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餃子にはワインが合う! めくるめくマリアージュ

アツアツをハフハフ食べたい餃子(ギョーザ)。ビールやハイボールもいいけれど、ワイン好きとしてはやっぱりワインと楽しみたい。中華レストラン「ナチュラルセンス」のシェフでソムリエでもある猪瀬文俊さんが、餃子もワインももっとおいしくなるペアリングをナビゲート!

今回のソムリエ

餃子にはワインが合う! めくるめくマリアージュ
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PROFILE
猪瀬文俊

いのせ・ふみとし
「ナチュラルセンス」(茨城県筑西市)の中華シェフ、ソムリエ、利き酒師。 東京・青山「桃源閣」、神泉「文琳」で素材を生かす中国料理を、その後、台湾・高雄市の「江浙・家郷楼餐庁(ジャーシャンロウシャンティン)」で台湾の家庭料理と上海の地方料理を学ぶ。一皿に素材を多用せず、少ない食材でじんわりと優しいおいしさを表現することがモットー。第4回ヨーロッパのワインを楽しむ中国料理コンクールでは「子羊の五香粉ロースト 棗(なつめ)風味の黒酢ソースを添えて」がローヌ賞グランプリを獲得。自然派ワインを中心に「酔うためのワインではなく、幸せになるためのワイン」を、自らの料理とともに日々提案している。

白ワインの酸味が、焼き餃子の油をさっぱりさせる

餃子の定番といえば「焼き餃子」。猪瀬さんのお店では、鶏モモ肉のミンチに、ニラとキャベツ、タマネギと野菜たっぷり。ニンニクとショウガなどの香味野菜もしっかりときかせ、もっちりとした厚めの皮で包んだ食べ応えのある焼き餃子を提供している。

餃子にはワインが合う! めくるめくマリアージュ

「白ワインならばチリやオーストラリアなどの『ニューワールド』と呼ばれる地域の、少し樽(たる)をきかせたシャルドネを。豊かな果実味が、野菜の甘みたっぷりでジューシーな餃子の具のうまみを引き立て、クリスピーな樽香が皮の香ばしさと調和します」と、猪瀬さん。

白ワインの酸味が焼き餃子の脂をさっぱりさせてくれるので、ワインも餃子もどんどん進むペアリングだ。

餃子にはワインが合う! めくるめくマリアージュ

焼き餃子に赤を合わせるなら、ラー油ではなく発酵調味料を

「赤ワインでも楽しめますよ」と猪瀬さん。オススメは少し軽めの赤。イタリアでポピュラーなブドウ「サンジョベーゼ」や、ドイツの「シュペートブルグンダー」など。

「イタリアのトスカーナ地方でサンジョベーゼを主要品種として造られる『キャンティ』は、果実味と酸味がしっかりとあるので焼き餃子とは相性が良く、ほどよいタンニンが肉のおいしさを引き立てます」

ドイツのシュペートブルグンダーは、ピノ・ノワールのドイツでの呼称。赤い果実のアロマで酸味があり、焼き餃子の味わいにそっと寄り添ってくれる。いずれも、白に比べるとゆっくり味わいたいペアリングですね」(猪瀬さん)

調味料のしょうゆとも、上記の赤ワインは相性がいい。酢、ラー油を加えるのが定番だが、ラー油を別の調味料に変えることで、よりワインとしっくりマリアージュするという。「たとえば、コチュジャンや、唐辛子で作る新潟の『かんずり』を。いずれも発酵調味料で、辛さの中に複雑なうまみもあり、ワインと合わせやすくなるのです」

水餃子とスッキリ白で、さわやかペアリング

焼き餃子と双璧をなすのが「水餃子」。猪瀬さんのお店のこだわりは?

「肉は同じ鶏モモ肉ですが、ニンニクは入れず、タマネギではなく長ネギを使って全体としてさっぱりとした味わいに。皮は、焼き餃子と同じ厚めのもので、モッチモチの食感と生地のおいしさが生きるように仕上げます」

白ワインをペアリングするならば、ニュージーランドのソーヴィニヨンブランや、ドイツのドライな味わいのリースリングがオススメだとか。「水餃子の場合は、樽ではなくステンレスタンクで醸造した白ワインを。ピュアな果実味や酸味が水餃子のすっきりとした味わいと同調し、口の中がさわやかになるマリアージュが楽しめます」(猪瀬さん)

水餃子×冷やした赤ワイン

今回、ワインがもっとおいしくなる特製レシピを猪瀬さんが伝授してくれた。具にラムとパクチーを使い、クミンをきかせてオリエンタルな雰囲気が漂う水餃子だ。

餃子にはワインが合う! めくるめくマリアージュ

ラムとパクチー、クミンの水餃子(10個分)

