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料理家・冷水希三子の何食べたい?
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冬のはじまりに、牛肉を味わい深く煮込んだミロトン

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくれるという夢の連載。今回は牛肉を使ったお料理。野菜とお肉、両者の素材の味を楽しめる煮込み料理をご紹介します。

―― 冷水先生、こんにちは。朝晩は冷え込むようになり、冬のはじまりを感じる今日この頃です。

冷水 本当に。過ごしやすい秋はあっという間ですねえ。

―― 冬の足音が聞こえたかと思うと、すぐに年末という感じで、なんだか気がせいてしまいますね。

冷水 冬はあたたかいお料理が恋しくなる季節ですし、イベントごとも多いのでお台所に立つのも楽しくなる頃です。

―― 今回はいつもより少し具体的なお悩みをご紹介したいと思っています。「牛肉」にまつわるリクエストなんですけれど、牛肉とお野菜、両方を楽しめるお料理が知りたいということで……。

冷水 う~ん……、牛肉とお野菜を使ったお料理はたくさんありますからねえ……。

―― お悩みとしては、牛肉とお野菜を一緒に調理しても、どうしても一体感が感じられない……ということで。ひとつのお料理でも、お肉はお肉、野菜は野菜で食べてしまうことが多いそうです。

冬のはじまりに、牛肉を味わい深く煮込んだミロトン
ソースの口当たりをよくしたいので、トマトの湯むきはぜひやってくださいね

冷水 なるほど~。たしかにビーフシチューなんかも、お肉をゴロッと入れてしまうとお肉だけで味わってしまいますものね。じゃあ、同じ煮込みでも、お肉とお野菜を一緒に味わえるお料理を作ってみましょうか。

―― おお、そんなお料理があるんですね!

冷水 「ミロトン」というフランスの煮込みで、牛肉と野菜をトマトベースで煮込んだものです。シチューよりさらっとしていて、しつこくないので、お肉や野菜そのものの味を楽しめると思います。今日は薄切り肉を使いますので、野菜との一体感も感じられるはず。

―― 「ミロトン」、初めて聞いたお料理ですけど、なんだか愛らしい響きですね。仕上がりが今から楽しみです。

冷水 じゃあまずはトマトの湯むきからです。

―― 今回は湯むきはマスト……ですか?

冬のはじまりに、牛肉を味わい深く煮込んだミロトン
これがコルニション(ピクルス用の小形きゅうり)。小口切りにして加えることで、程よい酸味をプラスしてくれます

冷水 ソースや煮込みのベースとしてトマトを使う場合は、皮の食感が残っていると口当たりが悪いので、少し手間でもぜひ湯むきしてください。

―― え~と、そもそもこれってフレッシュトマトじゃないと絶対ダメですか? トマト缶を使えたら、かなり手軽だな~なんて……。あくまでも読者さんの気持ちの代弁です!(笑)。

冷水 はい、楽したいという気持ち、よーくわかりますよ(笑)。これはぜひ覚えておいていただきたいのですが、トマト缶はフレッシュトマトよりも味や旨味(うまみ)が濃いんです。もちろんそのほうがおいしく仕上がるお料理もありますが、今回はお肉とお野菜の味を引き立たせたいと思うので、その場合はトマト缶の“濃さ”はトゥー・マッチなんです。

―― なるほど、味がしっかりしていればいい、ということではないんですね。

冷水 こと牛肉はお肉そのものに強い旨味があるので、ベースはフレッシュトマトを使ってさっぱりと仕上げるのがちょうどいいんです。鶏肉を使ったトマト煮込みの場合は、トマト缶とフレッシュトマトを半々で使うなど、具材の旨味の強さに合わせて臨機応変に考えるのがベターです。

―― 足し算だけではお料理はおいしくならない、先生がいつもおっしゃっていることですね。失礼しました!

冷水 湯むきが終わったら、具材を切っていきます。トマト、しめじ、コルニションは同じくらいのサイズにカットしましょうね。

冬のはじまりに、牛肉を味わい深く煮込んだミロトン
下準備はこんなふうに。トマトとしめじ、コルニションは同じ程度の小口切りに。玉ねぎはスライスしてからざく切りにしておくと、火の通りが早くなります

―― コルニション……。小さいきゅうりのピクルスですね。煮込みに入れるのは初めて見ました。

冷水 このコルニションがミロトンの特徴なんです。程よい酸味がアクセントになりますし、トマトと相性がよくて、全体が爽やかな風味になるんですよ。

―― できあがりが楽しみです!

冷水 次は少し深めのフライパンにスライスした玉ねぎとバター、オリーブオイルを入れ中火でさっと炒め、蓋(ふた)をして弱火で炒めていきます。蓋をすると焦げにくく、忙しくかき混ぜなくてもしんなり、甘く仕上がります。

―― その技はありがたい情報です~!

冷水 玉ねぎがほんのり色づいたら、トマトと赤ワインビネガーを加えて煮込みます。ビネガーの酸味を飛ばしたいので、最初の5分は蓋をしないで煮込んで、その後、蓋をして15分ほど煮込みます。

―― おっと、煮込みを待っている間にフライパンが登場しました。これは……冷水先生名物の“お肉の別炒め戦法”ですか!?

