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歴史的ヴィンテージ! 今年のボージョレ・ヌーボー 豆腐チゲを合わせて

秋のワインにまつわる一大トピックといえば、ボージョレ・ヌーボー。今年は11月19日、解禁される。毎年、その瞬間をカウントダウンで迎えるイベントやパーティーがあちこちで盛大に催されてきたが、今年は新型コロナウイルスの影響で例年通りとはいかない状況に。そこでソムリエの森上久生さんからの提案。「外で楽しめないことを逆手に取り、今年は『おうちでボージョレー・ヌーボー』!」

今回のソムリエ

歴史的ヴィンテージ! 今年のボージョレ・ヌーボー 豆腐チゲを合わせて
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PROFILE
森上久生

もりがみ・ひさお
ソムリエ、ペアリングマイスター。東京・六本木のワインレストランAmi du Vin のシェフソムリエ。2003年から数々のソムリエコンクールで優秀な実績を収める。12年シャンパーニュ騎士団認定シュバリエに叙任される。13年第1回 国際ソムリエ協会主催の認定試験でソムリエディプロマ取得。テレビドラマのシーン監修、狛江エフエムの番組「地方創生BAR」のパーソナリティー、日本各地でのイベントやセミナー講師を務める。著書に『ワインと料理 ペアリングの楽しみ方』(旭屋出版)。

世界へと広がった、その年の収穫を祝う新酒

ボージョレ・ヌーボーは、フランス・ブルゴーニュ地方のボージョレ地区で造られる新酒。世界各地に長期熟成せずに楽しむ新酒はあるが、ボージョレ・ヌーボーは、ボージョレ地区でその年に収穫された「ガメイ」というブドウを使い、さらに独特の製法で造られた新酒のみがその名を語ることができる。

「通常ワインは破砕したブドウを発酵させて造りますが、多くのボージョレ・ヌーボーはブドウを潰さずに房のままタンクに入れます。するとブドウは自らの重みで潰れ、果汁が出て自然に発酵が始まります。この醸造方法により、赤ワインに多い渋みは控えめで、フレッシュでフルーティーな味わいに。色合いもとても鮮やかで、濃いルビー色を呈するのです」と森上さん。

歴史的ヴィンテージ! 今年のボージョレ・ヌーボー 豆腐チゲを合わせて
今年のガメイの収穫。このブドウでヌーボーを仕込む(写真提供:モメサン)

もともとは地元の人たちが収穫を祝って楽しむいわゆる地酒だったが、1967年に解禁日が決められるとともに、生産者がイベントとして大々的に発信。フランス国内はもちろん、ボージョレ・ヌーボーは一大ムーブメントとして世界中に知れ渡った。

ちなみに当初の解禁日は11月15日だったが、紆余(うよ)曲折があり1985年に現在の「11月第3木曜日」に制定された。日本では日付変更線の関係で本国フランスよりも8時間も早く解禁されるというスペシャル感もあり、バブル時代に大ブームに。そのときほどの熱狂ぶりはないものの、今でもその時期にしか味わえない「旬のワイン」「その年の収穫を祝う新酒」として心待ちにしている人は少なくない。

今年のボージョレ・ヌーボーの特徴

さて、2020年の「ボージョレ・ヌーボー」は? 「いろいろな意味で、歴史に残る特別なヴィンテージになるのでは」と森上さん。今年のボージョレは、日本と同様、夏は猛暑に襲われた。その激しい暑さと、干ばつが危惧されるほどの乾燥をブドウは耐え抜き、見事に凝縮した実を結んだ。ボージョレ委員会は「究極のミレジム(収穫年)と言えるかもしれない」と評している。

今年が特別な理由はもう一つある。多くのブドウを房ごと手摘みにするため、収穫の時期には多くの労働者がボージョレに集まってくるが、コロナ禍の今年は感染対策に細心の注意を払いながらの作業を強いられた。ブドウも人も過酷な状況に耐え、乗り越えて、今年のボージョレ・ヌーボーは生まれたのだ。

ヌーボーの味わいの魅力とは

多くの生産者の中から森上さんがセレクトしたのは、「モメサン」のボージョレ・ヌーボー

「モメサンは、香りも味わいもイキイキとした果実味あふれるワインを生み出す造り手。環境を大切にする姿勢がワインの味わいにも映し出されています。今年もおそらく、素晴らしいヌーボーを届けてくれるでしょう」

歴史的ヴィンテージ! 今年のボージョレ・ヌーボー 豆腐チゲを合わせて
なだらかな丘にブドウ畑が広がる(写真提供:モメサン)

ボージョレ・ヌーボーの楽しみ方は「とにかく、グラスから立ち上る『香り』を堪能して」と森上さん。独特の製法により生まれるバナナやイチゴキャンディーのような甘やかで華やかな香りが、ボージョレ・ヌーボーの魅力だ。一方で味わいは、渋みや酸味が穏やかで飲みやすい。「ピュアでフードフレンドリー。軽めのおつまみからお総菜、この時期にうれしい鍋料理など、いろいろなおうちごはんと合わせて楽しむことができます」。そう話す森上さんのスペシャルペアリングは、なんと「ボージョレ・ヌーボー×豆腐チゲ」。

歴史的ヴィンテージ! 今年のボージョレ・ヌーボー 豆腐チゲを合わせて

豆腐チゲ

  • ・絹ごし豆腐
    1/2丁
  • ・カクテキキムチ(白菜キムチでも)
    30g
  • ・白菜
    1/4個
  • ・シメジ (小)
    1パック
  • ・豚肉
    150g
  • ・春菊
    適量
  • ・ごま油(できれば太白ごま油)
    適量
  • ・鶏がらスープ顆粒(かりゅう)
    小さじ1
  • ・コチュジャン
    小さじ1(好みで調整)
  1. 一口大に切った白菜とキムチをごま油で炒める。
  2. 白菜がしんなりしたら豚肉、シメジを加えてさらに炒め、火が通ったら水300cc程度と鶏がらスープ顆粒、コチュジャンを加える。
  3. 煮立ったら豆腐を加えて少し煮込み、食べる直前に春菊を盛り付ける。