  • ・ラムひき肉
    100g
  • ・濃口しょうゆ、酒、水
    各大さじ1
  • ・ラード
    30g
  • ・クミン(ホール)
    ひとつまみ
  • ・長ネギみじん切り
    適宜
  • ・ニラ
    1/4束
  • ・パクチー(葉は粗みじん・茎はみじん切り)
    適宜
  • ・白コショウ
    少々
  • ・ごま油
    小さじ1
  • ・餃子の皮
    10枚
  1. ボウルにラム肉、溶かしたラードを入れて混ぜる。
  2. 濃口しょうゆ、水、酒、長ネギのみじん切り、白コショウ、ごま油、クミンをに加え混ぜる。
  3. ニラは5ミリの長さに切る。根元は太さがあるので1ミリの厚さに。これとパクチーをに加えて混ぜる。
  4. 冷蔵庫で少し冷やし、皮で包む。
  5. 沸騰したお湯に入れ、再沸騰したら火を少し落とし、フツフツした状態の中で5分ほどゆでる。

ラムのひき肉は手に入りにくいので、塊肉やスライスしたものを包丁で好みの粗さにたたいたり、フードプロセッサーでミンチにしたりして使う。「脂身が少ないモモ肉はラム特有の香りが穏やか。脂身があるショルダー(肩)は、やや強めの香り。お好みで使い分けて」と猪瀬さん。しゃぶしゃぶ用など薄い場合は、あまり細かくしないほうが「肉感」を楽しめる。

「具にしっかりと味付けしてあるので、タレがなくても十分おいしいですが、お好みのタレを添えても。パクチー好きは、追いパクで!」

さて、どんなワインをペアリングする? 「赤ワイン、それも冷やして楽しみたいイタリアの赤をオススメします」。そう話す猪瀬さんセレクトの1本は、「ヴァッレ デッラカーテ フラッパート」。地中海に浮かぶ島のひとつ、シチリア島。フラッパートはシチリア固有のブドウ品種で、このブドウ100%で造られるワインだ。

餃子にはワインが合う! めくるめくマリアージュ

「シチリアの暑く乾燥した気候の中、しっかりと熟した赤系果実のとてもいい香りがします。イチゴやキャンディーのような甘やかなアロマに、ほのかなハーブ香。味わいには果実味とともにしっかりとした酸味が感じられ、穏やかなタンニンが全体を引き締めます。ワインが持つハーブの香りとパクチーが共鳴し、ほどよい渋みがラム独特の香りや味わいを引き立ててくれるマリアージュです。

ワインは冷蔵庫から出して少し置いたぐらいの温度がちょうどいいですね」と猪瀬さん。「赤ワインは常温で」と言われるが、それはフランスやイタリアといった伝統国の地下に掘った洞窟などを利用したセラーにおける「常温」で、12~15℃を指す。日本の気候の中での「常温」では温度が高すぎる。何より、蒸し暑い日本の夏に常温の赤ワインはちょっと手が伸びない。

そんなこともあり、ここ数年「冷やしておいしい赤ワイン」がちょっとしたトレンドに。このワインは、まさにそんな1本。ほどよく冷やしたチャーミングな赤ワインと、つるんと喉(のど)越しのいい水餃子。夏バテ気味のカラダを元気にしてくれるペアリングだ。

さらに「ちょい足しアレンジ」も。「クリームチーズとレモン汁を混ぜたものをトッピングすると、さわやかさが増すとともに酸味がラム特有の香りを抑え、スペインのカバなどのスパークリングワインと相性バッチリに。

カットして軽く塩をしたトマトを乗せれば、一気にサラダ風に。トマトのフレッシュさが加わり軽やかな味わいになり、やはり軽やかで果実味が豊かなオーストラリアのガメイから造ったワインとも合わせやすくなります」(猪瀬さん)

めくるめく餃子とワインのマリアージュに、もはや餃子はワインのベストおつまみなのでは?と思うほど。具材や香味野菜、タレ、トッピングのバリエーションで、まだまだペアリングの可能性は広がりそう。家のお手製餃子で研究するのもよし、テイクアウトの餃子で試してみてもよし。おうちでワインライフ、餃子実験でますます盛り上がりそうだ。

「ヴァッレ デッラカーテ フラッパート 2015年」
2600円(参考価格・税別)

餃子にはワインが合う! めくるめくマリアージュ

シチリアの固有品種フラッパートから造られる、完熟イチゴやチェリーのようなほんのりとした甘さとさわやかな酸味、スパイス香も感じられる赤ワイン。肉料理はもちろん、海に囲まれたテロワールゆえに魚介料理との相性もいい。軽く冷やすことで味わいが引き締まる。

生産者であるヴァッレ・デッラカーテは、シチリアの南東部、ラグーザ県アカーテ村にある。この地の土着ブドウの栽培に情熱を注いできた。現在の当主は6代目のガエタナさん。「イタリア女性醸造家の会」にも所属し、ワインやシチリアへの愛情あふれる魅力的な女性だ。シチリアならではのテロワールを生かした、ボリューム感がありながらも柔らかくエレガントなワインを追求する。イタリア農林省によるサステイナブル認証を取得し、現在、ビオへの転換を図っている。

問い合わせは株式会社飯田のHPから。

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