冷水 ご名答です(笑)。牛肉は煮込む前に炒めておくとアクが出にくくなるんです。

冬のはじまりに、牛肉を味わい深く煮込んだミロトン
牛肉を炒めるときは、強火でサッと。弱火でじわじわと炒めると、肉汁が出てパサつきの原因になってしまいます

―― なるほど~。てっきり長時間煮込むと肉が硬くなるからだと思っていましたが、アクの問題なんですね……。

冷水 長時間煮込むこと自体は問題ではないのですが、お肉に火が入るまでに時間がかかるとその間に肉汁が外に出て、パサパサになってしまうんです。なので、フライパンで炒めるときは強火でサッと。こうして炒めておけば、お鍋で長時間煮込んでも旨味が逃げず、ジューシーに仕上がります。

―― なるほど、勉強になります。

冷水 お肉としめじを炒めたら鍋に移して、40分ほど煮込みます。とはいえ少しはアクが出るので、時々様子を見ながら煮込んでくださいね。

―― ミロトンが初体験なので、どの程度まで煮汁を残していいか難しいですね……。

冷水 ハヤシライスのトロミが少ない感じ、くらいでしょうか(笑)。

―― 読者のみなさん、いま一度、完成の料理写真で確認してください(笑)。

冷水 最後にコルニションを加えて、好みの具合まで煮汁が減ったら完成です。パンと一緒に食べてもいいですが、バターライスなどにかけて食べるのもおいしいですよ。

―― う~ん、薄切りなのに牛肉の味がしっかり感じられて、ぜいたく感がありますね! おっしゃる通り、フレッシュトマトの酸味が爽やかで、全体的にとても軽やかです。

冷水 牛肉を使うと重たくなりがちですけど、これならたくさん食べられるでしょう? 

―― しかもパンにもごはんにも合うなんて、すごい包容力ですね、ミロトンは!

冷水 煮汁にお肉やお野菜の旨味が移っているので、ぜひ余すことなく召し上がって欲しいです。見た目にも華やかなので、おもてなしにもぜひ!

今日のレシピ

ミロトン

◎材料(2~3人分)
牛切り落とし 200g
玉ねぎ 1個
トマト 2個
コルニション(ピクルス用の小形きゅうり) 40g
しめじ 80g
赤ワインビネガー 大さじ1
バター 15g
EXVオリーブオイル 大さじ2
水 250ml
塩 小さじ1/3強

◎作り方

 牛肉は一口大に切る。玉ねぎは薄くスライスしてざく切り。トマトは熱湯で皮を湯むきして小さく切る。コルニションは小口切り。しめじは1cm長くらいに細かく切る。

 鍋にバターとEXVオリーブオイル大さじ1を入れ、玉ねぎを加えて中火でさっと炒める。その後、蓋をして火を弱火にし時々かき混ぜながら、甘みが出てほんのり色づくまで炒める。

 にトマトと赤ワインビネガーを加え、蓋をしない状態で中火で5分ほど煮込む。その後、蓋をして時々混ぜながら15分ほど煮込む。

 フライパンに残りのEXVオリーブオイルを入れて牛肉を加え、強火で炒める。肉の色が変わってきたらしめじを加えて炒め、塩をひとつまみほど加えてさらに炒める。

 の鍋に加えて水を加え、沸いたらアクを取って蓋を軽くずらして40分ほど弱火で煮込む。

 にコルニションと残りの塩を加えて10分ほど煮込む。煮汁が程よく残りながらも減ってきたら味を整える。パンと一緒にでも、バターライスなどにかけて食べてもよい。

料理家・冷水希三子の何食べたい?

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料理家・冷水希三子のレシピ

なんでもない毎日のごはんのヒント、特別な日の特別なひと皿、この人と食べるごちそう、あるいは遠くのあの人が喜ぶお料理は……?
冷水希三子さんがいろいろな料理のレシピと作り方を教えてくれます。

〈インフォメーション〉
リゾートホテル「ししいわハウス」で冷⽔希三⼦さん監修の朝食を

11月1日(日)より、長野県・軽井沢町の中軽井沢エリアにあるSHISHI-IWA HOUSE(ししいわハウス)に宿泊すると、冷⽔希三⼦さん監修の朝⾷をお楽しみいただけます。一日のはじまりに軽井沢の森を眺めながら贅沢(ぜいたく)な時間を過ごしてみませんか。

冬のはじまりに、牛肉を味わい深く煮込んだミロトン
(c)Kazumasa Harada
冬のはじまりに、牛肉を味わい深く煮込んだミロトン
(c)Kazumasa Harada

ししいわハウスは、プリツカー賞受賞の建築家、坂茂(ばん・しげる)氏が設計したリゾート・ホテルです。都会の喧騒から離れた場所に知的で想像力をかきたてる建築空間を提供したいという思いから2019年2⽉に誕生しました。
全ての客室から、浅間山や常緑樹、桜、もみじなど四季折々の美しい景観を楽しむことができます。

冬のはじまりに、牛肉を味わい深く煮込んだミロトン
(c)Hiroyuki Hirai

SHISHI-IWA HOUSE(ししいわハウス)

住所:長野県北佐久郡軽井沢町長倉2147-646
TEL:080-7691-6020
Mail:inquiry@shishiiwahouse.com
http://www.shishiiwahouse.jp/

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