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猫が教える、人間のトリセツ
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2匹で猫会議を開く。 byスーとノア(飼い主・岸山沙代子さん)

人間を思うがままに操る、飼い猫たちの実例集「猫が教える、人間のトリセツ」。
月に1回、「猫と暮らすニューヨーク」の筆者、仁平綾さんと、イラストレーターのPeter Arkle(ピーター・アークル)さんでお届けします。

猫の爪とぎに泣かされている飼い主さん、きっと多いはず。我が家もそう。爪とぎ場と化したソファの一角は、布もウレタンも突き破られ、土台の木があらわになるほど……。一方で、猫の爪とぎ被害ゼロという、希少な住まいもあって、デザイナーの岸山沙代子さん宅が、まさにそれ。2匹の飼い猫たちが、ある日ぴたりと爪とぎを止めたのだそう。でもその裏には、なにやら猫の企(たくら)みがありそうです……。


「2匹の猫に、最初から操られていた」と話すのは、ファッションブランド「saqui(サキ)」のオーナーでデザイナーの岸山沙代子さん。

今から5年ほど前のこと。東京都文京区で活動する猫のボランティア団体「ぶんねこの会」へ、保護猫を見に行った岸山さん。「すごくかわいい茶トラの子猫がいたんです。目がトロンとした、誰が見てもかわいい子。人間でいえば佐々木希ちゃんみたいな」。でも、譲り受けたいという気持ちよりも「こんなにかわいいなら、すぐに里親が見つかるだろう……」という諦めの境地になってしまったそう。

ふと、そんな岸山さんをまっすぐに見つめる、サビ柄の子猫の存在に気づきます。「目が合ったときに不思議な衝撃を受けました。目をそらさず落ちついた様子で、子猫なのに強い意志のある感じ。じっと見つめて相手のことを見透かしているような……」。“連れて帰るのは、私だよ”とでも念を送ったのか……。結局岸山さんは、そのサビ猫を譲り受けることに決めたのでした。

2匹で猫会議を開く。 byスーとノア(飼い主・岸山沙代子さん)
岸山さんが譲り受けた2匹。サビ柄猫のスー(左)は、一度別の里親さんに引き取られたあと返却された出戻り猫。「私と会うことを予感していたのかな、なんて」とのろける岸山さん

ボランティアの人に、サビ柄の子猫を引き取りたい旨を伝えたところ、「『一軒家に住んでいるなら2匹譲り受けて欲しい』と言われてしまって……。1匹連れて帰る予定が2匹になりました」と岸山さん。実はサビ猫には黒猫のきょうだいがいたのでした。“連れて帰るならきょうだい一緒に!”。猫たちが、またまた念を送ったのか……2匹に導かれるように家族に迎え入れることに。メスのサビ猫はスー、オスの黒猫はノアと名づけ、一軒家での暮らしが始まりました。

2匹で猫会議を開く。 byスーとノア(飼い主・岸山沙代子さん)
スーの名前はフランス語のスール(姉妹)から、ノアも同じくフランス語のノワール(黒)から。2匹を譲り受けた当時、岸山さんはフランス留学から戻ったばかり。「頭の中がフランス語だったのかも」

スーの性格は、賢くてマイペース。特技は脱走だけれど、いつも岸山さんに阻止され、未遂に終わる日々。一方のノアは、「甘えん坊の、かまってほしいちゃん」。毎朝起きぬけに、岸山さんの髪や腕を舐(な)めるのが日課です。

2匹はとにかく仲が良く、「暑い夏以外は、いつも2匹ぴったりくっついて、お互いをぺろぺろ舐めています」と岸山さん。1匹だけを病院に連れていくと、家に残されたほうは心配でニャーニャー鳴くことも。ある時、ノアが病院から帰ると、スーはよほど心配だったのか、ノアを抱えるようにしてずっと寄り添っていたのだとか。

