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日本はウマい
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<05> 思わずため息がこぼれる 心を優しく包み込む秋田の盃

全国の飲食店巡りをライフワークとするグルメジャーナリスト・マッキー牧元さんが、2019年に訪れた300軒近くの中から、心に響いた地方の飲食店を紹介します。今回は秋田での心温まるお酒と肴(さかな)のお話です。

     ◇◆◇

日本各地を旅する時の楽しみの一つが、酒場巡りである。

地元の居酒屋に入り、地の魚や野菜を使った料理を食べ、地元の酒を飲み、お客さんの話す会話に耳を傾ける。

そうして飲んでいると、よそ者ながら、その場所に一瞬同化するような気分となって、夜が温かくなる。

心を包み込む温かな燗づけ

二十数年ぶりに、秋田「酒盃」にやってきた。

秋田の酒と秋田の肴に出会いに、やってきた。

やはりここの素晴らしきところは、燗(かん)づけである。

「雪の茅舎」「天の戸」「飛良泉」「刈穂」

それぞれの酒の良さを、ふんわりと滲(にじ)ませ、心を包み込む。

独酌がしたくなる、柔らかな燗づけが嬉(うれ)しい。

肴はまず、箱膳に入れられた料理の盛り合わせから始まる。

<05> 思わずため息がこぼれる 心を優しく包み込む秋田の盃

(手前右から時計回り)身欠きニシンの燻製(くんせい)、比内地鶏の白レバーコンフィ、フキの煮物、シメサバ、もずく酢、ごま豆腐

ほろりと炊かれた、身欠きニシンの燻製(くんせい)、滑らかでほのかに甘い比内地鶏の白レバーコンフィ、味が染み渡ったフキの煮物、ほどよい締め具合に仕上げられたシメサバ、酢のあたりが柔らかく、香りのいいもずく酢、丁寧な仕事が光るごま豆腐。それら6点が箱膳の中に鎮座している。

こいつらを、ちょいとつまみながら酒を飲む。

ううむ、箱膳だけで一合半は飲んじゃうなあ。

続いてお造りが出される。

アジ、真イカ、タイ、ソイの4点だが、中でもソイがいい。

<05> 思わずため息がこぼれる 心を優しく包み込む秋田の盃

(手前右から時計回りで)真イカ、ソイ、アジ、タイ

東京ではなかなか出会うことのないソイの刺身(さしみ)が、薄赤い身を見せながら誘う。

食べればじっとりとした甘みがあって、それが酒の甘みに寄り添う。

その後は、「じゅんさいとウニ」

<05> 思わずため息がこぼれる 心を優しく包み込む秋田の盃

じゅんさいとウニ

「カニあんの茶わん蒸し」

<05> 思わずため息がこぼれる 心を優しく包み込む秋田の盃

茶わん蒸し

「エビや山菜の天ぷら」

<05> 思わずため息がこぼれる 心を優しく包み込む秋田の盃

天ぷら

「比内地鶏のモモ、胸、せせり、皮、砂肝、レバーの串焼き」。

<05> 思わずため息がこぼれる 心を優しく包み込む秋田の盃

串焼き

クジラとナスの出会いに永久の盃を

秋田の食材を使った料理が続いて、酒をぐいと飲ませるのだが、今回はこのコース以外に、どうしても頼みたい料理があった。

「クジラ貝焼き」である。

ホタテの貝殻を鍋に仕立て、クジラ肉とナスを煮た郷土料理である。

<05> 思わずため息がこぼれる 心を優しく包み込む秋田の盃

クジラ貝焼き

クジラの脂をまとったナスが、甘い。

ナスと油は相性がいいというけど、クジラの脂特有のかすかに香る野生味と出会うと、なにやらナスに勇壮さが加わる。

そんなナスをつまみながら、燗酒をやる。

クジラの脂が、口腔(こうくう)内や喉(のど)に流れて、ぬっくりとぬっくりと、体が温められる。

なにか永遠に盃(さかずき)を重ねられそうな気分となってくる。

そして続く、豆腐饅頭(まんじゅう)の素朴な甘さに目を細め、

<05> 思わずため息がこぼれる 心を優しく包み込む秋田の盃

豆腐饅頭

冬瓜(とうがん)と椎茸(しいたけ)、アオサのすまし汁の滋味に充足のため息をつく。

<05> 思わずため息がこぼれる 心を優しく包み込む秋田の盃

すまし汁

最後は、そばでキリリとしめて、席を立つ。

<05> 思わずため息がこぼれる 心を優しく包み込む秋田の盃

しめのソバ

ああ次は、いつ来られるのだろう。

店情報

酒盃

秋田市山王1-6-9
018-863-1547
18:00~23:00
定休日:日曜、月曜
*新型コロナウイルス対策として入り口にアルコール消毒液を設置し、カウンター席は間隔を空けての案内、個室は人数制限を設けています。

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