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冬のごちそう とろ~りクリーミーなチーズ「モン・ドール」

寒い時期を迎え、ワイン好き、チーズ好きが心待ちにしているチーズがある。

東京・六本木で「マルズバー」を切り盛りするソムリエールの長谷川規子さんもその一人。「冬のごちそう」と称されるそのチーズの魅力と、ワインとめいっぱい楽しむコツを紹介してもらう。

今回のソムリエール

冬のごちそう とろ~りクリーミーなチーズ「モン・ドール」
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PROFILE
長谷川規子

はせがわ・のりこ
ホテルニューオータニ、レストラン香味屋を経て、香味屋の支配人だった長谷川優さん(写真左)と結婚。1994年に独立し、東京・六本木でマルズバーをオープン。90年代のワインブームを牽引(けんいん)し、多くのワイン好きに愛される名店に。2010年、フランスチーズ鑑評騎士の会でシュヴァリエに叙任される。19年、ヴィンテージ・ポート・アカデミー(VPA)ディプロマ取得。ワインとチーズの魅力を伝える一方で、15年金沢マラソン年代別優勝、19年東京マラソンでは3時間14分の自己ベストを記録するなど、「走るソムリエール」として活躍している。

フランスとスイスの国境で造られるチーズ

そのチーズは、「モン・ドール」。フランスとスイスの国境で造られており、付近にあるドゥー県の最高峰「モン・ドール(=黄金の山)」が、名の由来だ。

冬のごちそう とろ~りクリーミーなチーズ「モン・ドール」

原料は高地で育てられる牛の新鮮な無殺菌ミルク。ウォッシュタイプのチーズで、エピセアと呼ばれるモミの木の樹皮で巻かれ、表面を水で洗われながら凝縮、熟成していく。表皮はクリーム色からオレンジ色をしており、少しポコポコと波打っている。皮の下には、とろりとしたクリーミーなチーズが。濃厚なミルクの風味に香ばしい木の香りが加わり、芳醇(ほうじゅん)な香りと複雑な味わいが特徴だ。

冬のごちそう とろ~りクリーミーなチーズ「モン・ドール」

スイスでは「ヴァシュラン・モン・ドール」と呼ばれる。低温殺菌したミルクを使い、ウォッシュの回数が多く、フランスのモン・ドールよりも風味が強い。

モン・ドールは、生産時期が8月15日~3月15日、販売時期が9月10日から5月10日までと、法律で厳密に決められている。「モン・ドールが出回り始めると、秋の到来を感じます。数あるチーズの中でももっとも季節感と、時期が限定されているからこそのワクワク感があるのです」と規子さん。

「秋口はまだ若くて少し硬いのですが、冬の足音が聞こえてくると熟成が進み、とろとろに。これをすくって食べるスプーン1杯の幸せはたまりません」

今回は1個まるごと味わい尽くすスペシャルレシピを、マスターでシェフの優さんと、規子さんがワインとのペアリングをナビゲート!

モン・ドールの楽しみ方

その1・「皮」を楽しむ。

「表面を覆う皮は食べないという人もいますが、もったいない! 凝縮している分、うまみや香りがたっぷりでクセになる味です」と規子さん。少し硬いので、バゲットなどに乗せてオーブントースターで温めるのがオススメ。カリッと香ばしいバゲットと、こんがり焼かれ味に深みを増したモン・ドール。お手軽なのにちょっとリッチな前菜に。

冬のごちそう とろ~りクリーミーなチーズ「モン・ドール」

「モン・ドールの皮の濃厚な風味には、クルミやアーモンドのようなナッツの香りがあるワインが相性がいい」と規子さん。ジュラ地方は、サヴァニャンという白ブドウを独自製法、長期熟成で造る通称「黄ワイン」こと「ヴァン・ジョーヌ」が有名だ。スペインのシェリーに似た香ばしく複雑な香りが魅力でモン・ドールとの相性も抜群だが、少しクセが強く、何より高価で、おうち飲みにはハードルが高い。そこで規子さんがオススメするのが、コート・ド・ジュラの白ワイン。

「同じようにシェリー的な香りを持ちながら飲みやすさも併せ持ち、フローラルなアロマもありつつ味わいは辛口。アペリティフにも最適です」(規子さん)

スパークリング全般も合う。ほろ苦さが心地いいスペインのカヴァならスーパーやコンビニでも手に入りやすく、しっかりとした味わいながらリーズナブル!