2匹で猫会議を開く。 byスーとノア(飼い主・岸山沙代子さん)
リーダーシップをとっているのは、サビ猫のスー。「ごはんの催促をするのも、スー。ノアはスーまかせという、やや不思議な関係です」

仲睦(むつ)まじいだけに、たびたび結託しているらしい2匹。
岸山さん宅にはソファがあり、「それはそれは猫が爪をとぎたくなるような、ざっくりとした厚手の平織りのカバーで、爪とぎに適した角度もいっぱいあるんです」。ある日、爪とぎの形跡を見つけた岸山さん、2匹に目を光らせ、爪とぎを発見次第「こらー!」と一喝。スーもノアも、岸山さんの怒声に一瞬爪を立てたままフリーズ。それからすぐに、ぴゅーっと逃げてしまったのだとか。そうやって何度か怒るうちに、まったく爪とぎをしなくなったと言います。

「2匹ともですよ!不思議でしょうがないです。とにかくゴハンをもらうため、私を怒らせまいと止めたのかも?(笑)。私、操られてますよね?」

2匹で猫会議を開く。 byスーとノア(飼い主・岸山沙代子さん)
バターくれ。目ヂカラがすごい、スーさま。ノアは後ろからひょっこり顔を出し「僕も……」

絆の強いきょうだい猫のこと。飼い主の岸山さんが不在のある日、リビングのソファ前に集結し、きっと猫会議を開いたに違いない。議題はもちろん「爪とぎ」。

(あの人、これ以上怒らせるとまずい気がする)。賢いスーが、諭すようにノアに話しかけると、神妙な顔で耳を傾けるノア。(ゴハンのために、ここはおとなしくしておこう)。それから2匹は、ソファでの爪とぎを封印し、いい子を装うことに決めたのだった……。
というのは、勝手な想像ですが、「こらー!」で猫が言うことを聞くとは到底思えず。2匹が示し合わせたとしか考えられません。

2匹で猫会議を開く。 byスーとノア(飼い主・岸山沙代子さん)
窓の外を眺めやりながら、なにやら2匹で相談中。「しょっちゅう一緒の2匹ですからね。常に猫会議していると思います(笑)」と岸山さん

ちなみに夜は、またもや2匹で共謀し、岸山さんのベッドの上でずっしり重みをきかせて就寝するのだとか。

「2匹の重さで寝返りがうてず、持病の腰痛が全然よくならないんです」と嘆く岸山さん。「腰痛のため、奮発して買ったシモンズのベッドなのに……(涙)」。爪とぎ禁止に対する、ささやかな仕返しなのか……。「2匹から愛情を計られているのか、なんなのか。これに関しては、かわいいので怒れないままでいます」

2匹で猫会議を開く。 byスーとノア(飼い主・岸山沙代子さん)
2匹の体重は、あわせて12kg。「足元で丸くなって寝るのでかなりきついです。夏は2匹がベターっと広がって、ベッドの2/3のスペースをとってしまうのも泣けます」
2匹で猫会議を開く。 byスーとノア(飼い主・岸山沙代子さん)
猫が好きな理由は、「ふわふわしてて、きれい好きで、ちゃんと意思疎通もできるから」と岸山さん。「飼い主を見守っている感じがするところも好きです」
2匹で猫会議を開く。 byスーとノア(飼い主・岸山沙代子さん)
岸山さんがデスクで仕事中、文鎮係を買って出るノア。かなり大きめの文鎮なので、当然仕事は一時中断となります
2匹で猫会議を開く。 byスーとノア(飼い主・岸山沙代子さん)
PROFILE
岸山沙代子

1977年生まれ。デザイナー。大学卒業後、手芸や服飾系の出版社に勤務。その後、雑誌 『LEE』のエディターとして多くの料理家やスタイリストとの仕事に携わる。34歳から約3年半、フランスのパリで過ごし、帰国後、ファッションブランド「saqui」(サキ)を立ち上げる。上質な素材を使った、大人がきれいに見える服が評判を呼び、瞬く間に人気ブランドに。
インスタグラム:https://www.instagram.com/saqui_official/

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