ちょっと、いや、かなり意外です! と驚いていると、森上さんは笑顔で、かつロジカルに解説してくれた。「バナナやイチゴを思わせるワインの甘い香りがチゲのスパイシーさを優しく包み込み、穏やかにしてくれます。豆腐の優しい口当たりとも相性がいい。それでいて味わいはスッキリとドライなので、チゲのピリッとしたテイストを引き立てます」

ボージョレのすぐ近く、「美食の街」と称されるリヨンでは、豚肉料理とガメイで造ったワインは最もポピュラーなペアリングなのだとか。「キムチの発酵したうまみと辛味を豚肉と一緒に煮込むことでさらにうまみが渾然(こんぜん)一体となり、ワインの繊細な香味とも調和します」。

さらにオススメのチョイ足しが「マヨネーズと黒ゴマ」。「ボージョレ・ヌーボーは酸味が穏やかなので、マヨネーズが優しい酸味を補完して立体的な味わいになります。また、黒ゴマとワインのミネラル感が同調し、ワインと料理の距離がグッと近づきます」

歴史的ヴィンテージ! 今年のボージョレ・ヌーボー 豆腐チゲを合わせて
マヨネーズと黒ゴマを、豆腐チゲにチョイ足し

特に優れたワインを生産「クリュ・ボージョレ」

ヌーボーでその名を知られるボージョレだが、実は熟成のポテンシャルのある素晴らしいワインを生み出す産地。ボージョレ地区の中でも特に優れた10のAOCは「クリュ・ボージョレ」と呼ばれている。その実力を味わえると森上さんが推薦する1本が、ドメーヌ・ジュベールの「フルーリー・ヴィエーユ・ヴィーニュ 2016年」

ドメーヌ・ジュベールは、クリュ・ボージョレを含め11haの畑を所有し、この地域にある100を超える造り手の中で唯一、無農薬・有機栽培でブドウを育てている。全て手摘みで収穫し、天然酵母での発酵、SO2を使わず、「ブドウ本来の味わいを隅から隅まで表現するピュアでナチュラルなワインを造り続けています」と森上さん。

「グラスを鼻に近づけると、ピュアな赤いチェリーのアロマ、ボタンの花、熟成を感じさせる腐葉土やほんのりとしたロースト香が繊細に香ります。味わいもスマート。キメの細かいタンニンや酸味がしっかりと溶け込み、余韻に松の実やミネラル感が複雑さを織りなす――。クリュ・ボージョレならではのナチュラルな優しさ、繊細なワインが生まれるフルーリー村ならではのエレガントさが堪能できる1本です」

歴史的ヴィンテージ! 今年のボージョレ・ヌーボー 豆腐チゲを合わせて
ジュベールの畑の今年のガメイ。色も味わいもギュッと凝縮した果実が収穫できた(写真提供:モメサン)

特に日本ではヌーボーのイメージが先行し、それ以外のボージョレ産のワインはあまり知られていない。森上さんは「もったいないなぁ」と嘆きつつ、そのおいしさと実力が見直される動きがあることに大きな期待を寄せているという。「ヌーボーをきっかけに、ボージョレワインの奥深い魅力に触れてみてはいかがでしょうか?」

いつもの年のお祭り気分とは違う、おうちでゆっくり味わうボージョレ・ヌーボー。温かい料理でもつまみながら、優しい香りと味わいにカラダもココロも癒やされて。

「モメサン ボージョレ・ヌーボー 2020年」
2200円(参考価格・税別)オープン価格

歴史的ヴィンテージ! 今年のボージョレ・ヌーボー 豆腐チゲを合わせて

紫がかった鮮やかなルビー色。赤い果実の香りと柔らかくフレッシュな果実味にあふれ、イキイキとした酸味が楽しめるエレガントな味わい。ドメーヌによれば、「今年のヌーボーはリッチで芳醇(ほうじゅん)な味わい。ちょうど良いレベルの酸と丸みのあるタンニンのバランスがとてもよく仕上がっている」。

「モメサン」は1865年、ブルゴーニュのマコン村に創業。マコン村はブルゴーニュとボージョレの間に位置するため、モメサンは創業以来、この二つの地区のワイン造りのDNAを継承してきた。契約農家の畑では農薬の使用を最小限に抑え、環境にも人にも優しく、ブドウ本来の味わいやテロワールを表現するワインを造り続ける。

商品についての問い合わせは、オエノングループお客様センター:047-705-7790(受付時間 10:00~16:00 土・日・祝日・同社休業日を除く)

「フルーリー・ヴィエーユ・ヴィーニュ 2016年」 3300円(税込み)

歴史的ヴィンテージ! 今年のボージョレ・ヌーボー 豆腐チゲを合わせて

滑らかな口当たりで、しっかりとしたストラクチャー。凝縮感にあふれた味わい。ボージョレ地区のブルイィに4代続く生産者「ドメーヌ・ジュベール」。クリュ・ボージョレに11haの畑をもち、樹齢40~100年の古いガメイからワインを造る。無農薬・有機栽培でSO2不使用。ボトリング時もノンフィルターで、ブドウ本来の味わいを100パーセント楽しめるピュアでナチュラルなワインを生み出す。

木下インターナショナルのオンラインショップ「ポントヴィーニョ」で購入可能。

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