その2・中の「とろとろ」を堪能。

次は、規子さんが「スプーン1杯の幸せ」と評する、とろとろをそのまま味わう。冷蔵庫から出したばかりだと少し硬いので、食べる30分から1時間前ぐらいに室温に戻しておくといい。

「熟成が浅いときは、クセがないミルキーな味わい。熟成が進むとより柔らかくなり、うまみも香りも濃厚になります。まろやかで滑らかな口当たりも心地よく、スプーン1杯でやめられない止まらないのが悩ましいですね」。規子さんは笑い、合わせるワインについてこう語る。

「エピセアの樹皮で包まれたモン・ドールは、香ばしい木の香りが特徴。その風味に合わせ、樽香がしっかりと感じられる白ワインを」

セレクトの1本は、カリフォルニアのワイナリー「ハーン」が手がける「SLHシャルドネ エステート・グロウン 2018年」

冬のごちそう とろ~りクリーミーなチーズ「モン・ドール」

「伸びやかな酸味と濃縮された果実味に、しっかりとした樽(たる)の香りが混ざり合い、まさにカリフォルニアワインのいいとこ取り。モン・ドールのとろとろ感とも相性のいい滑らかな口当たりで、それでいて、いきいきハツラツとしたワイン。 飲みごたえがある、バランスのいいシャルドネです」

その3・アツアツの「フォンドール」で!

「中のとろとろをある程度楽しんだら、最後はまるごとドーンと焼いて、チーズフォンデュ風に楽しみましょう」と優さんはニッコリ。

冬のごちそう とろ~りクリーミーなチーズ「モン・ドール」

モン・ドールに白ワイン30~50cc程度とニンニクのみじん切り1片分を加えて混ぜ、表面にパン粉を振り、木の器ごと200度に温めたオーブンにイン! 表面に軽く焦げ目がつき、香りが立ってきたら出来上がり。現地では、この焼きモンドールは「フォンドール」と呼ぶ。食べる直前に粗びきの黒コショウをたっぷりふりかけ、アツアツのところにゆでたジャガイモやブロッコリーなどの温野菜、バゲットなどをつけてハフハフ!

冬のごちそう とろ~りクリーミーなチーズ「モン・ドール」

「青カビチーズのような強い味わいのものは別として、多くのチーズには白ワインの方が合います。でも、オーブンで焼くことで味も香りもグッと強くなり、うまみも増すので、赤ワインを合わせてみましょう」

ペアリングするのは、フランス・ラングドック地方で造られる「ラ・サンコント・サンコント 2017年」。ブルゴーニュの著名なワイン生産者夫婦が、2人の知識と経験を生かして南仏ラングドックで醸すワインだ。

「グラスに注いでしばらく置くと、スパイスとブラックベリーの香りが広がります。イキイキとしたフレッシュな果実味が魅力で、タンニンは穏やか。ブルゴーニュの名手の夫婦が造ると、南仏のテロワールを生かしながらエレガントで上品な味わいに仕上がっていて、さすが! と感動します」と規子さん。

「ニンニクを効かせたアツアツのフォンドールに黒コショウをたっぷりかければ、黒コショウのスパイシーさが魅力のラングドックの赤ワインに合わないわけがありません」。また、解禁されたばかりのボージョレ・ヌーボーとの相性もいいという。

モン・ドールの残りの量が少ない場合は、「家にあるチーズ、カマンベールの残りやシュレッドチーズなどを加えてもOK。耐熱皿に野菜を並べてモン・ドールを上からかけて焼き、グラタンのように楽しんでも」と優さん。

フランスでは、モン・ドールは「クリスマスのごちそう」として愛されているそう。クリスマスはじめ、今年の年末年始のイベントシーズンはおうちで過ごす時間が増えるだろう。規子さんは語る。

「一つのチーズを囲み、お気に入りのワインを用意して家族で楽しむ。そんな団らんのシーンにピッタリ。モン・ドールは、心も体もほっこりと温めてくれるチーズなのです」

ハーン「SLHシャルドネ エステート・グロウン 2018年」
3950円(希望小売価格・税別)

冬のごちそう とろ~りクリーミーなチーズ「モン・ドール」

柑橘(かんきつ)類、リンゴに、完熟したトロピカルフルーツや樽由来のバニラがほのかに香る。フルボディーでありながら、くっきりとした酸味もあり、バランスの取れたスタイル。

ハーンは、カリフォルニアの銘醸地、モントレーの「先駆者」と称されるワイナリー。ワイナリーがサンタ・ルシア・ハイランズ(SLH)をAVA(アメリカ政府認定のブドウ栽培地域)に認定されるよう奔走し、1995年、認定された。ピノ・ノワールの名手として評価されている。

ドメーヌ アンヌ・グロ エ ジャン・ポール・トロ
「ラ・サンコント・サンコント 2017年」3400円(希望小売価格・税別)

冬のごちそう とろ~りクリーミーなチーズ「モン・ドール」


フレッシュなプラム、スミレ、ブラックチェリーに、スパイシーなハーブ、わずかなミネラル香を感じさせる。豊かな果実味に軽やかなタンニン、エレガントで美しい酸が溶け込むミディアムボディー。

ヴォーヌ・ロマネ屈指の醸造家アンヌ・グロさんと、ショレイ・レ・ボーヌの名門「トロ・ボー」のジャン・ポール・トロさん夫婦が、南仏ラングドックで醸すワイン。ブルゴーニュと同じ哲学で手がけたワインは、ラングドックで造っているのにも関わらず暑苦しさをまったく感じさせない。

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