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「売れ残り」、それが売り

売れ残った服の大量廃棄が問題になるなか、在庫を工夫して売る動きが続々と出てきた。ファッション業界では、環境に配慮するサステイナビリティー(持続可能性)が重視されるようになった。服を作り売る側は「売れずに余った服」をあえて前面に出し、消費者にも選択や行動を問う。

他社在庫に新タグ、廃棄せず再販

「売れ残り」、それが売り

「リネーム(Rename)」のタグがついた服

名古屋市のアパレル会社ファインでは、他社の売れ残った服のブランドタグや洗濯表示を「リネーム(Rename)」という名前につけかえ、3~8割引きで再販している。元は、百貨店やショッピングセンター、通販などで扱われている40ブランド超だ。2016年に始め、ネット販売のほか、期間限定出店やセレクトショップなどに委託販売をしている。

なぜ服が大量に余り、廃棄されるのか。同社の津田一志(ひとし)COO(最高執行責任者)は「業者は単価を安くするため大量生産する。しかし、在庫にも保管料がかかる。値下げはブランドイメージに響くとして廃棄せざるをえないところもある」。新しいタグにすることで、元のブランドを気にせず様々な場で販売できる。

ブランドや企業を超えた「在庫シェアリング」を目指す。店舗の棚が空くと売る機会の損失になるが、棚を埋めるために追加生産すると売れ残ることも。そこを他社の在庫=リネームで補うという提案だ。津田さんは「服の大量廃棄は企業の問題が取り上げられるが、消費者が意思を持って服を選ぶことも大切だ。リネームの背景を知ってもらい、考えるきっかけにしてほしい」と話す。

セレクトショップのナノ・ユニバースは、リネームの商品を6月から長野県の軽井沢・プリンスショッピングプラザ店で扱っている。ナノ・ユニバース事業部兼店舗運営部部長の大塚有希さんは「10、20年前だと客は『あのブランドでないと嫌』だったが、今は『これでもいい』『ブランドを着るほうが恥ずかしい』という潮流がある。リネームは今だからこそ生まれただろうし、もっと認知度が上がれば浸透していくと思う」。

リメイクやコーデ提案、持続可能性求め

自社の在庫を生まれ変わらせる取り組みも増えている。アーバンリサーチは6月、サステイナビリティーを追求するブランド「ザ・グッドランド・マーケット」を始めた。

「売れ残り」、それが売り

在庫をリメイクした「ザ・グッドランド・マーケット」の服

第1弾として、在庫をリメイクしたTシャツやドレスをネットで販売。企画担当者は「サステイナビリティーは、トレンドや一過性のものだとは考えていない。生産背景だけでなく取り組み自体がサステイナブルであることを含め、できることから堅実に広げていきたい」と言う。

バロックジャパンリミテッドは4月、通販サイト「アウネ」を立ち上げた。倉庫に眠っていた自社のマウジーやスライなど約10ブランドの服で、コーディネートを組み、割安で販売。セット価格の中心は3千~4千円という。

ブラウスとパンツ、ワンピースとジャケットなどとコーディネートで提案するのが肝だ。アウネを手がける神田麻衣・未来政策室長は、服が売れ残る要因に、組み合わせ方がわからないことや、ニーズに合わないことをあげる。アウネでは「カジュアル」「カッコよく」「ちょっとその辺」など、雰囲気や場面でコーディネートを検索できる。

「売れ残り」、それが売り

アウネでは「女子会・ママ会」「アウトドア」など場面でコーディネートを検索できる

神田さんは、新型コロナの影響で、消費者の変化を感じている。「ライフスタイルに必要なものだけ考えるようになったのでは。新しいものが全てではなく、個人の感覚が優先されていくと思う」。目指すのは、焼却処分をゼロにすること。本来は需給が適正になされ、過剰在庫を生み出さないのが理想だ。売れ残る服がなくなり、「アウネが運営できなくなったね、と言われるのが世のためですよね」と言う。

(神宮桃子)

<写真はいずれも提供>

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