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秋を楽しむ、こっくり煮込み中華。合わせるワインは?

早くも10月。ファッションも衣替えだが、ワインも料理もちょっと秋を意識したくなる。今回は少し目先を変えて、「中華とワインで楽しむ秋の旬ペアリング」を紹介!

多彩な食材を使う中華料理だが、「素材そのものの味わいを生かす和食に比べると、中華料理は調味料でしっかりと味をつける料理が多いため、旬を感じにくいのでは?」。そう話すのは、中華料理のシェフでソムリエでもある猪瀬文俊さん。

猪瀬シェフは、中華でありながら素材を生かしたシンプルで優しい味わいの料理を手がける。「中華料理を学ぶ中で、『こんなに調味料を使うと素材が生きないのでは?』と疑問を抱きました。その後、修業した店で、中華で食材の味わいを生かす流儀を学び、今の僕の料理スタイルが確立したのです」

そんな猪瀬シェフが、旬の野菜を使った前菜&メインと、ぴったりのワインをレクチャーする。

秋を楽しむ、こっくり煮込み中華。合わせるワインは?
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PROFILE
猪瀬文俊

いのせ・ふみとし
「ナチュラルセンス」(茨城県筑西市)の中華シェフ、ソムリエ、利き酒師。 東京・青山「桃源閣」、神泉「文琳」で素材を生かす中国料理を、その後、台湾・高雄市の「江浙・家郷楼餐庁(ジャーシャンロウシャンティン)」で台湾の家庭料理と上海の地方料理を学ぶ。一皿に素材を多用せず、少ない食材でじんわりと優しいおいしさを表現することがモットー。第4回ヨーロッパのワインを楽しむ中国料理コンクールでは「子羊の五香粉ロースト 棗(なつめ)風味の黒酢ソースを添えて」がローヌ賞グランプリを獲得。自然派ワインを中心に「酔うためのワインではなく、幸せになるためのワイン」を、自らの料理とともに日々提案している。

素材そのものの味わいを楽しむ、根菜の一皿

前菜は、秋においしくなる根菜を使ったお手軽な一皿「里芋、銀杏(ぎんなん)とザーサイのごま油風味」。

「皮をむいて1センチの厚さにスライスした里芋を、電子レンジで加熱。粗みじんに刻んだ瓶詰めのザーサイ、細かく小口切りにした万能ネギを加え、ごま油と白コショウを。スプーンで軽くつぶしたら、薄皮をむいた銀杏を加え、軽く混ぜる。これだけです」

秋を楽しむ、こっくり煮込み中華。合わせるワインは?

ネギは長ネギのみじん切りでもOK。ほっこりねっとりした里芋の甘みに、ザーサイの酸味と塩気、そしてごま油の香りが加わることで、一気に中華の表情に。銀杏のほろ苦さがアクセントになっている。中華のエスプリが効いたポテトサラダの趣だ。

「里芋の持つ優しい土の香りには、果実味が控えめで、後味にほのかなほろ苦さを感じられるドライな白ワインとの相性が良い」と猪瀬シェフ。たとえば、酸味が穏やかで洋ナシやハチミツを思わせる上品な香りのあるフランス・ボルドーの「セミヨン」、やはり控えめな酸味と芳醇(ほうじゅん)な香り、なめらかな舌触りが特徴の「ヴィオニエ」、イタリアの地中海沿いなどで造られる、フレッシュかつ厚みのある「ヴェルメンティーノ」などがオススメだ。

こっくりリッチな煮込み料理

メインディッシュは、こっくりとリッチな煮込み料理を。「スペアリブと秋野菜の豆豉(トウチ)煮」だ。

秋を楽しむ、こっくり煮込み中華。合わせるワインは?

スペアリブと秋野菜の豆豉煮

  • ・豚のスペアリブ
    600g
  • ・マイタケ
    1/2パック
  • ・エリンギ
    3本
  • ・シメジ
    1/3パック
  • ・ゴボウ
    1/4本
  • ・サツマイモ(小)
    1本
  • ・ごま油
    小さじ1
  • ・万能ネギ
    適宜

A

  • 赤ワイン(なければ料理酒)
    100cc
  • 400cc
  • 長ネギの小口切り、ショウガのみじん切り
    各大さじ1
  • 八角
    1個

B

  • 濃い口しょうゆ
    大さじ3
  • 砂糖
    大さじ2
  • オイスターソース、豆豉醬(トウチジャン)
    各大さじ1
  • ドライプラム(細かくちぎる)
    4個
  • 黒こしょう
    小さじ1/3


1. キノコ類は大きめに、サツマイモは1センチの厚さに、ゴボウは太めの拍子木切りにする。
2. スペアリブに軽く塩コショウし(分量外)、サラダ油をなじませた鍋に並べ、中火で表面に焼き目をつける。

秋を楽しむ、こっくり煮込み中華。合わせるワインは?

