル有料会員の継続:100マイル
  • ログインしてサイト訪問:10マイル
  • 記事に「LIKE」を押す:10マイル
  • コメントの投稿:30マイル
  • 自分のコメントに「LIKE」がつく:10マイル
  • アンケート回答:30マイル
  • 「朝日新聞SHOP」での購入:50マイル
  • イベント申し込み:50マイル

&MILEの獲得数に応じてステージがあがり、ステージがあがるごとに
&MEMBER限定のイベントやプレゼントの当選確率が上がります。詳細はこちら