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与那国島からいよいよ乗り込む石垣島 沖縄の離島路線バスの旅7

下川裕治さんが沖縄の離島の路線バスを乗り尽くす旅。前回バスでまわった与那国島から、下川さんは船酔いしながら石垣島へ。3回にわたる石垣島路線への挑戦の記録が、始まります。

本連載「クリックディープ旅」(ほぼ毎週水曜更新)は、30年以上バックパッカースタイルで旅をする旅行作家の下川裕治さんと相棒の写真家・阿部稔哉さんと中田浩資さん(交代制)による15枚の写真「旅のフォト物語」と動画でつづる旅エッセーです。

(写真:中田浩資)

沖縄の離島旅・与那国島から石垣島へ

石垣島バス系統図

主に文章に登場する停留所名を記載するなど、簡略化しています

沖縄の離島を走る路線バスを乗り尽くす──。八重山諸島の竹富島、西表島、そして与那国島のバスを乗り切った。八重山諸島で残っているのは石垣島である。これまでは単純な路線だったが、石垣島は違う。路線数が多い。空港から市内に向かう路線バスだけでも5路線もある。宮古島での苦労がよみがえってくる。時間帯によって走る路線が変わったり、盲腸路線があったり……。

与那国島からはフェリーで戻った。運賃は片道3610円。1万円を超えてしまう飛行機よりだいぶ安かったからだ。石垣島に着くと、その足でバスターミナルに向かった。

八重山諸島の竹富島、西表島、与那国島は石垣島を基点にまわっていた。石垣島のバスは路線が多いことがわかっていたので、石垣島に滞在した時間、少しでも乗りつぶせる路線があれば乗ることにしていた。それを3回にわけて紹介することにする。

長編動画


フェリーが与那国島の久部良港を出港するシーンから。後半は石垣港に接岸するまで。やはり沖縄は船旅。この日は風が強く、揺れました。

短編動画


西回り一周線に乗って石垣島をほぼ一周。このルートの北端の伊原間で小休止。運転手さんは車内清掃。

今回の旅のデータ

石垣島の路線バスは13路線。そのうち12路線は東運輸の運行。石垣港離島ターミナルから新石垣空港(バス停名は石垣空港)を結ぶ直行バス1路線をカリー観光が運行している。東運輸の12路線は、すべてバスターミナルから発車し、バスターミナルに戻ってくる運行スケジュールになっているので、宮古島に比べると、はるかにわかりやすい。バスターミナルは石垣港離島ターミナルのすぐ近く。道を挟んで互いのターミナルの建物がある。

東運輸の時刻表はバスターミナルで無料でもらうことができる。

沖縄の離島旅「旅のフォト物語」

Scene01

久部良港

敗戦直後の一時期、この与那国島、久部良港が台湾との密貿易で栄えた。台湾から砂糖や米などの食料、そして薬が運ばれ、沖縄本島を経由して大阪や神戸に運ばれ、闇市を支えたという。沖縄からはアメリカ軍基地から盗んだ薬莢(やっきょう)、金属製品、銃火器などが台湾に運ばれた。久部良港には料亭がひしめき、映画館や芝居小屋も2軒ずつあったとか。

Scene02

大朝商店

フェリーには食堂や売店はないと聞き、「日本最西端の店 大朝商店」でおにぎりの昼食を買って港に向かう。一時は密輸にかかわる1万人以上の人が集まっていた久部良に当時の面影はない。この大朝商店は貴重な存在。集落の人が次々にやってくる。船に乗ったのは7月1日。この日から大朝商店もビニール袋有料になりました。

Scene03

フェリー

前日に石垣港からやってきたフェリーが接岸していた。この日の朝8時ごろ、この港にきていた。朝から風が強かった。欠航にはならない気がしたが、出港時刻が変更になるかもしれないと思ったのだ。しかし港には誰もいなかった。そしていま9時。少し不安を抱えてフェリーに向かう。

Scene04

泡盛

切符売り場は港の脇に。元気な女性職員が、「風が強いから石垣に着くのが遅れるかも。でも、予定通りに出ます」と伝えてくれた。ふと見ると横に新型コロナウイルス対策用のアルコール消毒器。その横に泡盛。「ん?」。「島の酒造所がつくったんです。78度の泡盛」。名前は「七転び八起」。ちゃんと飲めるそうだ。かなり強いが。

