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ぶらり ぬい撮り ひとり旅
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台湾のデザイン列車「鳴日」で行くランタンフェスティバル

ぶらり ぬい撮り ひとり旅」は、ライター熊山准さんのアバターぬいぐるみ「ミニくまちゃん」の旅をお届けする連載です。今回は台湾鉄路管理局が手がけた観光列車「鳴日 FUTURE」に乗って、いまや旧正月の風物詩となったランタンフェスティバルへと向かいます。かつてバッシングを受けたという列車が、デザインの力でどう生まれ変わったのか。ディテール(細部)やサービスはもちろん、その経緯にも注目ですよ。

【動画】台湾ランタンフェスティバルのオブジェ「白夜の心」

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再リニューアルした特別観光列車「鳴日 FUTURE」

こんにちは。2年ぶりにやって来ました、台湾。

台湾のデザイン列車「鳴日」で行くランタンフェスティバル

とりあえず豆乳スープを飲んで、牛肉麺を食べて、コンビニのゆで卵で台湾ビールをグビっとやりたい。あるいは魯肉飯(ルーローハン)や麺線もいいなあ……と食欲が前のめりになりがちな台湾旅ですが、今回の目的はちょっと違います。

台湾鉄路管理局の特別観光列車「鳴日 FUTURE」に乗り込み、旧正月の一大イベント、ランタンフェスティバルを取材するのです。再リニューアルされたばかりの鳴日は一般開放前で、鉄道ファンはもとより“いろんな意味”で注目度が高いのだとか。

「再リニューアル」「いろんな意味で」と書いたのには事情がございます。実はこの特別観光列車、約2億9000万円をかけたリニューアルプロジェクトの目玉だったものの、その仕上がりに大ブーイングを食らったという経緯がありまして、メンツをかけた2度目のチャレンジなのです

ともあれデザイン列車は見た目や質感が肝心。四の五の言わずに乗り込みましょう。

台湾のデザイン列車「鳴日」で行くランタンフェスティバル

黒とオレンジの車体が印象的な「鳴日 FUTURE」。名前の由来は「明日」と同じ発音「ミンリー」から

台北駅の地下ホームから乗り込んだ鳴日。この日の目的地である台湾中部の都市・台中に向けて出発進行です。1990年から始まったランタンフェスティバルは、いまや大イベントとして旧正月の時期に台湾各地で開催されています。そのもっとも大きな公営イベント「台湾ランタンフェスティバル」は毎年異なる自治体で開催されていて、2020年は台中市だったというわけです。観光地としても近年注目を集めている台中ですが、個人的には実に25年ぶりの訪問!

台湾のデザイン列車「鳴日」で行くランタンフェスティバル

鳴日の客席。取材に撮影に大忙しでほとんど座ってなかったけどね!

ともあれ乗り込んだ鳴日のインテリアは、青と白のシートが交互に並ぶシンプルでモダンなそれ。実は青いシートは先代車両のものをそのまま流用しているとか。照明は青っぽい白色から、温かみのあるオレンジ色に交換したそう。ゲストには鳴日オリジナルのお茶やコーヒーカップが用意されていて、早速テンションがあがります。

デザイナーの「直訴」を採用

台湾のデザイン列車「鳴日」で行くランタンフェスティバル

黒川紀章やケビン・ケノンの事務所でキャリアを積んだという邱柏文さん

車内では、鳴日のリニューアルを担当した「J.C.アーキテクチャー」の邱柏文さんによるプレゼンテーションが行われました。今回彼が担当することになったきっかけは、なんと「直訴」。先代のたたかれっぷりを見て「だったら自分がデザインの力で変えたい!」とツテがないまま関係各所にメールしまくったのだとか。邱さんの行動力もさることながら、ボトムアップで意見を拾い上げ、先代の発表からわずか10カ月足らずでリニューアルを敢行してしまう、台湾の柔軟性とスピード感にちょっとうらやましさも感じたり。実際、現地在住の日本人によると「とりあえずやってみよう、ダメだったら軌道修正しよう、というチャレンジ精神が台湾にはある」のだとか。

台湾のデザイン列車「鳴日」で行くランタンフェスティバル

目の前に座っていたのは交通部長(交通大臣)の林佳龍さんはじめ、交通部台湾鉄路管理局局長、副局長などそうそうたる面々

デザインにあたっては、低予算ゆえに先代から流用できるものは流用しつつ、台湾鉄路の歴史や沿線の風景をあらためて見つめ直し「人と列車と自然の融合」をコンセプトに設定。エクステリアは日本統治時代の車両に多いオレンジを採用し、車両表記も当時のフォントに合わせたそう。このへんは日本人にも多いという台鉄ファン注目のディテールかもしれませんね。