3. 両面に焼き目がついたら取り出し、鍋に残った油でサツマイモ以外の野菜を軽く炒める。
4. を取り出した鍋にスペアリブを戻し、調味料Aを加えて煮込む。沸騰したら弱火にして30分。フタは少しずらして蒸気を逃がしながら。

秋を楽しむ、こっくり煮込み中華。合わせるワインは?

5.30分煮込んだら、鍋に野菜、サツマイモ、調味料Bを加え、落としブタをして、軽くフツフツする程度の状態で、さらに20分煮込む。

6. 落としブタを取り、仕上げにごま油をまわしかける。万能ネギはお好みで添える。

「フタをわずかにずらすことで蒸気が逃げ、煮汁がほどよく煮詰まり、コクのある煮物に。落としブタは煮汁が少なくても鍋の中で対流が生まれ、すべての食材に煮汁がしっかりとからみ、さらに煮崩れも防ぎます」

秋を楽しむ、こっくり煮込み中華。合わせるワインは?

オイスターソースと豆豉、使いこなすコツ

中華料理ならではのおいしさを生み出すのが、「オイスターソース」と「豆豉」だ。煮詰めたカキのエキスに調味料を加えた「オイスターソース」は、甘じょっぱい味わいに強いうまみとコク、粘性があるのが特徴。

「香港などではゆでた野菜にそのままかけただけという料理も少なくないのですが、日本人には味わいが少しきつい。チキンスープにオイスターソースを加え、片栗粉でとろみをつけたあんかけにすると、バランスよく楽しめます」と猪瀬シェフ。「その姿を感じさせない程度に少量を使う」のが、オイスターソースを使いこなすコツだとか。

「野菜炒め、中華丼のあんかけに、シューマイやギョーザの下味にほんの少し加えることで、コクと味の厚みを出すことができます。いわば『中華調味料界の名バイプレーヤー』!」と、猪瀬シェフ。

「豆豉」は、乾燥した黒大豆に塩や麹(こうじ)などを加え漬け込んだ発酵調味料。強い塩気とうまみ、黒大豆が持つポリフェノール由来の渋みが特徴。スーパーなどで見かける豆豉醬は、豆豉を使いやすくペーストにしたものだ。

豆豉の渋みに合う、赤ワイン

「豆豉の独特の渋みは、赤ワインのタンニンからくる渋みと同調するので、とても相性のいいペアリングになります」。そう話す猪瀬シェフがメインディッシュに合わせるワインとしてセレクトしたのが、フランスのコート・デュ・ローヌの「ブレッシー・マッソン・ルージュ」だ。

秋を楽しむ、こっくり煮込み中華。合わせるワインは?
手前が「ブレッシー・マッソン・ルージュ」

南仏を代表する生産地で、フランスの中ではボルドーに次ぐ生産量を誇るローヌ地方。「ACコート・デュ・ローヌ」は、このローヌ全域を指す地方名アペラシオン。北部では主にシラーから造るスパイシーで力強い味わいの、南部ではグルナッシュをメインで使った豊かな果実味のボリューム感のあるワインが造られる。

生産者である「ドメーヌ・ブレッシー・マッソン」は、ローヌ南部のラストー村で、1920年から自然を重んじながら家族でワインを造り続けてきた。

「ワイン評論家の高評価をねらう『ウケるワイン』には見向きもせず、畑と天候に忠実に、その年に収穫されたブドウを表現するワインを手がける。そんな職人気質に引かれます。なにより、素直においしいんです」

ペアリングしても、いろいろな食材と抜群の相性をみせるという。

「ワインのオリエンタルで野性味あふれる香りが、豆豉の発酵食品特有の複雑な香りと出あうことで、その香りはより多層的に。こっくりと煮込んだスペアリブ、キノコの芳醇(ほうじゅん)な香り、根菜類の甘やかさをよりふくらませてくれる。また、八角(アニス)特有の甘く熟した香りがオイスターソースの甘くて濃い味わい、黒こしょうのスパイシーさと呼応し、ローヌワインならではのオリエンタルでスパイシーな風味を引き立ててくれます」。猪瀬シェフは笑顔でこう続けた。

「最愛の人に出会えたような幸せなマリアージュですね」

ちょっぴりロマンチックな気分で、旬の恵みとワインを堪能する。秋の夜長のメロウなひととき。

ドメーヌ・ブレッシー・マッソン「ブレッシー・マッソン・ルージュ 2015年」 2200円(税抜き)

秋を楽しむ、こっくり煮込み中華。合わせるワインは?
ブレッシー・マッソンが輸出している相手国への感謝を込め、エチケットには、それぞれの国の言葉で「出会い」と書いている

グルナッシュ、シラー、カリニャンを使った、コート・デュ・ローヌのミディアムな飲みごたえと飲み飽きないほのかなフルーティーさが魅力の1本。平均樹齢45~50年の畑から、その年のキャラクターをしっかりと表現するブドウを収穫し、醸造する。フランスのワインガイド本「ギド・アシェットワインガイド2018」では、そのクオリティーとコストパフォーマンスが高い評価を得た。世界から注目を集めるワイン。

問い合わせ先:カーヴかない屋

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