Scene05

フェリー内

久部良港を出港し、与那国島の島影が小さくなった頃から、フェリーは揺れはじめた。ときに歩くのが難しいほどだ。こうなったら体を横たえ、ただ耐えるしかない。そこから約3時間……。はいのぼる胃液をこらえる。ただ寝ているように見えるかもしれませんが、これ、じっと耐えている姿です。

Scene06

甲板

「このまま揺れ続けたらどうなる?」。不安な時間がすぎていく。それは唐突だった。背中に伝わる揺れが急におさまった。しばらくじっとしていた。船酔いが少しずつ消えていく。「大丈夫そうだ」。のろのろと立ちあがり、甲板へ。石垣島が見えました。と、急に空腹に襲われた。食べたおにぎり、おいしかった~。

Scene07

八重山そば

与那国島からのフェリーが着くのは、石垣港離島ターミナル向かいの桟橋。そこからバスターミナルへの道を歩きながら、またしても空腹感。揺れない陸地を歩く安心感がそうさせる? 石垣港離島ターミナル内の店で八重山そば、550円。三枚肉やカマボコを短冊形に切って載せるのが八重山流です。

Scene08

ビル

石垣島のバスターミナルは市内の一等地にある。石垣島の路線バスの大半を運行する東運輸専用だ。近くに宿が多いから、石垣島の路線バス旅派には助かる。そんな人はあまりいないかもしれないが。ビルに近づくと、「1日フリーパス」「5日間フリーパス」の表示。これって安いの? 切符売り場で調べることに。

Scene09

5日間フリーパス

切符売り場の壁に主要路線の運賃が貼りだされていた。石垣島の北端に近い平野線を見る。終点の平野まで片道1300円。つまり往復で2600円。1日フリーパスは1000円、5日間フリーパスは2000円。「フリーパス、安すぎない?」。その瞬間、切符売り場に向かっていた。即座に買ったのは5日間フリーパス。そのお得さは次回で。

Scene10

バス

まずは石垣島を一周してみようと西回り一周線に乗った。西側の川平エリアを通り、伊原間。そこで折り返し、島の東海岸沿いの道を南下してバスターミナルに戻ってくる。「ずっと乗っていれば、バスターミナルに戻るんですよね」。運転手さんに確認すると、「そ、そうですが」と戸惑いがちにうなずいてくれた。

Scene11

バス

運賃表はちゃんと機能し、バス停名も日本語と英語、いや英語発音風日本語でアナウンスが流れる。たとえば、川平郵便局。「かびらゆうびんきょく」という日本語に続いて、「カビラユウビンキョク」。わかります? その音声は、追って掲載する動画から聞こえるアナウンスを聞いて確認してください。

Scene12

運転手

運行はしっかりしているが、乗客は少ない。バスターミナル発車時に6人いた乗客は、途中で次々に降りていく。乗客は僕らだけに。と、川平郵便局前から小学生がひとり乗ってきた。やがて彼は車内でうとうと。でも心配なし。運転手さんは降りるバス停で声をかけ、荷物をもってあげて降車口へ。島のバスだなぁ。

Scene13

表示

バスターミナルを出たバスは1時間30分ほど走り、西回り一周線の北端、伊原間へ。13分ほど小休止。バス停近くに「ドライブイン伊原間」の立派な表示。伊原間の人に聞くと、17、18年前まで立派なドライブインがあったという。乗客は僕らを含めて4人。全員、バスを降りて、することもないので、ただぼんやりとする。

Scene14

サトウキビ畑

生まれてはじめて訪ねた沖縄は石垣島だった。台湾から船に揺られ、石垣島に着いた。気まぐれにバスに乗り、終点の伊原間で降り、バス停の近くにあった民宿に泊まった。そのとき、僕はサトウキビを知らず、ススキといって、伊原間の人に笑われた。それから36年。伊原間にはいまもサトウキビ畑が広がっていた。

Scene15

バス

バスは石垣島の東海岸を南下し、石垣市街に向かっていく。途中で中年男性が乗り込んできた。手にしていたのはフリーパス。スマホでバス路線検索。僕らと同じ空気をまとっていた。彼も石垣島路線バスの制覇をめざしていた。我が同志?とはその後、毎日1回は会うことになる。こんな人もいる。

※取材期間:2020年6月26日~7月1日
※価格等はすべて取材時のものです。

【次号予告】次回は石垣島のバス旅を。

■「台湾の超秘湯旅」バックナンバーはこちら
■「玄奘三蔵の旅」バックナンバーはこちら
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与那国島からいよいよ乗り込む石垣島 沖縄の離島路線バスの旅7
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BOOK

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