台湾のデザイン列車「鳴日」で行くランタンフェスティバル

昔ながらの車両表記をそのまま採用したことで、モダンながらノスタルジックな雰囲気に

キッチンカーやラウンジもリニューアル。この日は、パン国際コンクール「モンディアル・デュ・パン2017」でグランプリに輝いた陳耀訓氏のお店「YOSHI BAKERY」のパンをはじめ、台湾茶を使ったチョコレートが食べられるカフェ「COFE」のチョコレートと、ウイスキーのような容器に入ったコーヒーが振る舞われました。台湾を初めて訪れてから四半世紀経ちましたが、食文化の深化と多様化には目を見張るものがありますね。

台湾のデザイン列車「鳴日」で行くランタンフェスティバル

おやつにストロベリーの載ったデニッシュと、まるでウイスキーみたいな容器入りのコーヒーをいただきまーす

ハイテクとアートの巨大オブジェ

そうこうするうち到着した台湾ランタンフェスティバルの会場にほど近い后里(ホウリー)駅。台中市街から電車で30分ほどの郊外エリアです。

前述したように、国家規模のものは毎年都市を変えて開催している台湾ランタンフェスティバル。今年はハイテク産業の集積地として、またアートカルチャーの発信地として近年注目を集めている台湾第2の都市・台中市ということもあり、会場の目立つ場所にハイテクとアートを代表する巨大なオブジェが鎮座しておりました。

台湾のデザイン列車「鳴日」で行くランタンフェスティバル

メインランタン「森の生き物を守る―光の樹」。てっぺんにいるのは台湾の固有種であり台中市の鳥であるミミジロチメドリの家族だよ

メインランタン「森の生き物を守る―光の樹」は、日本の瀬戸内国際芸術祭や大地の芸術祭でもおなじみの林舜龍(リン・シュンロン)氏によるもの。幹をなす22本の柱は台湾全体の市と県の数を、368枚の花弁が郷や鎮という小規模自治体を、2359枚の葉が人々をあらわしていて、台湾人が一致団結して繁栄するよう願いを込めたそう。

台湾のデザイン列車「鳴日」で行くランタンフェスティバル

日本語でインタビューに答えてくださった林舜龍氏

もうひとつの目玉「開花の音に耳を澄ます – 白夜の心」は、巨大な球体のオブジェ。表面には光の当たり具合によって色味を変える布地が張り巡らされていて、それが音と光に連動してウネウネ動くという作品……と書いても何が何だかわからないと思いますので、記事冒頭の動画をご覧ください。

もともとランタンフェスティバルは、旧暦のお正月から最初の満月を迎える元宵節(げんしょうせつ)に、爆竹を鳴らしたり灯籠(とうろう)を飾ったりする祭りごとが起源。ランタンのモチーフも干支(えと)や中国の故事・偉人といったトラッドなものが多かったのですが、近年はこうして現代アートやメディアアートの作品も展示されるようになっているのでした。

もちろん昔ながらのランタンコーナーもございまして、もしかしたらお子さんなんかはこっちの方が好きかもしれません。

台湾のデザイン列車「鳴日」で行くランタンフェスティバル

ネズミ年とあってネズミモチーフのランタン多し。企業ブースや自治体ブースもあり、日本からも出展がありました


台湾のデザイン列車「鳴日」で行くランタンフェスティバル

もちろんランタンフェスのメインは夜。台中が発祥とも言われるタピオカミルクティーのランタンも!

「もっとほかにも紹介するランタンがあるでしょ!」という現地からのツッコミもございましょうが、スペースにも限りがございますしミニくまちゃん的に気になった作品をピックアップいたしました。

来年は新竹市で行われるという台湾ランタンフェスティバル。ちなみに同じ時期に、ランタンを空に舞い上げることで有名な平溪ランタンフェスティバル(新北市)も開催されていますし、台南市では「世界一危険」の異名をとる100万発のロケット花火祭りもやってますし、この時期の台湾旅行は激アツと言えるでしょう。

帰りも后里駅から鳴日に乗って台北まで。ランタンフェスティバルは駆け足でしたが、めったに乗ることのできない特別観光列車でのレアな旅で大満足いたしました。

なお、現在のところ鳴日は定期便ではなく貸し切り列車。100人以上の団体であれば通常の運賃程度で貸し切りできるそうなので、日本の鉄道ファンが集まればチャーターも夢じゃない?  再び台湾への訪問ができるようになったら、ぜひとも、ご検討くださいませー。

【取材協力】
Ninjin 寧淨
https://www.facebook.com/ninjintw

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