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染めて素敵にサステイナブル 捨てるより、職人技で黒く再生

大量廃棄が問題になっている衣料と食品。「染め」を通して、捨てずに活用する提案が注目されている。黄ばみや汚れが目立つ服も、染め直すことで長く着続けることができる。また、廃棄予定だった食材を染料に活用する取り組みもある。

エルメス、コムデギャルソンなどブランドのシャツやパンツに、帽子やバッグ。埼玉県寄居町の染色業「きぬのいえ」で、染色職人の井澤剛史さん(34)が染め直しをしていた。客から預かった古着を洗った後、黒く染めていく。ムラにならないよう服を動かす。

染めて素敵にサステイナブル 捨てるより、職人技で黒く再生

黒く染めた服を干す井澤剛史さん

6月、「捨てるなら、染めよう」を掲げ、染め直し事業「ソマリ」を始めた。黄ばみや汚れが気になる、色が好みでない、そんな服や小物を染めて再生。ブランドものが多いそうで、子どもが着ていて変色したコートを、孫にも着せたいと持ち込んだ人も。依頼者の服への思い入れが伝わる。

「きぬのいえ」は、吉田昌弘社長(58)の祖父が呉服裏地の産地問屋として創業し、父の代で染色へ。今回、町おこしのワークショップで新事業を考え「ソマリ」が生まれた。吉田社長は「昔からきものなどを染め直して再び着るという文化があった。いま服の廃棄が問題視されているが、良いものを長く着て、資源を大事にしないと」と話す。

基本的に黒1色で、ある程度の量をまとめて染めることで値段を抑えた。Tシャツやシャツが1枚千円(税別)から。コロナで在宅時間が増え、手持ちの服を見直す人が多かったためか、立ち上げ時から依頼が集まったという。海外で安く大量に作れるなか、吉田社長は日本でのものづくりに危機感を持つ。現在、職人は井澤さん1人。ソマリの立ち上げで「若手の職人に雇用の機会を作っていけたら」との思いもある。

ポリエステルなどの糸は黒く染まらない。井澤さんは「黒いシャツの白いステッチを見て、『それ、染め直したの?』という会話になるくらい、染め直しが普及したらいい」と話す。

雑貨のセレクトショップなどを展開する「ディアンドデパートメント」(東京都世田谷区)は、2014年から染め直しを手がける。年2回、黒、紺、季節の色の計3色に染めるほか、藍染めなどの特別企画もある。今年秋冬の色はチョコレートブラウンで、9月22日まで受け付けている。シャツやブラウスが3500円(税別)。これまで4千着以上を染め直し、リピーターも多いという。

染めて素敵にサステイナブル 捨てるより、職人技で黒く再生

ディアンドデパートメントでチョコレートブラウンに染め直した例

廃棄される食材を染料に

コーヒーの出し殻、形の不ぞろいなど規格外の野菜や果物。これまで捨てられていた食材から染料を作り、生地やファッションアイテムに生まれ変わらせる。繊維商社の豊島(名古屋市中区)が15年に始めたプロジェクト「フードテキスタイル」は、ファッション業界で食品ロス問題に取り組む。

染めて素敵にサステイナブル 捨てるより、職人技で黒く再生

規格外品の柿(左)と抹茶(右)をそれぞれ染料に使ったフードテキスタイルのワンピース

発起人でプロジェクトリーダーの谷村佳宏さん(36)は、服の大量生産・大量廃棄など業界の現状に「何か起こさなければ」と思い、異業種交流会に参加。キユーピーの担当者と食品ロスについて話したことがきっかけになった。

カゴメやタリーズコーヒージャパンなど食品関連企業の廃棄予定食材を活用し天然染料を90%以上使う。染めた生地や糸を販売し、Tシャツやバッグなどオリジナル商品も展開。8月にはコンバースと協業したスニーカーの第2弾が発売された。高級ブランドからの声がけもあるという。

染めて素敵にサステイナブル 捨てるより、職人技で黒く再生

フードテキスタイルの生地を使ったコンバースのスニーカー。ハーブのジュニパー(左)と紫キャベツ(右)を染料に使用

キャベツで染めたTシャツを誰が着るのか。当初は理解されないことが多かった。「今は消費者もサステイナブル(持続可能)な商品への反応が良い。災害も増え、自然との共生についてリアルに考え出したのでは」と谷村さん。「人の気持ちを前向きにする、ファッションの力を大事にしたい。コーヒーで染められたバッグが特別ではなく、スタンダードになるべきだと思う」

(神宮桃子)

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